○技術協力に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定
(平成23年4月27日外務省告示第180号)
日本国政府及びフィリピン共和国政府は、技術協力の促進により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、また、両国の経済的及び社会的発展の促進によりもたらされる相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
(a) 日本国において技術訓練をフィリピン国民に提供すること。
(b) 専門家をフィリピン共和国に派遣すること(以下、派遣された専門家を「専門家」という。)
(c) フィリピン共和国の経済及び社会開発計画の調査を行うため、日本国の調査団(以下「調査団」という。)をフィリピン共和国に派遣すること。
(d) 幅広い技術と豊かな経験を有する日本人ボランティア(以下「シニア海外ボランティア」という。)をフィリピン共和国に派遣すること。
(e) 設備、機械及び資材をフィリピン共和国政府に供与すること。
(f) 両政府間で相互の同意により決定されるその他の形態の技術協力をフィリピン共和国政府に対して行うこと。
 (a) 技術訓練のために開発途上国の国民をフィリピン共和国に受け入れること。
 (b) フィリピン共和国において技術訓練をフィリピン国民に提供すること。
(1)(a) 専門家、調査団の構成員及びシニア海外ボランティアに対し、この協定に基づく任務の遂行に関して国外から送金される給与及び手当に対して又はこれらの給与及び手当に関連して課される所得税を含む租税及び課徴金を免除すること。
 (b) 専門家、調査団の構成員、シニア海外ボランティア及びそれらの家族(この協定の適用上、「家族」とは、配偶者及び被扶養者である子をいう。)に対し、当該専門家、調査団の構成員、シニア海外ボランティア及びそれらの家族がフィリピン共和国に到着した後6ヶ月以内に行う次のものの輸入に関し、領事手数料、租税(付加価値税を含む。)、関税及び課徴金並びに為替証明書の取得要件を免除すること。
  (i) 携帯荷物
  (ii) 身回品、家財及び消費財
  (iii) フィリピン共和国に派遣される専門家1名につき5年ごとに1台の自動車
 (c) フィリピン共和国に自動車を輸入しない専門家に対し、当該専門家が自動車を現地購入する場合には、当該自動車が当該専門家のフィリピン共和国への到着後6ヶ月以内に購入されることを条件として、専門家1名につき1台の自動車に対して課される租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。
 (d) (b)(iii)及び(c)に規定する自動車の登録を容易にすること。
(2)(a) 専門家、調査団及びシニア海外ボランティアの任務の遂行に必要な適当な事務所その他の施設(電話及びファクシミリの役務を含む。)をフィリピン共和国政府の実施機関の負担で提供し、かつ、それらの運営費及び維持費を負担すること。
(b) 専門家、調査団及びシニア海外ボランティアの任務の遂行に必要な現地要員並びに専門家、調査団及びシニア海外ボランティアの相手方となる当該任務の遂行に必要なフィリピン人の要員をフィリピン共和国政府の実施機関の負担で提供すること。
 (c) 現地の条件及びフィリピン共和国政府の実施機関の財政事情が許す限り、専門家及びシニア海外ボランティアに係る次の諸経費を負担すること。
  (i) 通勤費
  (ii) フィリピン共和国内の公用出張旅費
  (iii) 公用通信費
 (d) 専門家、シニア海外ボランティア及びそれらの家族に対し、フィリピン共和国政府の実施機関を通じて適当な住宅の確保につき便宜を提供すること。
 (e) 専門家、調査団の構成員、シニア海外ボランティア及びそれらの家族に対し、フィリピン共和国政府の実施機関を通じて医療上の便宜を提供すること。
(3)(a) 専門家、調査団の構成員、シニア海外ボランティア及びそれらの家族に対し、その任期中、フィリピン共和国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、外国人登録要件に係る手続きに関し便宜を与え、並びに領事手数料を免除すること。
 (b) 専門家、調査団の構成員及びシニア海外ボランティアの任務の遂行に必要なすべての政府機関の協力を確保するために、専門家、調査団の構成員及びシニア海外ボランティアに対し、身分証明書を交付すること。
(c) 専門家及びシニア海外ボランティアに対し、自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。
 (d) 専門家、調査団及びシニア海外ボランティアの任務の遂行に必要なその他の措置をとること。
1(1) JICAがフィリピン共和国政府に設備、機械及び資材を供与する場合には、フィリピン共和国政府は、それらの設備、機械及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(付加価値税を含む。)、関税及び課徴金並びに為替証明書の取得要件を免除する。これらの設備、機械及び資材は、陸揚港において保険料及び運賃込みの条件でフィリピン共和国政府の実施機関に引き渡された時にフィリピン共和国政府の財産となる。
 (2) JICAが現地購入に係る設備、機械、資材及び役務をフィリピン共和国政府に供与する場合には、フィリピン共和国政府は、当該現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除する。
 (3) (1)及び(2)に規定する設備、機械、資材及び役務は、両政府の権限のある当局間の別途の合意がない限り、第2条に規定する取決めに定める目的のために使用される。
 (4) (1)及び(2)に規定する設備、機械及び資材のフィリピン共和国内における輸送のための費用並びにそれらの交換、維持及び修理のための費用は、フィリピン共和国政府がその実施機関を通じて負担する。
2(1) 専門家、調査団の構成員及びシニア海外ボランティアの任務の遂行に必要な設備、機械及び資材であってJICAが用意するものは、両政府の権限のある当局間の別途の合意がない限り、JICAの財産である。
