令和四年八月二十六日にチュニスで、技術協力に関する日本国政府とチュニジア共和国政府との間の協定の署名が行われ、同協定は、令和五年一月二十七日に効力を生じた。
  令和六年三月四日                外務大臣 上川 陽子
○技術協力に関する日本国政府とチュニジア共和国政府との間の協定
(令和6年3月4日外務省告示第63号)
日本国政府及びチュニジア共和国政府は、
両国間に存在する友好関係を技術協力の促進により一層強化することを希望し、
それぞれの国の経済開発及び社会開発を促進することにより得られる相互の利益を考慮して、
次のとおり協定した。
(a)「政府の専門家」とは、第三条に規定する取決めによって規律される技術協力の個別の計画を実施するために独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)が特定の期間チュニジア共和国政府に派遣する日本国民をいう。 
(b) 「日本国の調査団」とは、チュニジア共和国の経済開発及び社会開発に係る計画に関する調査を行うためにJICAが特定の期間同国に派遣する政府の専門家によって構成される日本国の調査団をいう。 
(c)「JICA駐在員」とは、チュニジア共和国におけるJICAの海外事務所(以下「JICA事務所」という。)の長として日本国から派遣される駐在員であって、チュニジア共和国においてこの協定に基づく技術協力の計画に関連してJICAによって与えられる任務を遂行するものをいう。 
(d) 「JICA職員」とは、日本国から派遣されるJICA事務所の職員(JICA駐在員を除く。)であって、チュニジア共和国においてこの協定に基づく技術協力の計画に関連してJICAによって与えられる任務を遂行するものをいう。 
(a) 技術訓練をチュニジア国民に提供すること。 
(b) 政府の専門家をチュニジア共和国に派遣すること。 
(c)日本国の調査団をチュニジア共和国に派遣すること。 
(d) 設備、機械及び資材をチュニジア共和国政府に供与すること。 
(e)両政府間の相互の同意によって決定されるその他の形態の技術協力をチュニジア共和国政府に提供すること。 
1 JICAが政府の専門家及び日本国の調査団を派遣する場合には、チュニジア共和国政府は、次のことを行う。  
 (1) (a) 政府の専門家及び日本国の調査団の構成員につき、国外から送金される給与及び手当に対して又は当該給与及び手当に関連して課される租税(所得税を含む。)及び課徴金を免除すること。 
  (b) 政府の専門家及び日本国の調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員につき、次のものの輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金(保管、運搬及び税関手続のためのもの並びに自動化された処理に係る手数料を除く。)並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。 
   (ⅰ) 携帯荷物 
   (ⅱ) 身回品、家財及び消費財 
   (ⅲ) チュニジア共和国の停止制度(以下「停止制度」という。)に登録された政府の専門家一名につき一台の自動車 
  (c) 停止制度に登録された政府の専門家であってチュニジア共和国に自動車を輸入しないものにつき、次の場合には、政府の専門家一名につき一台の自動車に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。 
   (ⅰ) チュニジアの認定代理店から購入した場合 
   (ⅱ) 停止制度に登録された者から移転された場合 
 (2) 政府の専門家及び日本国の調査団の任務の遂行に必要とされる適当な事務所その他の施設並びにその相手方となる当該任務の遂行に必要なチュニジア人の要員を自己の負担で提供すること等の措置を通じ、可能な範囲で、この協定及びチュニジア共和国の関係当局とJICAとの間で作成されるこの協定の補助取決めに基づくチュニジア共和国における政府の専門家及び日本国の調査団の全ての業務の実施を円滑にすること。
 (3) (a)政府の専門家及び日本国の調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、任期中、チュニジア共和国に入国し、同国から出国し、及び同国に滞在することを許可し、外国人登録要件に係る手続に関する便宜を与え、並びに領事手数料を免除すること。 
  (b) 政府の専門家及び日本国の調査団の構成員に対し、その任務の遂行に必要な全ての政府機関の協力を確保するため、身分証明書を発給すること。 
  (c) 政府の専門家及びその家族の構成員に対し、自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。 
  (d) 政府の専門家及び日本国の調査団の任務の遂行に必要な他の措置をとること。 
21に規定する自動車が、その後チュニジア共和国内において、租税(関税を含む。)の免除又は同様の特権を受ける権利を有しない個人又は団体に売却され、又は譲渡される場合には、当該自動車に対して当該租税が課される。 
3チュニジア共和国政府は、政府の専門家及び日本国の調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、チュニジア共和国において同様の任務を遂行しているいかなる第三国又は国際機関の専門家及び調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員に与えられているものよりも不利でない特権、免除及び便宜を与える。 
4 1の規定に基づいて認められる特権及び免除は、チュニジア国民及びチュニジア共和国に通常居住している者については、適用しない。 
1 (1) JICAがチュニジア共和国政府に対して設備、機械及び資材を供与する場合には、チュニジア共和国政府は、当該設備、機械及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金(保管、運搬及び税関手続きのためのもの並びに自動化された処理に係る手数料を除く。)並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件免除する。当該設備、機械及び資材は、保険料及び運賃込みの条件で陸揚港においてチュニジア共和国政府の関係当局に引き渡された時にチュニジア共和国政府の財産となる。
 (2)JICAがチュニジア共和国政府に対して設備、機械及び資材を供与する場合には、チュニジア共和国政府は、当該設備、機械及び資材の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除する。 
