○独立行政法人国際協力機構有償資金協力勘定資産自己査定規程
(平成20年10月1日規程(情)第52号)
改正
平成21年9月11日規程(情)第24号
平成23年3月31日規程(情)第19号
平成25年8月15日規程(総)第31号
平成26年8月18日規程(総)第31号
平成29年3月16日規程(総)第8号
(目的)
第1条
独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)の有償資金協力勘定の資産自己査定は、信用リスク管理の一環として、有償資金協力勘定に区分される資産を個別に検討して、定期的にその状況を把握することを通じ、財務の健全性の保持及び財務内容の透明性の向上に資することを目的とする。
2
この規程において、「資産自己査定」とは、次条に規定する基準に従い、回収不能となる危険性又は価値の毀損の危険性の度合に応じて資産を区分することをいう。
(資産分類)
第2条
機構は、有償資金協力勘定に区分される資産を、借入人、保証人、出資先、スワップ契約相手先その他の与信先(以下「債務者」という。)の財政状態及び経営成績等を基礎として、回収不能となる危険性又は価値の毀損の危険性の度合いに応じて、次の各号に定めるところにより、当該各号に掲げるもの(以下「資産分類」という。)に区分する。
(1)
Ⅰ(非)分類
Ⅱ分類、Ⅲ分類及びⅣ分類のいずれにも区分されない資産で、回収不能となる危険性又は価値の毀損の危険性について問題のない資産
(2)
Ⅱ分類
債権確保上の諸条件が十分に満たされないか、又は信用上疑義が存する等の理由により、その回収について通常の度合いを超える危険を含むと認められる資産
(3)
Ⅲ分類
最終の回収又は価値について重大な懸念が存し、損失の発生の可能性が高いが、その損失額について合理的な推計が困難な資産
(4)
Ⅳ分類
回収不可能又は無価値と判定される資産(将来において部分的な回収があり得るとしても、基本的に、査定基準日において回収不可能又は無価値と判定できる資産を含む。)
2
資産自己査定において、資産をⅡ分類、Ⅲ分類又はⅣ分類に区分することを「分類」と、Ⅱ分類、Ⅲ分類又はⅣ分類とした資産を「分類資産」といい、Ⅱ分類、Ⅲ分類又はⅣ分類のいずれともしないことを「非分類」と、分類資産以外の資産(Ⅰ分類資産)を「非分類資産」という。
(査定対象資産)
第3条
機構は、有償資金協力勘定の財務諸表において、次に掲げる科目に区分される資産を、資産自己査定の対象とする。この場合において、第1号及び第2号に規定される資産を「債権」と、第3号から第5号までに規定される資産を「有価証券等」という。
(1)
貸付金
(2)
破産債権、再生債権、更生債権その他これらに準ずる債権及び未収収益
(3)
関係会社株式
(4)
投資有価証券
(5)
未収有価証券配当金
(6)
金銭の信託
(7)
金融派生商品
2
前項の規定にかかわらず、財務の健全性の保持及び財務内容に係る適切な情報開示の観点から金融リスク管理担当特命審議役が適当と認める有償資金協力勘定に区分される資産は、資産自己査定の対象とする。
(基準日及び仮基準日並びに時点事情修正)
第4条
資産自己査定の基準日は、原則として、事業年度を4月から9月まで及び10月から翌年3月までの半期に分けたときの各半期の末日とし、各基準日の3箇月前の応当日を、当該基準日に対応する仮基準日とする。
2
機構は、仮基準日を過ぎたときは、当該仮基準日における査定対象資産の状態に基づき資産自己査定を開始する。
3
前項による資産自己査定の開始後、基準日までの間に第2条の規定に定める資産分類及び次条の規定に定める債務者区分の変更を伴う重大な事象が発生した場合には、当該事象が発生した査定対象資産については、基準日の状態に基づき資産自己査定を修正する。仮基準日と基準日の間で、査定対象資産の額に異同がある場合は、基準日の資産の額をもって当該査定対象資産の額とする。
4
前項の規定にかかわらず、金融リスク管理担当特命審議役が査定の対象となる資産の性格に照らし、仮基準日の査定対象資産の状態に基づく資産自己査定を不要と認めるときは、当該資産に係る仮基準日の査定対象資産の状態に基づく資産自己査定を省略することができる。この場合においては、基準日における査定対象資産の状態に基づき資産自己査定を行うものとする。
5
第2項の規定にかかわらず、仮基準日においては、資産分類を省略することができるものとし、その場合の資産分類は、基準日の資産の状態及び資産の額に基づき行うこととする。ただし、仮基準日の資産分類を省略する場合であっても、債務者区分は行うものとし、次条第2項第3号から第5号までに規定する債務者に係る資産については、仮基準日の資産の状態及び資産の額を把握するものとする。
(分類方法)
第5条
機構は、資産自己査定に当たり、査定対象資産の内容を個別に検討し、次項に定める債務者区分の結果に、必要に応じて、担保・保証調整(資産分類のために貸付金等の担保又は保証等の状況を個別に勘案することをいう。)をして、資産分類を行う。
2
債務者区分は、債務者をその財務状況、資金繰り、収益力等による債務返済能力から判定し、次の各号に定める5段階に区分することにより行う。債務返済能力の判定は、原則として、判定時点の事実に基づいて行うが、収支予想等、将来の予測につきその妥当性の判断根拠を明確に示すことができる場合には、当該予測に基づく債務者の債務返済能力の将来見通しを加味することができる。
(1)
