「第9回中南米日系社会との連携調査団」帰国報告

関西からは3社が参加しました!

2020年3月2日

2020年2月2日から2020年2月15日までの14日間、「第9回中南米日系社会との連携調査団」がブラジルに派遣されました。同国でのビジネス展開に関心を有する13社のうち、関西地方からは医療分野、農業分野、廃棄物処理分野のそれぞれで活躍する以下の3社が参加しました。

1.株式会社京都科学(医学・医療教育用教材の開発・製造・販売)
2.ジージーピー株式会社(プロバイオティクス混合飼糧CRONOBE、事業開発コンサルティング)
3.甲陽興産株式会社(環境総合コンサルティング、環境マネジメント、産業廃棄物収集運搬業)

同調査団は、約2週間の行程の中でサンパウロ州、パラナ州、ミナス・ジェライス州の3州を訪問し、ブラジル及び日系医療機関、廃棄物処理会社、日系農業協同組合や農家等を視察しました。各訪問先において、遠い昔に日本から海を渡った日本人移住者及びその子弟によって築かれた日系社会への理解を深めるとともに、開発課題に関する情報収集や自社製品のプレゼン、現地関係者との意見交換を行いました。

2月2日に到着した同調査団は、翌日から行程を開始し、まずはサンパウロにある「ブラジル日本移民史料館」にて日本移民の歴史について理解を深めました。その日の午後、ブラジル日本商工会議所にて開催された「ブラジル市場の概要ブリーフ」では、ブラジル日本商工会議所の平田藤義事務局長、JETROサンパウロ事務所の大久保敦所長、BBBRグループの倉智隆昌CEO、佐藤ジルセウ弁護士、上野マミ会計士、三井住友海上ブラジルの長谷川晃シニアマネージャーらによるプレゼンテーションを通じて、ブラジル経済の展望や同国におけるビジネス展開の留意点、商工会議所の機能等について学びました。

2月4日「サンパウロ・ビジネスネットワーキング」JICA佐藤所長挨拶

「サンパウロ・ビジネスネットワーキング」の会場は満席に

続いて行われた商談会

2月4日以降、13社は各分野に分かれた現地視察を開始しました。㈱京都科学の荒木氏は、医療分野の一員として日系病院や州立大学附属病院、シミュレーションセンターや介護施設等を視察し、情報収集や医療関係者との意見交換を行いました。ジージーピー㈱の藤崎氏は、農業分野の一員として野菜農家、肉牛農家、農業協同組合や酪農家等を訪問しました。甲陽興産㈱の辻氏は、日系病院や現地の廃棄物処理会社を訪問した他、環境教育を実施している公立学校の視察も行いました。調査団参加企業は、サンパウロのみならず、2月6日にはロンドリーナ、2月9日にはクリチバ、2月11日はベロ・オリゾンテへと移動し、各地で精力的に情報収集を行い、関係者とも活発な意見交換を行いました。

パラナ日伯文化連合会(アリアンア)のロンドリーナ・モデル校を訪問した際には、13社の中から、甲陽興産㈱を始めとする計3社が出前授業を行いました。当日は小学校低学年から大人まで約30名が参加し、年代別に3グループに分かれ、甲陽興産㈱の辻氏によるリサイクルゲームに挑戦しました。モデル校からは「日本人から日本文化と日本語を教えてもらう貴重な体験となった。座学のみならず体験してみる事の大切さを再認識した。」との感想を頂きました。

日本への帰国前日となる2月14日、JICAブラジル事務所で実施された報告会では、㈱京都科学の荒木氏より「ブラジルにおけるシミュレーション教育はまだこれからという印象を受けた。当地で貢献出来る可能性を感じた。」との報告があった他、ジージーピー㈱の藤崎氏からは「同国は健康問題を抱えており、人間向け製品にニーズを感じた。ペットショップや獣医も多く、ペット用についてもビジネスチャンスがある。」との報告がありました。甲陽興産㈱の辻氏からも、「ブラジルでも環境意識は高まりつつある一方、環境教育はまだ十分に行き届いておらず、ゴミの分別やリサイクル意識の低さが課題。同社として役立てる事があるのではないか。」との意見が出ました。

㈱京都科学については、「エクアドル共和国におけるUHC人材育成の為のシミュレーション教育普及・実証・ビジネス化事業」が採択されており、今後エクアドルにて普及・実証事業を開始予定です。また、他にもJICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」への応募や、自社でのブラジル出張・継続調査を検討している参加企業がおられ、参加企業13社のこれからの動向が注目されます。