JICA兵庫の実施例 地域提案型 浙江省庵東鎮における環境教育・環境創造型農業の普及事業

実施国名:中華人民共和国

実施自治体:兵庫県・豊岡市

実施団体:特定非営利活動法人 食と農の研究所

実施期間:2010年7月から2013年6月まで(3年間)

事業概要:提案事業の概要

現在の活動の様子は…

【2010年度(1年次)専門家派遣】 2010年8月16日から8月24日まで

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西村専門家による「コウノトリ育む農法」のプレゼンテーションの様子

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「緑色野菜」栽培法について熱心に耳を傾ける専門家たち

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予想以上に生物の多様な水路

緑色の水が出る
「中国の水を救って欲しい」という話が私たちへ来たのは2年前のこと。農村からのSOSで、水道水までアオコの異常発生で緑色になる水質汚染を何とかしたいということでした。
教育と農業と
水の話から始まったこの事業。村の中に環境に取組む力を育てるにはどうした良いか、私たちは、「環境に優しい農業の普及」と「学校を核にした環境教育」の2つを事業の柱に据えました。これらの2つの取組みで一番先進地である豊岡市と、環境創造型農業を進める兵庫県農業改良普及センター、そして私たちNPO「食と農の研究所」の3者の協働で、JICA兵庫との草の根技術協力事業(地域提案型)を開始しました。
大きな期待
2010年の夏に庵東鎮に行ってみると、大歓迎を受けました。なんと、人々は村ぐるみで有機農業に取組んでいたのです。きっかけは、例の毒入り餃子事件。日本の商社との取引で、質の高い農産物をつくっていた村では、商社が撤退した後も村人たちが技術を磨いていました。豊岡の「コウノトリ育む農法」への期待は大きく、田畑に野鳥や生き物が生息する農法に関心を寄せてくれました。畑で「無農薬の葡萄です」と語ってくれた若い農村指導者の顔には、農業への熱い思いが溢れていました。
さらに——
この村の環境に優しい農業は国家プロジェクトとして申請中で、隣接する43km3の広大な干潟の湿地公園と共に、庵東鎮は村ぐるみで環境問題のモデル地区になっていました。この期待に応えられるか、日中の協働力が問われています。

特定非営利活動法人食と農の研究所 理事
倉石 寛

【2010年度(1年次)研修員受入れ】2011年2月21日から2月26日まで

コウノトリが運ぶ中国からの友人

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野鳥観察棟から湿地の様子を視察

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コウノトリ育む農法について紹介(岡田氏)

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熱心に質問を投げかける研修員

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水の確保や土壌の様子等、現場で様々な質問が繰り出された。

自然環境に配慮した「コウノトリ育む農法」と環境教育支援事業の一環として、中国浙江省杭州湾新区及び庵東鎮から、教育・農業関係者6人が研修のため来日しました。

2011年2月21日に来日した一行は、早速2010年8月の専門家派遣で調査した現地の水質分析に基づく講義「水環境保全の大切さと方法」を受け、その後、有機野菜のマーケットと中国商品の並ぶ神戸南京町を視察しました。夕方には、兵庫県庁を表敬訪問して環境農政部長・国際交流局長など県幹部と懇談を行い、環境先進県での取組みや神戸市と寧波市の間の深い結びつきなどで話は盛り上がり、予定を越えての歓談となりました。

2月23日から、いよいよ研修本番です。豊岡市に入った一行は、兵庫県農業改良普及センター・豊岡市コウノトリ共生課・教育関連機関の出迎えを受け、まずコウノトリ文化館で「育む農法」と豊岡小学校各校での環境教育の説明を聞き、放鳥や湿地公園を見学しました。夜には、豊岡市長にも加わっていただき、豊岡の環境と海の幸そして温泉をアピールする良い機会となりました。

24日は、農業と教育の2グループに分かれ、教育グループは豊岡小学校で環境教育の授業を見学しました。中国の校長先生は、子供たちに囲まれ質問されたり、一緒に写真を撮ったりするなど大人気。一行は、コウノトリの生態に関するパンフレットなど環境に関する優れた教材と、生徒に寄り添う先生の子供への姿勢に感銘を受けたようでした。

一方、農業グループは、冬期湛水の水田や作業場といった農業の現場で、普及センターの技術員や農家の方からの話を聞きました。実際の農家を見たいとの希望で急遽家まで案内してもらうなど、時間ぎりぎりまで充実したやり取りが続きました。農協といった組織に関心が深く、補助金・収支・肥料に関することなど、踏み込んだ具体的な質問が相次ぎました。研修員の訪問は今回もマスメディアの注目を集め、朝日新聞や読売新聞など4紙の取材を受けました。

神戸に帰った25日は、県の酪農生活センターを視察し、研修員は同センターによる啓発活動や技術普及の設備・体制に高い関心を示していました。

帰国日の昼まで有機認証制度の講義を受けるなど、強行日程ではありましたが、研修員の熱心な姿勢と研修に全面的に協力して下さった豊岡の関係者、特に地域の方々の熱意が研修員一行と通い合い、お互い高め合えた素晴らしい研修となりました。当初はあまり乗り気でなかった有機大豆栽培草分けのおじいさんが「中国へ行く!このプロジェクトのために一肌脱ごう!」と言って下さったのには、一同感激しました。言葉や文化は違っても、同じ農家・教員として、気持ちは通じ合うものであると痛感しました。

特定非営利活動法人食と農の研究所 理事
倉石 寛