JICA研修員、和歌山県北部の紀美野町で日本の夏を満喫!

2019年9月13日

紀美野町の皆さんと

快晴に恵まれた9月8日(日)、滋賀・京都・大阪・兵庫の大学院で学ぶJICA研修員(留学生)15名が紀美野町を訪問。様々な体験を通して地元の方と交流し、日本の夏を楽しみました。

和紙を使ったうちわ作りを体験

楮の木も生える自然豊かな紀美野町

和紙にのりを塗って貼り合わせ

竹の骨組みを切って

ふちに紙を貼るのは難しい。集中!

マイうちわができました!

昔ながらの工法で手漉(す)き和紙を製作されている「和紙工房あせりな」さんで「うちわ作り」を体験しました。

和紙の原料は楮(こうぞ)の木の皮。紀美野町の山にも楮の木は生えているとのことで、始めて見る植物に興味しんしん。まずは、楮の木の皮が和紙になるまでの行程について、工房の西森さんより解説を受けました。

それから、手漉き和紙を使ったうちわ作りが始まります。

好きな和紙を2種類選んだ後、はけで和紙にのりを塗り、竹の骨組みを間に挟みます。のりを慎重に塗る人、大胆に塗って先生に塗りむらを指摘される人など、研修員の性格も垣間見え、うちわ作りの作業が続きます。和紙の表と裏の判別も中々難しいようです。

「自分の国のうちわも丸い形をしている。日本は持ち手の部分が竹になっているが、自国のものは全て同じ植物を編んで作る(キリバス出身 ミカエレさん)」など、皆さん自分の国のうちわについても話し合っていました。

普段アパートや学生寮に住んでいる研修員にとって、日本家屋も新鮮なよう。ふすまや障子(しょうじ)、鴨居(かもい)や家具の写真を撮っていました。

最後に、研修員を代表し、シリアのエステファンさんがお世話になった工房の西森ご夫妻に「手漉き和紙で自分のうちわを作れたこと、和紙の作り方を知ることができてとても良かった。ありがとうございました」と日本語も交えながら感謝を伝えました。

地元の方と合流

鮎の塩焼きを食べながら

おいしいと大好評の鮎の塩焼き

うちわ作り体験後、川遊びやBBQ、宿泊ができる「たまゆらの里」さんへ移動。地元の高校生やJICA海外協力隊の帰国隊員、紀美野町観光協会の方など、地元の皆さんや開発途上国の研修員との交流に関心を持ってくださった14名の方々と合流し、昼食を食べながら自己紹介タイム!

すぐに鮎を食べられるよう、先に焼いていてくださっていた鮎をいただきつつ、英語や日本語、フランス語、スペイン語などが飛び交います。

川遊び、そして紀美野町についての意見交換

冷たくきれいな貴志川の清流

清流につかりながら

本格的に泳いでいます

鮎をさばくムスタファさん

思い思いに山と川を満喫

楽しんでます!

昼食後、熱中症にならないよう十分に水分補給もしながら、本日参加者の皆さんが心待ちしていた川遊びへ。

少し深いところで泳いだり潜ったり、足を清流につけながらのんびり談笑したり、豊かな自然環境を満喫しました。

川に放流した鮎を手でつかまえる体験にも挑戦!つかまえる度に山あいに歓声が響きます。つかまえた鮎はセネガル出身のムスタファさんが率先してさばいてくれ、塩焼き作りも体験しました!



普段は別の大学院で学んでいる研修員同士、そして地元の方との交流が深まっていく中、通り雨をきっかけに川遊びは終了。

最後は、自然豊かで都市ではできない経験ができる一方で、人口減少・高齢化などの課題も抱える紀美野町について、1日の体験を通した感想と外国人観光客誘致に向けての意見交換のセッションです。

もともと『訪日観光客「0」の町 紀美野町』というPRムービーで2018年に有名となった紀美野町について、開発途上国出身で日本での生活も長い研修員からは様々な感想・意見が出ました。

⚫ 山・川などの自然が豊かで、とても良かった。JICA関西からの地域のイベント案内として紀美野町の星を観るイベントの紹介があったが、日本語の情報が主であり、参加したいと思ったが実際は難しかった。日本語以外の情報発信も積極的に行うと良いのではないか(フィリピン出身ミコさん)
⚫ 車(レンタカーなど)を運転できない外国人観光客にとっては、紀美野町は公共交通機関での移動が難しく、訪問できないのが一つの課題だと思う。また、紀美野町の特産物の情報やユニークなお土産物があると更によい(ミャンマー出身ヌーさん)
⚫ 都市と地方との差があるのは他の国も同じ。同じような課題にチャレンジしている紀美野町の人に会えて良かった(セネガル出身ムスタファさん)
●出身地は紀美野町と似た環境だが、SNS映えする写真が拡散したことで観光客が増えた例がある。そのような情報発信を外国人向けにも積極的にしてはどうか(タイ出身ミャウさん)

紀美野町観光協会の方からは「住民、日本人が気付かない地域の資源について研修員からの意見をいただけたことが大いに参考になった」とのコメントをいただき、双方にとって有意義な時間となりました。


以下、後日研修員から寄せられた紀美野町訪問の感想を紹介します(英文)。
[Mr. Chavanont Khosakitchalert(Thailand)]This event provided a good opportunity to visit the countryside of Japan that cannot access by public transportations. Furthermore, I could communicate with local people and experienced some traditional craftsmanship. It would be great if in the future there are public transportations that tourist can use to access there. I'm willing to help promote it via SNS in Thailand.

[Mr. Moustapha Thiam(Senegal)]I would like fist of all to thank you JICA Kansai for giving us such nice opportunity to know more about Japanese society and increasing our experience day by day. This event was really good for me and rich of new experience for the first time to make Uchiwa(Paper fan) by myself which is impressive. Also I joined at the river by catching fish that it really fun with amazing BBQ. Therefore, the people who welcomed us with open arms were very nice and we had an interesting discussion about Kimino town with the problem they are facing specially the inaccessibility of the location. For this, my suggestion is to partner with the local government for revitalizing Kimino town in order to be convenient and accessible for tourist and everyone who wish to experience its speciality.

JICA関西では研修員の日本理解を促進するため、文化体験や地域の方々との交流ができる機会を提供しています。今回参加した研修員の皆さんは、紀美野町での1日を通し、自然豊かな環境を体験し、また、地方が持つ課題を知ることができました。この日にできた人とのつながりや体験が国や文化を超え、持続可能な開発目標(SDGs)の達成へつながりますように!