【インターンシップ体験記】 JICA大阪にインターンがやってきた!<その8>

【画像】石坂 希

立命館大学 国際関係学部 3回生
石坂 希

※2011年度までは、旧JICA大阪と旧JICA兵庫が、別々に業務を行っていました。以下の記事は、当時のものをそのまま掲載していますので、ご了承ください。

インターンの志望動機

私はこのインターンシップ研修に参加するにあたり、2つの獲得目標を設定していました。JICAの業務内容を知るということ、そして自分自身のキャリアビジョンを明確にするということです。

私は以前より途上国開発に強い関心を持ち、大学入学後より正課・課外を問わず様々な場面での学修に取組んできました。そして、3回生の夏期休暇を前に自らの進路について考える機会が増えてきて、漠然と「将来は途上国開発に関わる仕事をしたい。」と考えていました。しかし、具体的な職種や将来続けていく仕事としての適性については明確にできておらず、ただぼんやりとした希望が宙に浮いているのみでした。

そこで、政府開発援助の実施機関であるJICAでのインターンシップを通して、その業務の実態や現場のニーズ・課題を知り、それに対して活かすことのできる現時点での自分の強みや今後獲得すべき能力を模索しようと考えました。

インターン中の業務

インターンシップ期間中は主に、研修業務課で「地方自治体行政強化」に係る業務に関わらせていただきました。業務内容は、研修員たちが来日前に作成した活動計画や来日中の日誌のとりまとめ、3日間の研修同行、ホームページ用記事の作成などです。さらに、「安全な出産のための助産師研修」については、帰国6か月後の研修員各自の活動進捗状況について調査するためのアンケート作成に携わりました。どの作業も何度も改定作業を繰り返し、担当のJICA職員の方と相談しながら納得のいく成果物を残させていただきました。

インターンを通して学んだこと

私がインターンを通じて学んだことは主に2つあります。

まず1つ目は、国際協力において自分の役割を認識し、割り切って活動していくことが大切であるということです。国際協力の活動をする時には3つの活動があると考えています。1つ目は政府のような場所でODAなどの大きなお金を動かす活動、2つ目はJICAのような仲介組織で政府と開発途上国を繋げる活動、3つ目は実際に開発途上国で支援を行う活動です。それぞれの活動は国際協力において重要であり、1つでも欠けると国際協力に支障をきたします。また、それぞれの活動は限定的であり、活動できる範囲は限られています。そして、今回JICA大阪でインターンをして気づいたのは事務作業の多さです。政府と開発途上国を繋げる役割を担うJICAでは事務作業が多いため、自分が実際に国際協力に貢献しているという実感を得にくいと感じました。しかし、ミクロ的ではなくマクロ的な視点で見てみると、その事務作業一つ一つが国際協力に貢献している活動です。国際協力をしているという実感は少ないですが、JICAではJICAの役割があると認識し、それを割り切ることがとても大切であると実感しました。

2つ目は、仕事には終わりがないとうことです。今回JICA大阪で実際に働いている職員の方々と一緒の場所でインターンをさせていただきました。職員の方々を見ていると山のような仕事があり、それをこなしているという感じがしました。また、業務時間を過ぎても残って働いている方もたくさんいました。実際、今回私がインターン中に課された課題があったのですが、業務時間外にしてすぐに終わらせることも可能であると感じました。しかし、その課題を終わらせたとしても次の課題があり、またそれを終わらせても次の課題がる。このように仕事には終わりがなく、ずっと働き続けなくてはいけないということです。そこで私が思ったことが、仕事ではタイムマネージメントが大切ということです。仕事には終わりがないため、一つひとつの仕事を効率的にある程度の良い質で仕上げる。そして、一つひとつの仕事に優先順位をつけ、全ての仕事を一気にこなさないということです。一つ一つの仕事にこだわると仕事の効率が悪くなってしまい、仕事が遅くなる。目の前にある全ての仕事をこなそうとすると、莫大な仕事の量に疲れてしまい、自分を壊してしまう。そのようなことにならないために、仕事はある程度の質で効率的に行い、仕事に優先順位をつける。以上が終わりのない仕事のために大切であると私は実感しました。

今後どのように活かすか

研修を通して気付いたことから、今後の新たな目標が見えました。それは、「常になぜを問いかけること」と「様々な職種についてより広く模索すること」です。自分には課題発見・解決能力が不足していることを述べましたが、大学で国際関係学を学ぶに当たっても、広い視野を持ちながら学際的な分析を行うことが必要となりますし、仕事をするようになれば問題を発見し、それを解決・改善することが多く求められるため非常に重要な能力です。その能力を伸ばすために、普段から一つ一つの事柄について「なぜ」を問い、事実に対して疑問を持たず、容易に受け入れることのないよう心がけようと思いました。そして、これから本格的に始まる進路選択において、「国際協力」と言ってすぐさま思いつくような職種以外にも範囲を広げ、多くの選択肢の中から自分に本当に合う仕事を見つけたいと思いました。

今回の研修を通して、上述したように様々なことを学びとり、今後やるべきことも見えました。そして、JICA職員の方々と交流する中で、女性としての働き方について考えたり、目標にしたいと思えるような方にも出会えたりしました。この研修は、自分自身の進路選択において非常に有益なものとなったに違いありません。これはひとえに、研修に参加するに当たりお世話になったJICA職員の皆様のおかげであると感じています。この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。

担当者からのメッセージ

石坂さんのコメントの通り、JICAの仕事は非常に多岐に渡るものの、どちらかと言えばデスクワークが多いです。ただ、各国の政府関係者や日本国内の国際協力の関係者とやり取りし新規プロジェクトを立上げるなどは日本のODAを運営するこの組織ならではの醍醐味かと思います。ただ、実際に現場で指導を行い現地の人々と汗を流すのは専門家やボランティアなどで、我々はその種を撒き、その管理をサポートする立場です。

今回インターンをされ、JICAという組織を客観的に見ていただけたことは、今後の進路選択の上でも有益であったかと思います。ご自身の希望と適性をうまく組み合わせ、自分にあったキャリアを見つけられることを願っています。短い期間でしたが、ご自身で考え着実にコツコツと仕事をされる姿はとても好感が持てました。これからもその姿勢を忘れずに頑張ってください。