令和二年十一月二十七日にマジュロで、技術協力に関する日本国政府とマーシャル諸島共和国政府との間の協定の署名が行われ、同協定は、令和二年十二月二日に効力を生じた。
 令和三年六月四日               外務大臣 茂木敏充
○技術協力に関する日本国政府とマーシャル諸島共和国政府との間の協定
(令和3年6月4日外務省告示第192号)
日本国政府及びマーシャル諸島共和国政府は、
両国間に存在する友好関係を技術協力の促進により一層強化することを希望し、
それぞれの国の経済開発及び社会開発を促進することにより得られる相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
(a)  技術訓練をマーシャル国民に提供すること。
(b)  JICAからの専門家(以下「JICA専門家」という。)をマーシャル諸島共和国に派遣すること。
(c)  マーシャル諸島共和国の経済開発及び社会開発に係る計画に関する調査を行うため、日本国の調査団(以下「日本国の調査団」という。)をマーシャル諸島共和国に派遣すること。
(d)  設備、機械及び資材をマーシャル諸島共和国政府に供与すること。
(e)  両政府間の相互の同意によって決定されるその他の形態の技術協力をマーシャル諸島共和国政府に提供すること。
1  JICAがJICA専門家及び日本国の調査団を派遣する場合には、マーシャル諸島共和国政府は、次のことを行う。
 (1) (a)  JICA専門家及び日本国の調査団の構成員につき、国外から送金される給与及び手当に対して又は当該給与及び手当に関連して課される租税(所得税を含む。)及び課徴金を免除すること。
  (b)  JICA専門家及び日本国の調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員につき、次のものの輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。
   (ⅰ) 携帯荷物
   (ⅱ)  見回品、家財及び消費財
   (ⅲ)  マーシャル諸島共和国に派遣されるJICA専門家一名につき一台及びJICA専門家の一家族につき一台の自動車
  (c)  マーシャル諸島共和国に自動車を輸入しないJICA専門家及びその家族の構成員につき、JICA専門家一名につき一台及びJICA専門家の一家族につき一台の自動車の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。
  (d)  JICA専門家及びその家族の構成員につき、(b)(ⅲ)及び(c)に規定する自動車の登録料を免除すること。
 (2) (a)  JICA専門家及び日本国の調査団の任務の遂行に必要とされる適当な事務所その他の施設(電話及びファクシミリの役務を含む。)を自己の負担で提供し、かつ、当該施設の運営費及び維持費を負担すること。
  (b)  JICA専門家及び日本国の調査団の任務の遂行に必要な現地要員(必要な場合には、適当な通訳を含む。)並びにJICA専門家及び日本国の調査団の相手方となる当該任務の遂行に必要なマーシャル人の要員を自己の負担で提供すること。
  (c)  JICA専門家に係る次の諸経費を負担すること。
   (ⅰ)  通勤費
   (ⅱ)  マーシャル諸島共和国内の公用出張旅費
   (ⅲ)  公用通信費
  (d)  JICA専門家及びその家族の構成員に対し、適当な住宅の確保につき便宜を提供すること。
  (e)  JICA専門家及び日本国の調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、医療上の便宜を提供すること。
 (3) (a)  JICA専門家及び日本国の調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、任期中、マーシャル諸島共和国に入国し、同国から出国し、及び同国に滞在することを許可し、外国人登録要件に係る手続に関する便宜を与え、並びに領事手数料を免除すること。
  (b)  JICA専門家及び日本国の調査団の構成員の任務の遂行に必要な全ての政府機関の協力を確保するため、JICA専門家及び日本国の調査団の構成員に対して身分証明書を発給すること。
  (c)  JICA専門家及びその家族の構成員に対し、自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。
  (d)  JICA専門家及び日本国の調査団の任務の遂行に必要な他の措置をとること。
2  1に規定する自動車が、その後マーシャル諸島共和国において、租税(関税を含む。)の免除又は同様の特権を受ける権利を有しない個人又は団体に売却され、又は譲渡される場合には、当該自動車に対して当該租税が課される。
3  マーシャル諸島共和国政府は、JICA専門家及び日本国の調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、マーシャル諸島共和国において同様の任務を遂行しているいかなる第三国又は国際機関の専門家及び調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員に与えられているものよりも不利でない特権、免除及び便宜を与える。
(1)  JICAがマーシャル諸島共和国政府に対して設備、機械及び資材を供与する場合には、マーシャル諸島共和国政府は、当該設備、機械及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除する。当該設備、機械及び資材は、保険料及び運賃込みの条件で陸揚港においてマーシャル諸島共和国政府の関係当局に引き渡された時にマーシャル諸島共和国政府の財産となる。
 (2)  JICAがマーシャル諸島共和国政府に対して設備、機械及び資材を供与する場合には、マーシャル諸島共和国政府は、当該設備、機械及び資材の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除する。
 (3)  (1)及び(2)に規定する設備、機械及び資材については、両政府の権限のある当局間に別段の合意がある場合を除くほか、第二条に規定する取決めに定める目的のために使用する。
 (4)  (1)及び(2)に規定する設備、機械及び資材のマーシャル諸島共和国内における輸送のための費用並びにこれらの交換、維持及び修理のための費用については、マーシャル諸島共和国政府が負担する。
2(1)  JICA専門家及び日本国の調査団の構成員の任務の遂行に必要な設備、機械及び資材であってJICAが用意するものは、両政府の権限のある当局間に別段の合意がある場合を除くほか、引き続きJICAの財産とする。
