アフリカ(英語圏)「障がい者支援制度」を実施して(2010年7月6日から7月23日まで)

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視覚障がい者への総合的支援について、真剣に耳を傾ける研修員たち

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当事者自立への取組みを伺った全身性障がい者と

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障がい当事者の表現活動現場を訪問

市民活動センター神戸は、JICA兵庫の委託を受け、2009年度に続き2010年度も日本の障がい者支援制度を学ぶコースを7月に実施しました。今回は、アンゴラ・ザンビア・ジンバブエ・スワジランド・タンザニア・ナイジェリア・南アフリカ共和国・モーリシャス・リベリア・レソトのアフリカ10か国から23人が参加しました。NGOや民間の障がい者ケアホームの職員から中央地方の政府職員や公立の病院や学校の職員まで、職業も年齢も様々な23人。前回の14人に比べると大人数だったので研修開始前は心配しましたが、来日して会ってみると、みな実に熱心で、この機会を最大限に活かそうと、どのセッションも質問や相互の議論が白熱し、時間は常に超過気味でした。

研修プログラムは前回のものを基に内容・構成を改善しましたが、研修参加者の主体性と彼らによる運動とその歴史を基礎に置いた点は変わっていません。アフリカ諸国と日本では、経済・社会の状況やそれによるハード面の整備などは全然違いますが、障がい者を取り巻く社会の意識をどう変えていくか、変えてきたかという点では、共有できる部分も多いはずだという思いからです。

現在70から80歳代になる障がい者運動の先達の生き方を描いたDVD上映と、その制作者で活動家の福永年久氏との議論は研修員にとって特に感銘深かったようで、「いつかぜひ福永氏をアフリカへ招き、この話を母国のみなにも聞かせたい。」との声が上がり、プログラムのひとつの山場となりました。

研修員の中に障がい当事者が複数いたことも、前回と異なる点でした。リフト付きバスを用意できなかった日は、みなで協力し合って、体の大きな研修員の乗り降りを手伝うなど、日頃から障がい者支援に携わっている人たちなので、まったく問題ありませんでした。しかし、彼らから発せられる「なぜ私たちの権利を尊重してくれないのだ。」との問いかけは、学びを常に原点に引き戻してくれる素晴らしい存在でした。

研修員たちは、それぞれの国に戻っていきました。日本での学びと互いのつながりが末永く続き、各国の障がい者支援が充実していくように、そしてまたいつか再会できるように、願っています。

特定非営利活動法人市民活動センター神戸
事務局長 実吉 威