来訪したツァナ次官(右)とバイラクタリ上級援助調整官(左)
コソボは2008年2月に独立した世界で最も若い国です。人口は約220万人で平均年齢は26歳以下、若い力が溢れています。そのコソボと日本の間には2009年2月、外交関係が開設されました。今後はコソボへの日本の支援もどんどん増えていくことになります。2010年6月には、コソボEU統合省次官のツァナ氏と上級援助調整官のバイラクタリ氏が関西を訪問しました。
研修コース:コソボODAコース
受入期間:5月30日〜6月12日(うち関西部分は6月3日〜6月4日)
※本研修は、集団研修「大都市地域環境政策・環境マネージメントシステム」コース(5月17日〜7月2日)に合流する形で実施
今回の視察先「鶴見リサイクル選別センター」
鶴見リサイクル選別センター敷地内を視察するツァナ氏(右)とバイラクタリ氏(手前中央)左はコソボからの研修員。
訪問の目的は、現在実施中の研修「大都市地域環境政策・環境マネージメントシステム」コース(公益財団法人地球環境センターが受託実施)の研修現場の視察です。この研修コースには5カ国から10名の環境政策担当者が参加しており、その中にはコソボからの研修員2名も含まれています。
この日は、大阪市環境局「鶴見リサイクル選別センター」の研修に、ツァナ氏とバイラクタリ氏の2名が合流し、研修員と一緒にリサイクルセンターの設備や実際の作業工程と、大阪市のゴミリサイクルへの取り組み、そしてそのシステムを視察しました。この選別センターでは、処理されたペットボトルの繊維を活用して、カーペットや手袋、大阪市職員の制服なども作れています。皆さん実物を手に取りながら興味深そうに見ていました。
集まったゴミの移動風景
選別後圧縮されたペットボトル
この「鶴見リサイクル選別センター」は大阪市内にある唯一の資源ごみの選別処理センターです。ここでは、大阪市内の一般家庭から出た、ビン・缶・ペットボトルを再利用するために、ゴミを圧縮するなど運搬しやすいように加工しています。このセンターに一日に運び込まれる資源ごみは、およそ15トン。大量のゴミを受け入れているこのセンターには、効率的に作業を進めるための設備があり、また少人数で施設を運営できるような管理システムもしっかりと整っています。
研修員たちと一緒に施設視察
コソボからの研修員(2名)と意見交換をしながら施設視察をするツァナ氏(左)とバイラクタリ氏(右から2番目)
まだ若い国であるコソボにとって、ゴミ処理や下水道処理を含めた環境対策は重要な政策課題であるため、日本の経験がどのようなものかを知ることは大きな意味を持っています。
ツァナ氏の印象に残ったことは、このセンターの「効率の良さ」だったようです。見学のあと「決して大きいとは言えない施設ですが、少人数できちんと運営されており、とても効率的に分別をして、環境にやさしいリサイクルが行われていることに感銘を受けました」「日本の経験、知識あらゆるものを学びたいと思っています」と言っていました。
この鶴見リサイクル選別センターの他にも、関西滞在中には滋賀県の資源循環型の地域づくりを進める、「あいとうエコプラザ『菜の花館』」や、京都市の廃食用油燃料化施設での研修も視察しました。
センター視察を終え、感想を述べるツァナ氏
コソボへの支援が始まったばかりの今、ツァナ氏とバイラクタリ氏の2名が大阪、滋賀、京都を視察し、JICA研修事業への理解を深めることは今後の支援に大きく影響することになります。
コソボのEU加盟を目指すツァナ氏は「はっきりと期限を決めることはできないが、10年以内には…」と意気込みを見せています。また「今回日本で得た学びはこれからEUに加盟するコソボにとって非常に役に立つものだと思います」と述べ、コソボから日本に派遣する研修員の数を増やしていくことにも積極的な様子でした。
この研修事業の受入機関は以下の通りです。