研修コース名:平成25年度国別研修「中国環境教育」
研修協力機関:財団法人京都市環境事業協会(京エコロジーセンター)
研修期間:2013年8月14日から8月30日まで
中華人民共和国環境保護部宣伝教育司宣伝教育処 処長
林 玉
JICA関西は、開発途上国から研修員を受入れ、関西2府4県に所在する様々な団体・企業・大学などの協力を得て、年間約270件の研修コースを実施しています。研修員は、日本で技術を学ぶことはもちろんのこと、風土や文化などから様々なことを感じています。研修最終日に実施する閉講式で聞く彼らの声から、普段私たちが気づかない日本の新しい一面や、日本人の素晴らしさを改めて認識することができます。それらを皆さまに知ってもらうため、閉講式で述べられた答辞を紹介します。
閉講式で記念品を贈呈する林団長(真ん中)とJICA関西の徳橋次長(右)、研修監理員の北川氏(左)。
(原文は中国語)
こんにちは!
皆様が私にこのような挨拶の機会を与えてくださったことを、とても光栄に思っております。どうもありがとうございます。
それでは、まず本研修に参加した6名の参加者に共通する感想を述べさせて頂きます。
1. 大いに収穫のある研修でした。研修に参加した6名のうち、5名が環境教育に、1名が教育報道に携わっています。そのため、各自の仕事との関わりが深く、内容も非常に適切であり、それぞれ学ぶことも多く、仕事にとても役立つ研修でした。参加者の中には職場の主要な責任者も何名かおりますので、研修の成果を今後の仕事に活用していきたいと申しています。
2. 行程や日程が適切に手配されていました。神戸から京都、東京、熊本、北九州へ行き、また京都へと、日本の大部分をまわることができました。限られた期間でしたが、日本各地の風情をできるだけ肌で感じることができ、ルートもよく考えられており、経済的でもありました。内容が豊富で、環境教育のほか、水俣病やその歴史についても学ぶことができ、日中文化比較の講義やNPO活動センターの訪問も手配して頂いたので、日本の社会を総合的に理解することができました。
3. 今回の研修を支えてくださった方々にお礼を申し上げます。まず、最もよく交流のあった研修監理員の北川様、京エコロジーセンターの岩松様、新堀様についてお話しいたします。北川様は通訳に際し大変真面目かつ厳格な態度で臨まれ、適当な所や曖昧な所は一切ありませんでした。苦労も厭わず、生活や移動などにおいてもお世話してくださいました。岩松様と新堀様は我々の研修を根気よく指導してくださり、大量のテキスト準備、講義、中間レビュー・修了時評価と様々な面での連絡や調整に心血を注いでくださいました。皆様のきめ細かい手配が深く印象に残っています。JICA関西のスタッフの皆様は行き届いた後方支援を提供してくださいました。JICA関西、JICA東京、JICA九州では、送迎から、受付、レストラン、宿泊など、職員の皆様の懸命な心温かい行き届いた対応に心から感謝するとともに、JICAの援助に感謝申し上げます。また、言葉が通じず、習慣も違うことから、ご迷惑をおかけしたこともあるかと思いますので、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
次に個人的な感想を述べたいと思います。中国文学の巨匠である魯迅は、若い頃日本に留学し、彼の作品は「教科書の骨子」とも呼ばれています。私は魯迅を大変尊敬していますが、彼に内山完造という日本人の友人がおり、しかも「親友」であったことが私には長年理解できず、疑問を抱いておりました。しかし、日本での研修に参加した17日間で、その見方が変わりました。私は中国人と日本人は「親友」になれると信じています。
以上をもちまして私の挨拶とさせて頂きます。どうもありがとうございました。
環境教育施設の展示方法について研修員に説明する京エコロジーセンターの岩松事務部長
学んだことをまとめる方法について研修員に説明する京エコロジーセンターの新堀氏
JICAでは、日中両政府の合意の下で中国環境保護部(=環境省)の下部機関として設置された日中友好環境保全センターを対象に、2008年から5年間の予定で技術協力「循環型経済推進プロジェクト」を実施しています。同プロジェクトの5つあるサブプロジェクトのひとつ、「国民の環境意識の向上プロジェクト」では、中国全土で環境教育を担う人材を育成しています。今回の日本での研修はその目的に資するため、日中友好環境保全センター職員を含む6名の研修員に、京エコロジーセンター等の日本の環境教育施設の視察、環境教育人材の育成プログラムの体験等を通して、日本の環境教育の理念・取り組みや具体的な施設の運営・人材育成の方法を学び、中国における環境教育の質の向上につなげてもらうことを期待して実施されました。
6名の研修員は皆勉強熱心で、講義の後には必ず活発な質疑応答が行われた他、移動中の新幹線の中でも学んだことをノートにまとめていたのが印象的でした。講義や視察の合間には、日本人との間でお互いの文化から家族のことまで、話に花を咲かせていました。
日中関係については政治や経済など難しい課題もありますが、このような人と人との結びつきにより相互理解が深まり、新たな時代の両国間の関係が築かれていくことを期待しています。