千里の道もこの一歩から

【写真】宮本 和昌(みやもと かずまさ)SARAYA East Africa代表・AISUD代表
宮本 和昌(みやもと かずまさ)

はじめまして。大阪に本社を構え、自然派衛生関連商品を主に扱うサラヤが、ウガンダに立ちあげた初のアフリカ拠点SARAYA East Africaの代表と、マイクロファイナンスを活動の主軸に据えウガンダの村落開発に従事する非営利団体AISUD(アイサド:Agriculture Innovations for Sustainable Development Uganda)の代表を務めている宮本和昌と申します。

短期協力隊隊員としての任期を終えた後、再びウガンダに戻り、もっとじっくりと腰を据えて国の発展に携わることができれば、という希望を持っていた私の背中を押して踏みだすきっかけをくれた「国際協力!次の一歩プログラム」(因みに私が応募した頃は「市民参加協力海外プログラム」という名前でした。)と、その後のウガンダでの活動について紹介します。

ウガンダとの出会い

そもそも、私がウガンダと関わるようになったのは、実はまったくの偶然でした。

協力隊短期隊員案件に応募した時は、他に本命の国・案件があり。面接時の手応えでも、ほぼ赴任が決まったつもりでいたのです。しかし、待てど暮らせど青年海外協力隊事業部から赴任に関する詳細の連絡が来ない。やきもきしていたところに、突然の事務局から電話。「実は、諸事情により第1志望で希望されていた案件が無くなりそうです。代わりに第2志望のウガンダでも良いでしょうか?」その場の勢いだけで「はい!喜んで!」と、回転ずしチェーンの店員さんも真っ青な勢いで返事をし、電話を切った後、慌てて世界地図を開いてウガンダの位置を確認しました。

根っからの貧乏性の私は、上述の通り本命の案件があったものの、協力隊応募用紙の第2志望以下を空欄で提出するのが何やらもったいないような気がして、偶然その時、募集案件で条件的に応募できたウガンダの村落開発普及員案件を記入していたのです。そんな完全に「何となく」でウガンダと書いた私は、改めて世界地図で位置を確認し、「こんな場所の田舎で7か月(の案件でした)か…。」と一人部屋で嘆息しました。

青年海外協力隊in ウガンダ

【画像】それが果たしてどうしたわけか、隊員として赴任した先のウガンダの農村部を歩き回り、バイクで走り回るうちに、ウガンダが持つ大きな可能性、溢れるエネルギー、魅力にすっかり取りつかれ、任期も半ばを過ぎようかという頃には、「7か月なんて短すぎる!」と言い出す始末。隊員としての任務はこなしつつも、これまた半ば勢いだけで、私の様な専門的な技術も知識も持たない人間が一番効率よく村落開発に寄与できる(と思われた)村落部の住人向けマイクロファイナンス組織立上げに走り回っていたのです。そして、何とか組織登記の目途がついたところで、協力隊としての任期満了し、日本に帰国しました。

どうする?私を待つウガンダの人々!

【画像】しかし、ここで、困った事が一つ。何の専門知識も目ぼしい経歴も持たない若造が、いきなりウガンダでマイクロファイナンス組織を立ち上げました!と言っても、まさかそんな組織に融資をして下さる奇特な方が多く居るはずも無く…。初めは自己資金を切り崩しつつ組織、活動を回して行かなければ行けないことは当然覚悟していたものの、組織立上げに伴う様々な手続きから渡航の準備まで実際にやってみると、これが中々に物入りでした。

マイクロファイナンスという活動の性質上、「手持資金=裨益者数」と資金力は直接活動の充実度に響いてきます。できれば極力お金は使わず、資金の温存に務めたいところですが、障害の1つは航空券代。20時間もかけて直行便の無いアフリカの真ん中まで飛ぼうというのですから、ある程度は覚悟していたものの片道航空券ということもあり、これが本当にその当時(いえ、今もですが…。)の私にとっては目玉の飛び出るようなお値段だったのです。

これだ!「国際協力!次の一歩プログラム」

果たしてどうしたものかと途方に暮れていたところ、たまたま訪れた旧JICA大阪で、担当の職員の方からご紹介頂いたのが、「国際協力!次の一歩プログラム」(市民参加協力海外プログラム)でした。

煩雑な手続きと長い審査を経なければいけないこの手の支援計画とは一線を画す「国際協力!次の一歩プログラム」。活動実績が少なく、人手が足りない組織でも、やる気・アイディア・今後の展望があれば応募でき、まさに立ち上がったばかりの組織の「一歩」を後押ししてくれる素晴らしいプログラムでした。

この時支援していたウガンダへの片道航空券代は、当初の組織のウガンダでの運営費3か月分又は10軒近くの農家さんへのマイクロクレジット融資額に相当するものでした。

次の一歩から大きな前進!

ウガンダでの活動を始める支援を頂きAISUDが立ち上がって早2年半。その間、当初の目標の1つであった内部資金による組織の持続性については、何とか目途がつきました。

また、当初ユニセフがウガンダで行っていた衛生啓発プロジェクトを支援する形でウガンダに関わっていたサラヤから、本格的にウガンダで事業を始めるに当たって一緒にやってみないかとお声が掛り、その後、立ち上がった医療機関での衛生改善を通じて、乳幼児死亡率や妊産婦死亡率の低減といった地域が抱える問題に寄与することを目指すサラヤの事業は、「BOPビジネス連携促進」にも採択いただくこともできました(これらの経緯については、サラヤやAISUDのウェブサイトやブログをご覧ください)。

「これでとりあえずは満足。」というわけではもちろんありません。AISUDでは、農家さんたちの収入向上を目指し、様々な農村開発プロジェクトの導入。サラヤでは、医療機関だけでなく村落部での衛生環境改善や周辺国への事業の拡大等々。むしろ、まだやっとやりたかったことが動き始めたかなというところです。

千里の道も一歩から。長く険しい、しかし、その先に果たしてどんな光景が広がっているのか、心の底からワクワクさせてくれるこの長い道を歩み始める次の一歩を踏み出す機会を私に与えてくれた「次の一歩」プログラム。皆さんも「国際協力!次の一歩プログラム」で、そんな一歩を踏み出してみませんか?