京都宇治の伝統のこころ 〜品質本位の茶づくり〜(株式会社 丸久小山園)

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案内してくださった斉藤工場長

京都府宇治市に品質本位の茶づくりにこだわる企業がある。創業から約300年の歴史を誇る株式会社丸久小山園だ。伝統と由緒のある企業ながら、同社の槇島工場では見学を随時受け入れており、子供から大人まで茶づくりの過程と同社の品質への取り組みを気軽に学べる。

今回はパラグアイ品質・生産性センターから来日したモニカさん、マルレネさん、マリア・ホセさん、ファティマさんら4名が、「品質・生産性向上」をテーマとする研修の一環で同社工場を訪問した。彼女達は、パラグアイの中小企業の品質・生産性や販売・マーケティングの強化を担うコンサルタントだ。

丸久小山園は…

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お茶のできるまで

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幾度も大臣賞を受賞

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昔と今の抹茶のできる工程について説明を受ける研修員

丸久小山園は、茶の栽培、製造・加工、販売までを一貫して手がける。“品質本位の茶づくり”に長年取り組んできた。社員90名ながら、その年商はおよそ30億円に達する。

槇島工場長の斉藤克祐さんによると「お茶の外観、味、香りなどの風味の審査、安全性を確認するための検査を徹底し、品質の管理と改善に取り組んできた」。その結果、ISO9001:2000や有機加工食品の認証取得も進み、これまでに全国茶品評会第1位・農林水産大臣賞を幾度も受賞するなど、輝かしい実績を誇る。

社員教育もユニークだ。例えば、新入社員には茶道稽古を導入し、取引先とのコミュニケーションの円滑化を試みている。さらに、社内で利き茶大会を開催するなど、社員とお茶の身近な関係が社内に定着している。

研修員の感想

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茶室(工場内)

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初めて見る茶室に興味津々

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茶室で礼儀作法を体験

斉藤工場長の和やかな指導のもと、生まれて初めて茶室での礼儀作法を体験し、抹茶を点てたパラグアイの皆さんに感想を尋ねてみた。

「品質本位の茶づくりへの取り組みが、消費者へ安心感や好印象をもたらし、それが販売につながる好循環が生まれている。理想的な経営が行われていて素晴らしい」(ファティマさん)。

「伝統的な茶づくりが現代にうまくマッチするように加工・販売されており、ビジネスとして成功している。お茶の伝統・文化が受け継がれている点が何より素敵」(マルレネさん)

研修員たちの今後に期待!

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斉藤工場長と研修員

研修員の皆さんは、1ヶ月弱の滞在中に、品質や生産性向上について、こうした視察や講義を通して学びました。

母国で中小企業に対する経営指導の経験を重ね、理論についてはよく理解されている方々ですが、日本で実際に実行されている様子を目の当たりにし、経営者や従業員の方々から直接話しを聞くことで、新たな気づきやヒントが得られたとのことです。

関西で成功を収める中小企業の経験が、彼女達を通じて、パラグアイの中小企業の経営改善につながることが期待されます。

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