 (3) (1)及び(2)に規定する設備、機械及び資材については、両政府の権限のある当局間に別段の合意がある場合を除くほか、第三条に規定する取決めに定める目的のために使用する。 
 (4) (1)及び(2)に規定する設備、機械及び資材のチュニジア共和国内における輸送のための費用並びにこれらの交換、維持及び修理のための費用については、チュニジア共和国政府が負担する。 
2 政府の専門家及び日本国の調査団の構成員の任務の遂行に必要な設備、機械及び資材であってJICAが用意するものは、両政府の権限のある当局間に別段の合意がある場合を除くほか、引き続きJICAの財産とする。
1JICA駐在員及びJICA職員を置くJICA事務所をJICAがチュニジア共和国において維持することができることが確認される。 
2 チュニジア共和国政府は、次のことを行う。 
 (1) (a) JICA駐在員及びJICA職員につき、国外から送金される給与及び手当に対して又は当該給与及び手当に関連して課される租税(所得税を含む。)及び課徴金を免除すること。 
  (b) JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員につき、次のものの輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金(保管、運搬及び税関手続のためのもの並びに自動化された処理に係る手数料を除く。)並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。 
   (ⅰ) 携帯荷物 
   (ⅱ) 身回品、家財及び消費財 
   (ⅲ) チュニジア共和国に派遣されるJICA駐在員一名につき一台及びJICA職員一名につき一台の自動車 
  (c) チュニジア共和国に自動車を輸入しないJICA駐在員及びJICA職員につき、JICA駐在員一名につき一台及びJICA職員一名につき一台の自動車の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。 
  (d) JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、任期中、チュニジア共和国に入国し、同国から出国し、及び同国に滞在することを許可し、外国人登録要件に係る手続に関する便宜を与え、並びに領事手数料を免除すること。 
  (e) JICA駐在員及びJICA職員に対し、身分証明書並びに政府の専門家及び日本国の調査団の構成員を送迎するために空港及び海港に出入国手続地点を越えて入るための特別通行証を発給すること。 
  (f) JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。 
  (g) JICA駐在員及びJICA職員の任務の遂行に必要な他の措置をとること。 
 (2) (a) JICA事務所につき、JICA事務所の活動に必要な設備、機械及び資材(自動車を含む。)の輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金(保管、運搬及び税関手続のためのもの並びに自動化された処理に係る手数料を除く。)並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。 
  (b) JICA事務所につき、JICA事務所の活動に必要な設備、機械及び資材(自動車を含む。)の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。 
  (c) JICA事務所につき、国外から送金されるJICA事務所の経費に対して又は当該経費に関連して課される租税(所得税を含む。)及び課徴金を免除すること。 
32(1)(b)及び(2)(a)の規定にかかわらず、特定の物品は、チュニジア共和国の法令に従って、輸入許可証の取得要件及び輸入禁止の対象となる。 
4 2に規定する自動車が、その後チュニジア共和国内において、租税(関税を含む。)の免除又は同様の特権を受ける権利を有しない個人又は団体に売却され、又は譲渡される場合には、当該自動車に対して当該租税が課される。 
5 チュニジア共和国政府は、JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員並びにJICA事務所に対し、チュニジア共和国において同様の任務を遂行しているいかなる第三国又は国際機関の駐在員及び職員並びにこれらの者の家族の構成員並びに事務所に与えられているものよりも不利でない特権、免除及び便宜を与える。 
6 2の規定に基づいて認められる特権及び免除は、チュニジア国民及びチュニジア共和国に通常居住している者については、適用しない。 
1 この協定の規定は、この協定の効力発生の後、この協定の効力発生の前に開始した技術協力の個別の計画にも適用され、かつ、チュニジア共和国に滞在中の政府の専門家、日本国の調査団の構成員、JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員であって当該計画に関連するもの並びに当該計画に関連する設備、機械及び資材にも適用される。 
2 この協定の終了は、両政府間の相互の同意により別段の決定が行われる場合を除くほか、実施中の技術協力の個別の計画が完了する日までの間当該計画に影響を及ぼすものではなく、また、当該計画に関連する自己の任務を遂行するためにチュニジア共和国に滞在中の政府の専門家、日本国の調査団の構成員、JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員に与えられる特権、免除及び便宜に影響を及ぼすものでもない。 
1 この協定は、日本国政府がチュニジア共和国政府からこの協定の効力発生のために必要な国内手続を完了した旨の書面による通告を受領した日に効力を生ずる。 
2 この協定は、一年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対しこの協定を終了させる意思を書面により少なくとも六箇月の予告をもって通告しない限り、毎年自動的に一年ずつ更新される。 
3 この協定の終了の後においても、第五条の規定は、引き続き効力を有する。 
 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。

 二千二十二年八月二十六日にチュニスで、ひとしく正文である日本語、アラビア語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。

 日本国政府のために 
   外務大臣 林 芳正

 チュニジア共和国政府のために
   外務・移民・在外チュニジア人大臣 オスマン・ジェランディ