タイにおける人身取引被害者とその支援について−世界の社会問題を知る市民参加型研修報告会を開催しました

2016年11月1日

【画像】10月27日(木)宝塚市立男女共同参画センター・エルで、JICAタイメコン地域人身取引被害者支援能力向上研修の報告会を実施しました。
当日は、研修員15名に加え、タイ領事館職員、同センターを利用されている一般市民の方と大学生や留学生等が参加しました。来日した研修員は、タイ国内の人身取引対策を担う省庁、検察庁、警察、被害者保護施設のソーシャルワーカーやNGOの職員です。
報告会ではまずJICAプロジェクトの小田専門家より、人身取引の定義や実態、JICAがタイで行っているプロジェクトの概要について説明をしました。その後、研修員がタイの人身取引問題の現状と取組みについてと今回の研修の報告をしました。
参加した市民にとって、日常生活ではあまり考えることがない「人身取引」という世界の社会問題と、タイの取り組みについて、そこに日本がどう関わっているのかを知る機会となりました。

JICAプロジェクト

発表をする研修員リーダーのスーニーさん

人身取引問題について、タイでは、各省庁、入国管理局、弁護士、警察、検察官、被害者保護シェルター、NGO等の複数機関が連携したMDT(Multi-Disciplinary Team:他分野協働チーム)という方法を用いて取り組んでいます。これは日本の医療や福祉分野でも用いられています。
また、タイでは人身取引に関する法整備がされており、MDTが中心となり対策を行っている一方、日本では直接の法律はなく、関連する法律を用いて対策を行っており、主に警察による被害者認定と民間機関が被害者保護施設の運営等の支援を行っています。  
研修では、この違いを知り、日本の対策の特徴である「被害者中心主義」「ジェンダー視点」の視点を理解し実践に繋げることと、人身取引の「保護・社会復帰」分野において、タイー日本の相互理解とネットワーク構築を目標としています。

タイー日本のネットワーク構築へ

在日外国人の医療サポートをするNPOの視察

タイレストランで働くタイ人スタッフの体験談を真剣に聞いています

 タイの方が制度面は進んでいますが、研修員からは「タイは政府中心となって対策を行っているが、日本は法から離れて民間組織が被害者中心主義で活動していて、そのような視点は私達にはまだ無い部分なので、その視点を持って活動することが大事だと感じた」といった感想が挙げられました。「特に日本では被害者の情報を厳格に守っていて、これはその被害者の将来のためにとても重要なことなので、私達ももっと取り組まなければならない」と言ったコメントもありました。また、「日本ではどのような団体が被害者保護をしているかを知ったので、もし日本国内で困っているタイ人がいたら紹介が出来るネットワークが出来た」という声もありました。

 研修成果の別な一面として、普段、違う組織で人身取引対策について働いている人達が、日本で2週間共に過ごし、コミュニケーションがとれたこともあります。こういったことが、1人の人身取引被害者をチームで救うことに繋がります。
 研修員からは、日本での研修視察先のリクエストも沢山あり要望が高まっています。JICAは、研修成果を持ち帰った研修員の今後の活躍と共に、プロジェクトの推進、より効果的な研修を実施していくよう努めていきます。 
業務第二課 横田 裕子