【JICA研修員】「自然災害からの事前復興計画」コース閉講式

【画像】イスタンブール市消防局 機械技師(研究開発)
Mr. Bilgin Fatih(ビルギン・ファティス)
研修コース名:自然災害からの事前復興計画
研修期間:2013年1月6日から2013年3月2日まで

研修員代表あいさつ(日本語による答辞)

ローマ字で書いた日本語のスピーチ原稿を必死に目で追いながら、感動的なスピーチを届けてくれました。

突然にすべて日本語で行われた研修員のスピーチに、関係者全員が驚きながらも、会場全体が暖かい雰囲気に包まれました。

研修員から、イスタンブール市消防局の記念絵皿が贈られました。研修が修了するごとに、多くの国・機関から記念品が贈呈されます。

研修関係者一同の記念写真。異なる8か国から集まった研修員は、約2か月間、協力し合って大きな成果を残しました。

はじめまして。
私は、ファティスです。トルコから来ました。私は、イスタンブールの消防士とエンジニアです。

まず、本日は私たちのプレゼンテーションをお聞きくださり、ありがとうございました。私たちは、それぞれ違う8か国から来た14人ですが、皆このような研修に参加できたことをとても光栄に思います。

日本は、災害のデパートです。ですが、その日本に来たからこそ、多様な災害や対策について学ぶことができました。特に、地震と津波は私たちの多くが抱える問題なので、神戸の事前復興計画や、その計画の施行法を学んだことは、とても大きな収穫でした。さらに、被災地である東北に行くことができたのは、深い意味のある経験となりました。同時に、楽しみながら学ぶことの大切さを、再認識しました。

若栃でのホームステイは、私たちの心に一生残る思い出となりました。家族の皆さんの優しさや彼らと共に時間を過ごしたことは本当に素晴らしい経験でした。

神戸では、震災の事前・事後を含めた復興計画を学ぶことができました。この、日本におけるユニークな経験を、私たちはそれぞれの国に持ち帰ることとなります。
私は消防士なので、火災に対する予防策については、特に興味深く学ばせていただきました。どれだけの備品や機器があっても、輸送路や交通手段が確保されていないと意味がないこと、また、火災に備えて地下に貯水タンクを備えることなどは、イスタンブールやほかの都市における将来的な課題のひとつであると言えます。

仲間との友情も、この研修を通して得たもののひとつです。Amigo(スペイン語で「友達」の意)・Peng you(中国語)・Dhonoobad(ベンガル語)・Rah may theri(ディベヒ語)・Kaibigan(タガログ語)・Dost(トルコ語)・Noau tau(フィジー語)・友達。(本研修には、ペルー・メキシコ・中国・バングラデシュ・モルディブ・フィリピン・トルコ・フィジーからの研修員が参加。)言い方は国によって違いますが、私たちはこの研修によって、チームとなり、今後世界のどこにいても、お互いを助け合うことでしょう。皆さんお疲れ様でした、そして、ありがとうございました。

JICAのみなさん、日本で私たちが快適な2か月間を過ごせたのもすべてJICAの皆さんのお力添えがあったからです。いろいろな機会を与えていただき、充実した研修に参加させていただいたことに感謝します。
KICのみなさん、講義における準備や様々なご協力、本当にありがとうございました。特に山田さんの細やかなサポートや、須藤さんのアドバイスに深く感謝します。
白幡さん、私たちのスーパー通訳さん兼スーパーコーディネーターさん、あなたの正確な翻訳にいつも私たちは助けられました。
そして冨田さん、困ったときには冨田さんに伺えばすべての問題が解決しました。ありがとうございました。
立木先生と勝木さん、有益な講義やワークショップをしていただきありがとうございました。
最後に、本荘先生、世界各国であなたが必要とされていることは、間違いありません。先生のご指導に深く感謝します。

みなさん、ご清聴ありがとうございました。



JICA関西は、今年度、年間約200コースの研修を実施しており、いずれも、閉講式では研修員代表から答辞のスピーチが行われます。
しかし、全文を日本語でスピーチするというケースは非常に稀で、式典に集まった全員が、ファティス氏の日本語の上達と、感動的な内容に強く心を打たれました。

なぜ、彼は日本語でスピーチを行ったのか、その決意は来日した最初の朝に芽生えたようです。帰国後、スタッフとのメールのやり取りの中で、あるエピソードを語ってくれました。

「今回初の来日でホテルに滞在した最初の朝、目が覚めて部屋の窓を開け、外を眺めました。そこで、『Feel KOBE』と大きく書かれた看板を見つけ、その時私は神戸を感じよう、と思ったのです。そして、いつも親切で礼節を重んじる日本の人々に尊敬の念を伝えるため、日本語を勉強しようと決めたのです。ありがとう、神戸市民の皆さん、JICAの皆さん。感謝しています。」

関西の地で、彼らが学び得たものは、講義で見聞きした技術や教訓だけではなく、日本が誇る風土や日本人の心も大きな要素だということを、彼のスピーチは改めて実感させてくれました。