11月3日、公開フォーラム「世界の博物館2017」が 国立民族学博物館にて開催されました

2017年11月10日

11月3日(金・祝)、大阪・吹田市の国立民族学博物館にて、JICA課題別研修「博物館とコミュニティ開発」の一環として公開フォーラム「世界の博物館2017」が開催され、9か国・地域の10名の研修員が参加しました。

まるで世界の博物館めぐり!? ユニークな世界各国の博物館

遺跡の写真に加え、詳しいレクチャーまで!(トルコ・イルカイさん)

研修員は、学芸員や修復士等の博物館専門家です。それぞれが勤務している博物館や自身の職務について発表を行いました。

 博物館の役割の一つとして、その国の発展や歴史の伝承が挙げられます。トルコのアナトリア文明博物館およびアンカラ修復保存地域研究所所属のイルカイさんは、館内の展示物について紀元前1万年前から20世紀初めのトルコ共和国建国までの歴史的背景も交え紹介しました。イルカイさんの本職は修復士なのですが、表現豊かかつ分かりやすい解説はまるで館内ツアーガイドのよう。映像も交えた発表に会場全体が魅了されました。

この頭に付ける飾りはお気に入りの1つ(バヌアツ・カイティップさん)

 国が異なれば博物館の収集物もさまざまです。バヌアツのカイティップさんが勤める国立博物館では、後世に文化財を継承するため、地域の人々から伝統行事に使う品を借り受け、博物館で管理することもあります。祭りの際に使われるという収集物等を画像で紹介しながら、「(保存の環境が)100パーセントの条件でなくてもベストを尽くすことが大切」と語りました。

企画展「音と静寂」の様子を紹介(アルメニア・アレタさん)

 また、博物館の収集物は形あるものだけとは限りません。アルメニアのアレタさんが勤めるアルメニア国立コミタス博物館では、アルメニア伝統音楽の伝承を行っています。彼女によると「歌を歌うことはアルメニア人の生活の一部」と言われるほど、音楽は人々の生活に深く根付いているそうです。様々な村の人々が歌うフォークソングを収集したり、子守歌を歌うワークショップを開催するなど、途絶えがちな伝統を守ろうとする取組を紹介しました。以前は教師をしていたというアレタさんですが、博物館職員として学校では難しかった子供たちへの文化教育活動に取り組みたいとの熱い思いも語ってくれました。 

子供たちが対象のワークショップを開催(ヨルダン・イブラヒムさん)

 また最近では、博物館の役目は収集物の展示・保存にとどまらず、地域のコミュニティにおいて人々をつなぐ役目も担っています。ヨルダンのイブラヒムさんは、地域の工芸組合と協力し、伝統的な土器を作るワークショップを開催した例を紹介しました。このワークショップの目的は、地域の人々が自身の文化の独自性や価値に気付いてもらえるようにとのことでした。

課題別研修「博物館とコミュニティ開発」について

この「博物館とコミュニティ開発」研修は、国立民族学博物館・滋賀県立琵琶湖博物館等の協力により、博物館運営に関する基礎技術を習得する「博物館技術」コースとして1994年に始まりました。その後、時代の変化とニーズを汲み上げ、コース内容を改善しながら実施され、2015年度からは博物館が地域コミュニティに果たす地域開発・社会連携の役割について学ぶ事がメインテーマとして加わり、現在に至っています。約3か月の研修期間ですが、この研修が研修員達にとって有意義なものとなり、帰国後に活かせるよう願っています。ご来場頂きました皆様、またご協力頂きました関係者の皆様に感謝申し上げます。

業務第一課 安本真理子