正常先 業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者
(2)
要注意先 金利減免等の貸出条件又は履行状況に問題がある債務者、業況が低調又は不安定な債務者、財務内容に問題がある債務者その他機構が今後資産を管理する上で注意を要する債務者。このうち、当該債務者に対する機構の債権の全部又は一部が要管理債権(要注意先に対する債権のうち、3箇月以上延滞債権(元金又は利息の支払が、約定支払日の翌日を起算日として3箇月以上延滞している貸出債権)及び貸出条件緩和債権(経済的困難に陥った債務者の再建又は支援を図り、当該債権の回収を促進すること等を目的に、債務者に有利な一定の譲歩を与える約定条件の改定等を行った貸出債権))である債務者を、「要注意先(要管理先)」と、それ以外の債務者を「要注意先(その他要注意先)」と区分する。
(3)
破綻懸念先 経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者又は金融機関等による支援を受けている債務者
(4)
実質破綻先 法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営困難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められる等、実質的に経営破綻に陥っている債務者
(5)
破綻先 破産、清算、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分等、法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者
3
前二項の規定にかかわらず、査定対象資産又は債務者の性格に鑑み債務者区分を行うことが適当ではないものとして金融リスク管理担当特命審議役が別に定める査定対象資産については、債務者区分を省略することができる。この場合における資産分類は、当該資産が回収不能となる危険性又は当該資産の価値の毀損の度合いに応じて判定するものとする。
(査定体制)
第6条
資産自己査定は、第一次査定及び第一次査定の結果に基づき行う第二次査定とし、原則として次の各号に掲げる部が行う。
(1)
第一次査定 東南アジア・大洋州部、東・中央アジア部、南アジア部、中南米部、アフリカ部、中東・欧州部、その他第3条に定める資産を有する部
(2)
第二次査定 審査部
2
前項によることが適当でない資産に係る自己査定の体制は、金融リスク管理担当特命審議役が別に定める。
3
資産自己査定に必要なその他の事務は、金融リスク管理担当特命審議役が行う。
(査定の体系)
第7条
債権、有価証券等及び金銭の信託に係る資産自己査定は、次の各号に定める対象債権の種類に応じた体系により行う。
(1)
ソブリン債務者向け債権
独立行政法人国際協力機構信用格付規程(平成20年規程(情)第51号。以下「信用格付規程」という。)第3条第1号に定めるソブリン債務者向け債権(ただし、信用格付細則(平成20年細則(情)第45号)第4条第2項に基づき、ソブリン債務者の格付を活用する債務者向け債権を含む。)
(2)
非ソブリン債務者向け債権、有価証券等及び金銭の信託
信用格付規程第3条第2号に定める非ソブリン債務者向け債権、有価証券等及び金銭の信託であって、前号に該当しないもの
(報告)
第8条
金融リスク管理担当特命審議役は、資産自己査定完了後速やかに各半期に係る資産自己査定結果を理事長に報告するものとする。
2
金融リスク管理担当特命審議役は、資産自己査定結果に重大な影響を与える可能性のある事案が発生した場合には、速やかに理事長に報告しなければならない。
(監査)
第9条
この規程に基づいて行う資産自己査定の結果については、内部監査及び会計監査人による外部監査を受けるものとする。
(資産自己査定細則への委任)
第10条
この規程に規定するもののほか、資産自己査定の円滑な実施のために必要な事項は、細則で定める。
附 則
1
この規程は、平成20年10月1日から施行する。
2
この規程の規定にかかわらず、独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律(平成18年法律第100号)附則第4条第1項に基づく連帯債務に係る資産に関する資産自己査定については、金融リスク管理担当特命審議役が別に定めるところによるものとする。
3
金融リスク管理担当特命審議役は、この規程の見直しを少なくとも1年に1回実施し、必要に応じて改正を行うものとする。
附 則(平成21年9月11日規程(情)第24号)
この規程は、平成21年9月11日から施行し、平成20年10月1日から適用する。
附 則(平成23年3月31日規程(情)第19号)
この規程は、平成23年4月1日(以下、「施行日」という。)から施行する。ただし、この規程による改正後の「独立行政法人国際協力機構有償資金協力勘定資産自己査定規程」に基づく準内部規程については、この規程の施行日前に制定手続きを行うことができる。この場合において、当該準内部規程は、施行日以降の当該事務を所掌する金融リスク管理担当審議役の名義で制定する。
附 則(平成25年8月15日規程(総)第31号)
この規程は、平成25年8月15日から施行し、平成25年6月30日から適用する。
附 則(平成26年8月18日規程(総)第31号)
この規程は、平成26年8月18日から施行する。
附 則(平成29年3月16日規程(総)第8号)
この規程は、平成29年3月31日から施行する。