タイ「地域保健医療実施管理」を実施して(2010年8月23日から9月9日まで)

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研修の成果をパワーポイントで発表中

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実習室で講師の話に真剣に耳を傾ける研修員たち

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文化発表でタイの民族衣装を着て記念撮影

2010年度は、タイからの研修員14人(医師4人、歯科医師1人、看護師5人、薬剤師2人、保健福祉関係の行政官2人)を受入れました。平均年齢は30歳、女性が11人と多いのが特徴といえます。

研修内容は、公衆衛生、口腔保健、HIV/結核などの感染症、母子保健、在宅看護、高齢者ケアなどに絞り、講義・視察と意見交換会で構成しました。参加者の専門性を考慮して、講義と合わせた現場の視察を入れ、理解を深められるよう意図しました。研修員の皆さんは、とても熱心で、質問や意見など積極的に発言する姿勢が印象的でした。

たつの市はつらつセンターにおける乳児健診やBCG接種の視察では、住民の方々との交流や、地元の医師会長さん(当日の健診担当)から歓迎のお話もあり、充実した現地視察となりました。快く迎えて頂いた同たつの市の皆様に感謝申し上げます。

タイはプライマリヘルスケア(注1)の優等生といわれるだけあって、彼らが作成したアクションプラン(注2)の発表を聞いて、住民参加の活動方法が定着していることを実感しました。「小さな子供のシマ蚊撃退プロジェクト」など、ユニークなものもありました。このアクションプラン作成に当たっては、研修員が自主的に話し合いを行い、テーマ別の班分けが円滑に行われていました。同じ国の人たちなので、参加者間の意思疎通もよく、この研修を通して相互のつながりを深められたように思います。

2010年の夏は、ことのほか暑く長かった。「タイより暑い日本」で、本学に続く急な坂道の登り降りや、午前中講義で午後は視察先まで移動という行程は、少々辛かったと思いますが、誰一人体調を崩すことなく研修を終えることができました。

研修員の皆さんがそれぞれの職場で推進力となり、人々の健康を守る担い手として活躍することを期待しています。

学校法人玉田学園 神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
看護学科 教授 神原 恵

(注1)現実的で科学的妥当性があり社会的に許容可能な方法論と技術に基づいており、コミュニティにおける個人と家族が彼らの完全な参加を通して普遍的にアクセス可能で、自己決定の精神に基づいて発展のすべてのステージにおいてコミュニティと国が維持することが可能なコストで提供可能な、必要不可欠なヘルスケア(アル・マアタ国際会議定義)

(注2)研修員が学んだ内容を自国で活用するために作成する実行計画