JICA研修員の帰国後レポート(シリアからの続報)

感謝状を受け取るハイデル氏

内戦の続くシリアから、2009年度の研修「総合経営管理」コースに参加したハイダル氏(毛織会社社長)の最近の活動報告が届きました。2011年、12年の報告の続報です。
「日本の研修で得た知識や日本の心をシリアの仲間たちに伝えていくと約束したので」と、第2の都市アレッポに踏みとどまり、精力的に情報発信に取り組んでいます。

アレッポ大学でセミナーを実施

日本センターからの感謝状

2013年春、アレッポ大学の学術交流日本センターで3日間のセミナー「総合経営管理−カイゼン」が開催されました。食糧や水が足りず、発電所が攻撃を受け電気も止まり、道路も寸断された中、70人の参加者を得て無事に実施されたとの知らせに、現地関係者の努力に頭が下がる思いです。セミナーでは、日本が第2次世界大戦から復興した経験を、シリアの再建に活かそうと呼び掛けられました。実際に日本での研修に参加したハイダル氏が、大阪と東京で学んだカイゼンを紹介し、セミナーはカイゼン活動を広げる人材育成の重要性で締めくくられました。

【アラビア語の教材作成】

アラビア語教材

ハイダル氏は日本で学んだことを、アラビア語の教材『総合経営管理:日本式アプローチであるカイゼン』にもまとめました。「カイゼンは長い道のりではあるが、それ自身が目的ではなく、人材育成と品質管理を通じてビジネスの成功を目指すもの」としています。アラビア語と英語の用語集も掲載されています。この教材はシリアのJICA研修員同窓会の支援を受け、首都ダマスカスで印刷されました。
更に彼はフェイスブックを通じて、帰国後の活動成果を他の帰国研修員と互いに共有し、知識を深める努力をしています。

ハイダル氏からのメールにはこうありました。「私たちは信じています。暗闇の日々がいつか終わり、明るい太陽が顔を出すことを。戦後の復興を達成させた日本は、世界の国々にとって生きた教材です。」
帰国研修員たちは、JICAのシニア海外ボランティア等の支援を受けながら、今も現地で活動を続けています。

JICA関西 業務第1課 戸倉裕子