環境問題に悩む太平洋の島々の行政官、西宮で「タウンビーバー」と出会う

2017年7月4日

廃棄物管理能力向上(応用、計画・政策編)(A)大洋州コースが「タウンビーバー(剪定枝粉砕処理車)」を体験

剪定枝粉砕処理車『タウンビーバー』

6月28日(木)、大洋州10か国(キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア、パラオ、パプア・ニュー・ギニア、サモア、ソロモン諸島、ツバル、トンガ、バヌアツ)の廃棄物行政官10名が、西宮市立甲山自然環境センターで樹木リサイクルについて講義を受け、剪定枝を粉砕しチップ化できる移動車「タウンビーバー」の作業を実際に体験しました。

JICA関西では、廃棄物管理を学ぶ大洋州の中央/地方公務員を、NPO法人こども環境活動支援協会(LEAF)の協力を得て例年受入れています。本年度は、6月12日から7月8日まで、神戸、西宮、福岡、広島などで自治体の関係施設や関連企業を訪問しています。

昔、島の自然資源によって生活していたこれらの国々では、近年、生活の近代化により、輸入品が人々の消費の重要な部分を占めるようになっています。それら輸入品は使い終わった後、すべてその国でゴミとなりますが、ゴミ量の増大とともに、処分しきれないゴミが生活環境を悪化させ、貴重なサンゴ礁などの生態系にも悪影響を与えるという問題が発生しています。地球温暖化による海面上昇で、国土が水没していくリスクに直面している国もあり、限られた国土に対して、ゴミ量をどう削減するのか?は緊急の課題です。
このたびは、大洋州地域において課題となっている有機物系ごみの中でも代表的な樹木ゴミの処理に焦点を当て、神戸、西宮を中心に、剪定枝等を粉砕車でチップや堆肥にリサイクルしている株式会社 山羽造園 の作業を体験も交えて視察しました。

現場で枝をチップ化し森に返す、移動処理車による究極のリサイクル

車両後部でのシュレッダー作業を体験する研修員。

できたウッドチップを、森の広場に車載タンクから直接敷設中。

研修員達は、まず甲山自然環境センター所長でもあるLEAF小川雅由理事と山羽造園 山西栄一 取締役/営業部長から説明を受け、甲山自然環境センターでその日実際に剪定枝の処理作業をしている「タウンビーバー」を視察しました。
この「タウンビーバー」、後部に大きなシュレッダーとチップを蓄積するタンクを載せた、タンクローリーほどの大きさのトラックで、兵庫県内で唯一の機材とのこと。かなり大ぶりな枝も短時間で、不快な騒音も無く、粉砕されていく様子に、研修員も驚いていました。

出来たチップの上を歩いてみるとフカフカな感触で、自然環境センターの子供の遊び場のグラウンドカバーや堆肥として利用され、やがては土に還っていくとのこと。
市民が自然体験学習を行うためのキャンプ場等を有する森林の管理には、山火事予防等のための間伐や剪定が不可欠です。以前は、その作業で出た樹木ゴミはクリーンセンターに運んで焼却処分していましたが、タウンビーバーの導入で森の中で処理することが可能になりました。
甲山の生態系のバイオマス総量という視点からみれば、その栄養を使って育った樹木の剪定枝を外部で焼却すると、収支はマイナスということになりますが、その場でチップ化して森林に還元すれば増減なしという山西部長の説明に、研修員は大きな感銘を受けたようでした。

日本は各国と同じ環太平洋の島国であり、「タウンビーバー」に象徴される、循環型社会を目指す廃棄物管理は大きな注目を集めています。関西で学んだ研修員達が、大洋州地域の持続的な廃棄物対策に研修の成果を活用することが期待されます。