【インターンシップ体験記】 JICA大阪にインターンがやってきた!<その2>

【画像】古賀 愛子

京都大学 総合人間学部 2回生
古賀 愛子

インターンの志望動機

私は、もともと「国際関係」や「国際協力」に関心があったのですが、JICAという機関が、どのような事業を展開することによって、「国際協力」という活動を世界中で実践しているのかということを、実際に感じたいと考えたことから、インターンシップへの応募を決めました。つまり、「国際協力」を形にする仕事への好奇心からの参加でした。

インターン期間中の業務

私は、8月9日から19日までの約2週間にわたって、インターンシップに参加し、研修業務課の中で、主に「中小企業振興のための金融・技術支援」という内容の研修に関するレポートのとりまとめおよびその分析に携わらせていただきました。そのレポートには3種類あり、1つ目はインセプションレポートで、研修へ参加を志望する方々が、研修前に中小企業支援に関する自国の現状や問題点を調査し、分析したものです。2つ目はアクションプランで、研修への参加者が、日本での研修の終了後に、その経験を自国での問題解決にどのように活かすかということを提示したものです。そして、3つ目はファイナルレポートで、研修への参加者が自国へ帰国した6か月後に、現地での政策がどの程度進行したか、また、その時点でどのような問題に直面しているかを報告したものです。私は、これら3種類のレポートをもとに、現状把握、問題点の抽出、それらに対する解決策、現地での実施状況の把握、実施に伴う問題点の抽出というプロセスを経て、より効果的な支援策の考察、よりよい研修の実施のための分析を行いました。

分析を通して、様々な課題が浮かび上がってきて、国や地域によってその政治体制や社会制度、文化的背景が異なるため、一言で「中小企業支援」と言っても、一筋縄ではいかないという難しさを実感しました。また、中小企業への支援が比較的進んでいると考えられている日本においては、考えられないような問題が潜んでいることも多く、それぞれの国や地域の視点から問題をとらえることの大切さも感じました。

インターンを通して感じたこと

私が、インターンシップを通じて考えたことはまず、国際理解、国際協力とは何かということです。明確な答えが何かは分かりませんが、それぞれの価値観を互いに受容し、尊重したうえで、両者あるいはいくつかの国や地域が、どのように関連しあって結びついているのかを、しっかり考えることが不可欠であるということを感じました。また、様々な文化的、社会的背景を抱える開発途上国に対して、先進国と呼ばれるような国々が一方的に「援助」や「支援」を行うことは必ずしも適切な方法とは言えず、互いが1つ1つの国として成立しながらも、必要不可欠なパートナーとして連携しあえるような状態にもっていくことが大切であると考えました。そして、一言で「国際協力」と言っても、現地での活動と、それを統括する活動といったように、様々な関わり方があり、それぞれが大切な活動であるということを感じました。

今後どのように活かすか

私が今回のインターンシップを今後に活かしたい点は、大きく2つあります。

1つ目は、様々な立場から、様々な状況や背景を考慮したうえで、物事を考えることの大切さを忘れないようにしたいということです。「国際協力」の活動においては、それに関わる人々の国籍・民族・人種などが様々に異なるという事実が前提となるため、特にその大切さを意識することが多いと思われますが、このような姿勢は、今後どのような活動をするにしても大切にしなければならないと感じました。

そして、2つ目は、同じ目的に対して、様々な関わり方をすることができ、そのそれぞれの活動が必要不可欠なものであるということを意識することを忘れないようにしたいということです。例えば、JICAという組織においては、「国際協力」という大きな目標の下に、現地で実際に体を動かして働く方々や、日本や海外の拠点で情報のとりまとめを行い、よりよい活動に活かすための仕事をする方々がいて、その双方が必要不可欠なものであると実感しました。
 
インターンシップ期間中には、JICA大阪の職員の方々からお話を伺う機会もありました。皆さんは、世界の様々な国や地域で、様々な種類の活動をされているほか、JICAで働くまでの経緯も様々で、海外での活動中のエピソードやJICAとの出会いなど、貴重なお話をたくさんお聞きすることができ、有意義な経験になりました。最後になりましたが、今回インターンシップという形で私達を受け入れてくださったJICA大阪の皆様に心から感謝しております。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

担当者からのメッセージ

古賀さんには、研修員のレポートや研修成果であるアクションプラン(行動計画)、また、研修員帰国後の進捗状況を確認するためのプログレスレポートのとりまとめをお願いしました。主にご担当いただいたコースでは、研修員との直接の交流はありませんでしたが、瑣末な事務仕事にも笑顔でご対応いただき、国際協力の取組みや意義を学ぼうとする真摯な姿勢に、とても感謝しております。

インターンを通じ、途上国政府機関の行政官である研修員が、日本での研修を通じて得た気づきや知見を活用し、作成する自国の政策・制度・業務の課題改善に向けたアクションプランを数年単位で分析することにより、より途上国のニーズに合った協力案件の形成につなげていくことの意味を理解され、各国の多様性を学ばれたことは、担当としても大変嬉しく思います。国際協力には様々な関わり方がありますが、JICA大阪でのインターンの経験が古賀さんの進路選択への一助になれば幸いです。ご活躍を祈念しております。