 (2)  マーシャル諸島共和国政府は、JICA専門家及び日本国の調査団の構成員につき、(1)に規定する設備、機械及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除する。
 (3)  マーシャル諸島共和国政府は、JICA専門家及び日本国の調査団の構成員につき、(1)に規定する設備、機械及び資材の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除する。
1  日本国から派遣され、マーシャル諸島共和国においてこの協定に基づく技術協力の計画に関連してJICAによって与えられる任務を遂行する駐在員及び職員(以下それぞれ「JICA駐在員」及び「JICA職員」という。)を置く海外事務所(以下「JICA事務所」という。)をJICAがマーシャル諸島共和国において維持することができることが確認される。
2  マーシャル諸島共和国政府は、次のことを行う。
 (1) (a)  JICA駐在員及びJICA職員につき、国外から送金される給与及び手当に対して又は当該給与及び手当に関連して課される租税(所得税を含む。)及び課徴金を免除すること。
  (b)  JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員につき、次のものの輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。
   (ⅰ)  携帯荷物
   (ⅱ)  見回品、家財及び消費財
   (ⅲ)  マーシャル諸島共和国に派遣されるJICA駐在員一名につき一台、JICA駐在員の一家族につき一台、JICA職員一名につき一台及びJICA職員の一家族につき一台の自動車
  (c)  マーシャル諸島共和国に自動車を輸入しないJICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員につき、JICA駐在員一名につき一台、JICA駐在員の一家族につき一台、JICA職員一名につき一台及びJICA職員の一家族につき一台の自動車の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。
  (d)  JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員につき、(b)(ⅲ)及び(c)に規定する自動車の登録料を免除すること。
  (e)  JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、任期中、マーシャル諸島共和国に入国し、同国から出国し、及び同国に滞在することを許可し、外国人登録要件に係る手続に関する便宜を与え、並びに領事手数料免除すること。
  (f)  JICA駐在員及びJICA職員に対し、身分証明書並びにJICA専門家及び日本国の調査団の構成員を送迎するために空港及び海港に出入国手続地点を越えて入るための特別通行証を発給すること。
  (g)  JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。
  (h)  JICA駐在員及びJICA職員の任務の遂行に必要な他の措置をとること。
 (2) (a)  JICA事務所につき、JICA事務所の活動に必要な設備、機械及び資材(自動車を含む。)の輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。
  (b)  JICA事務所につき、JICA事務所の任務に必要な設備、機械及び資材(自動車を含む。)の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。
  (c)  JICA事務所につき、(a)及び(b)に規定する自動車の登録料を免除すること。
  (d)  JICA事務所につき、国外から送金されるJICA事務所の経費に対して又は当該経費に関連して課される租税(所得税を含む。)及び課徴金を免除すること。
3   2に規定する自動車が、その後マーシャル諸島共和国において、租税(関税を含む。)の免除又は同様の特権を受ける権利を有しない個人又は団体に売却され、又は譲渡される場合には、当該自動車に対して当該租税が課される。
4  マーシャル諸島共和国政府は、JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員並びにJICA事務所に対し、マーシャル諸島共和国において同様の任務を遂行しているいかなる第三国又は国際機関の駐在員及び職員並びにこれらの者の家族の構成員並びに事務所に与えられているものよりも不利でない特権、免除及び便宜を与える。
1  この協定の規定は、この協定の効力発生の後、この協定の効力発生の前に開始した技術協力の個別の計画にも適用され、かつ、マーシャル諸島共和国に滞在中のJICA専門家、日本国の調査団の構成員、JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員であって当該計画に関連するもの並びに当該計画に関連する設備、機械及び資材にも適用される。
2   この協定の終了は、両政府間の相互の同意により別段の決定が行われる場合を除くほか、実施中の技術協力の個別の計画が完了する日までの間当該計画に影響を及ぼすものではなく、また、当該計画に関連する自己の任務を遂行するためにマーシャル諸島共和国に滞在中のJICA専門家、日本国の調査団の構成員、JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員に与えられる特権、免除及び便宜に影響を及ぼすものでもない。
1  この協定は、日本国政府がマーシャル諸島共和国政府からこの協定の効力発生のために必要な国内手続を完了した旨の書面による通告を受領した日に効力を生ずる。
2  この協定は、一年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対しこの協定を終了させる意思を書面により少なくとも六箇月の予告をもって通告しない限り、毎年自動的に一年ずつ更新される。
3  この協定の終了の後においても、第四条の規定は、引き続き効力を有する。
 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。
 二千二十年十一月二十七日にマジュロで、英語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために 
    齋藤法雄
 マーシャル諸島共和国政府のために
    キャステン・ネッド・ネムラ