「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」〜資源と環境を考える、循環型社会へ〜(大阪:(財)地球環境センター(GEC)、大阪市都市環境技術者会)

環境への取り組みを積極的に行っている大阪市は、毎年多くの環境系コースのJICA研修員を受け入れてくれています。高いゴミ処理技術や、下水道処理技術、発達した公共交通機関などを有する水の都大阪で、その技術を学ぶために来日中の3つのコースの研修員を対象に、(財)地球環境センター(GEC)で、大阪市都市環境技術者会主催のテクニカルフォーラムが開催されました。

テクニカルフォーラムとは

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フォーラム会場の様子

このフォーラムは、環境系JICA研修員が途上国共通の現状、相違点、問題点について共同発表し、大阪市やGECの技術者と情報交換を行うものです。

JICA大阪では、年間約120種類の研修コースを実施していますが、違うコースの研修員たちが同じ場所に集まって意見交換をするというのは、とてもユニークな取り組みです。平成9年度から開催されており、毎年好評を得ています。

各国の環境問題の現状について

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発表準備をする研修員達

今回参加した研修員は、17ヶ国から集まった「自動車公害対策」「地方自治体における都市廃棄物処理」「下水道維持管理・都市排水」3つのコースの研修員26名。フォーラムの中ではコースごとに、各国の環境問題の現状についてパワーポイントを使って発表しました。

大気汚染

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「自動車公害対策」コースの研修員による発表(ベトナム市街地の様子)

「自動車公害対策」コースの発表では、初めにエジプトの首都カイロ・モンゴルの首都ウランバートル・ベトナムの首都ハノイの大気汚染状況が画像を使って説明されました。その後、自動車による大気汚染に対する各国の基準や取り組みが紹介されましたが、同時に自動車に対する規制の未整備や、公共交通機関の未発達など多くの課題を抱えている現状が報告されました。

固形廃棄物による汚染

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「都市廃棄物処理」コースの発表 (出身国の紹介)

「都市廃棄物処理」コースの研修員からも同様に研修員の出身国の紹介後、それぞれの国における、固形廃棄物による汚染の現状が発表されました。

中には不法投棄された廃棄物が川や海に流れ出している映像や、分別されずに廃棄物が山積みされたゴミ収集場の様子、またモンゴルでは冬場の家屋暖房によって出される大量の灰による汚染などが紹介されました。

この研修で得た学びとして、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の大切さや、ゴミ処理技術、教育プログラムなどが挙げられました。

水質汚濁に対する法的な取り組み

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「下水道維持管理・都市排水」コースの発表者:スリランカ出身の研修員

最後の「下水道維持管理・都市排水」コースの発表では、簡単な研修員の出身国の紹介のあと、各国の水質汚濁に対する法的な取り組みが紹介されました。また、この研修に期待することとして、排水の再利用に対する意識改革を生み出していく方法や、環境に優しい原材料の使用についての知識や、より専門的な知識が欲しい時に、日本の製造業の技術的な支援が受けられるようなつながり、など多くのことが挙げられました。技術的なことを発展させる前にソフト面での改革が必要だという研修員の認識が強く現れたものでした。

ディスカッション

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日本の専門家に質問をするベリーズ出身の研修員

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日本の浸出水処理方法についての説明を真剣に聞く研修員

それぞれの研修コースからの発表の後は、研修員、大阪市環境局の方、GECの方から自由に質疑応答をする時間が設けられ、バイオ燃料や、浸出水処理についてなど、専門的で有意義なディスカッションが展開されました。

自国に帰った後、日本で得た知識をもとにそれぞれの分野で技術の進歩に貢献することになるJICA研修員。空気、水、ゴミの問題は複合的に対策を進めて初めて環境改善につながるもののため、今回のフォーラムは彼らにとってとても貴重な意見交換の場となりました。

参加した研修員より

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ロンバルディ・マリアさん(ウルグアイ)

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ガルシア・エマーソンさん(ベリーズ)

  • 一般市民を対象にした町美化プログラムに参加した時、市民のみなさんが積極的に清掃活動に参加していたことが印象的でした。ウルグアイでは人を集めることも、集まった人たちに清掃活動への参加を促すこともとても難しいです。
    (ロンバルディ・マリアさん/ウルグアイ)
  • ゴミ処理場を見学に行った時、社会見学の子どもたち用の設備が整っていたことがとても印象的でした。現場からきちんと教育できる環境が整っていることは素晴らしいことで、見習いたいと思います。
    (ガルシア・エマーソンさん/ベリーズ)

関連リンク

この研修受入れ事業の受入機関は、(財)地球環境センター(GEC)です。