<なら奈良館>世界遺産に登録された「古都奈良の文化財」をはじめ、日本で初めて世界遺産に登録された「法隆寺地域の仏教建造物」、そしてアジアを中心に世界各国の木造の世界遺産を紹介
JICA大阪では歴史街道推進協議会と共同し、日本の歴史文化を体感する研修プログラムのトライアルを開始しました。これは、海外からの技術研修員が、日本の発展した技術を表面的に理解するだけにとどまらず、日本の歴史文化的背景について理解を深め、日本人がどのように他国の技術を学び、また自国の技術と融合しながら現在の日本をつくりあげたのかを学ぶことで、海外からの技術研修員が日本における学びを、どのように自国の産業に適用できるかを考えてもらい、研修成果の向上につなげることが狙いです。
<遺構展示館>何回も建てかえられた柱跡や井戸など、発掘した状態(遺構)をそのまま見ることができる
歴史街道推進協議会は、歴史文化の宝庫である関西を舞台に、日本の歴史文化理解を促進する「歴史街道」計画を推進する官民が連携した協議会です。
大陸の先進文化を積極的に取り入れ、大きさや力強さ、先取の気質が感じられる奈良、それを独自の文化として醸成させ、緻密さや繊細さ、やさしさが際立つ京都、江戸・元禄の華やかな町人文化が花開いた商人のまち・大阪、明治維新後、西洋文化の窓口となった神戸、といったように、史跡や文化財を歴史的な文脈とともに理解し、歴史文化を体感できるプログラムを提唱しています。
<大極殿>間口44m、奥行20m、屋根の高さ27mで平城宮跡最大の建物。9年の歳月をかけ平成22年に完成(注1)
<東大寺大仏殿>木造建築として世界一の大きさを誇る。高さ15m、使用された銅は500tに及ぶ大仏は世界最大の溶着銅像で、8世紀中頃に、外国からもたらされた銅の溶着技術を用いて造られた。日本人の技術導入の巧みさが古くからのものだったことを示す好例
<興福寺>国宝館には天平時代の優れた仏像や宝物が並び、見るものを圧倒する
今回のトライアルでは、「中小企業振興政策」で来日したメキシコ、パナマ、アルゼンチン、トルコ、モンテネグロ、チリ、ウルグアイ、チュニジア、モーリシャスの12名が、10月2日(土)に、奈良を中心に日本文化の変遷を体感するコースを巡りました。
まず、平城遷都1300年祭でにぎわう平城宮跡では、遺構展示館、大極殿(注1)を見学。奈良駅周辺で昼食後、なら奈良館、興福寺国宝館へ。そして、鹿たちの歓迎を受けながら東大寺大仏殿を訪れ、大陸文化の影響をうけた日本文化のなりたちを体感しました。
参加者のアンケートでは全員が「日本文化に興味を持った」「同様のツアーがあれば参加したい」と回答。それぞれの訪問先の印象も「非常に良かった」との回答が得られました。また、自由記述の中には「来年は家族と一緒に日本を訪問する」とのコメントもありました。
「中小企業振興政策」コースを実施する(財)太平洋人材交流センター(PREX)の担当者からも、「歴史文化を体感し、日本社会や日本人の特徴についての理解が通常より深まったようだ」との感想が寄せられ、研修にアクセントを添えるプログラムとなりました。
(注1)大極殿は、現存する同時代の建物からの様式研究とあわせ、古代建築のしくみを新たな視点から理解し直す過程を経て復原された。あわせて、現代の耐震基準を満たすために、免震装置を挿入し、復原建物を地盤から切り離すことで建物本体への構造補強を最小限に抑えるという現代の建築技術の粋を集めた建造物でもある。
この研修事業の受入機関は以下の通りです。