 (2) フィリピン共和国政府は、専門家、調査団の構成員及びシニア海外ボランティアに対し、(1)に規定する設備、機械及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(付加価値税を含む。)、関税及び課徴金並びに為替証明書の取得要件を免除する。
 (3) フィリピン共和国政府は、専門家、調査団の構成員及びシニア海外ボランティアに対し、(1)に規定する設備、機械及び資材の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除する。
1 日本国から派遣されてこの協定に基づく技術協力計画に関連してJICAにより与えられる任務をフィリピン共和国において遂行する駐在員及び職員(以下、それぞれ「駐在員」及び「職員」という。)を置く海外事務所(以下「事務所」という。)をJICAがフィリピン共和国において維持することができることが確認される。
2 フィリピン共和国政府は、次の措置をとる。
 (1)(a) 駐在員及び職員に対し、この協定に基づく任務の遂行に関して国外から送金される給与及び手当に対して又はこれらの給与及び手当てに関連して課される所得税を含む租税及び課徴金を免除すること。
  (b) 駐在員、職員及びそれらの家族に対し、当該駐在員、職員及びそれらの家族がフィリピン共和国に到着した後6ヶ月以内に行う次のものの輸入に関し、領事手数料、租税(付加価値税を含む。)、関税及び課徴金並びに為替証明書の取得要件を免除すること。
    (i) 携帯荷物
    (ii) 身回品、家財及び消費財
    (iii) フィリピン共和国に派遣される駐在員1名につき5年ごとに1台及び職員1名につき5年ごとに1台の自動車
  (c) フィリピン共和国に自動車を輸入しない駐在員及び職員に対し、当該駐在員及び職員が自動車を現地購入する場合には、当該自動車が当該駐在員及び職員をフィリピン共和国への到着後6ヶ月以内に購入されることを条件として、駐在員1名につき1台及び職員1名につき1台の自動車に対して課される租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。
  (d) (b)(iii)及び(c)に規定する自動車の登録を容易にすること。
  (e) 駐在員、職員及びそれらの家族に対し、その任期中、フィリピン共和国に入国し、同国から出国及び同国に滞在することを許可し、外国人登録要件に係る手続きに関し便宜を与え、並びに領事手数料を免除すること。
  (f) 駐在員及び職員にに対し、身分証明書並びに専門家、調査団の構成員、シニア海外ボランティア及び協力隊員を送迎するために空港及び海港に出入国手続地点を越えて入るための特別通行証を発行すること。
  (g) 駐在員、職員及びそれらの家族に対し、自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。
 (h) 駐在員及び職員の任務の遂行に必要なその他の措置をとること。
 (2)(a) 事務所に対し、事務所の活動に必要な設備、機械、自動車及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(付加価値税を含む。)、関税及び課徴金並びに為替証明書の取得要件を免除すること。
  (b) 事務所に対し、事務所の任務に必要な設備、機械、自動車、資材及び専門的かつ技術的な役務の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。
  (c) 事務所に対し、事務所の経費であって国外から送金されるもに対して又はこれに関連して課される所得税を含む租税及び課徴金を免除すること。
3 2に規定する自動車が、その後フィリピン共和国内において、租税(付加価値税を含む。)及び関税の免除又は同様の特権を有しない個人又は団体に売却され又は譲渡される場合には、当該自動車に係るそれらの租税(付加価値税を含む。)及び関税は支払われなければならない。
4 2に規定する自動車について、火災若しくは盗難に遭い、実質的な損害を受け又は破壊された場合には、この協定に基づく免除は、駐在員及び職員の任期中いつでも再び適用される。
5 フィリピン共和国政府は、駐在員、職員及びそれらの家族並びに事務所に対し、フィリピン共和国において同様の任務を遂行しているいかなる第三国又は国際機関の駐在員、職員及びそれらの家族並びに事務所にあたえられているものよりも不利でない特権、免除及び便宜を与える。
1 この協定の規定は、この協定が効力を生ずる前に開始した個別の技術協力計画のうち、この協定が効力を生じた後に実施される部分にも適用され、また、当該部分に関連するフィリピン共和国に滞在中の専門家、調査団の構成員、シニア海外ボランティア、協力隊員、駐在員、職員及びそれらの家族並びに設備、機械、資材及び役務にも適用される。
2 この協定の終了は、両政府間の相互の同意により別段の決定が行われる場合を除くほか、実施中の個別の技術協力計画が完了する日までの間当該計画に影響を与えるものではなく、また、当該計画に関連する任務を遂行するためにフィリピン共和国に滞在中の専門家、調査団の構成員、シニア海外ボランティア、協力隊員、駐在員、職員及びそれらの家族に対して与えられる特権、免除及び便宜に影響を与えるものではない。
1 この協定は、日本国政府がフィリピン共和国政府からこの協定の効力発生のために必要な国内手続きを完了した旨の書面による通告を受領した日に効力を生ずる。
2 この協定は、1年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも6箇月の予告をもって協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、毎年自動的に1年ずつ更新される。
 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。
 2006年4月4日東京で、英語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために
 麻生太郎
 フィリピン共和国政府のために
 アルベルト・ロムロ