収集作業チームとトーマスさん
(一番左がトーマスさん)
研修コース名:大都市環境政策・環境マネージメントシステム
研修期間:2013年5月6日から6月22日まで
役職:南アフリカ共和国政府インフラ経済開発局地方開発プロジェクト・マネージャー
名前:トーマス・コロコト
技術研修実施機関:公益財団法人地球環境センター(GEC)
研修監理員(通訳・同行):片橋 仁美
(敬称略)
ポイ捨てや不法投棄されたごみが町のいたるところで見られる。
トーマス・コロコトさんは、南アフリカ共和国政府インフラ経済開発局の地方開発プロジェクト・マネージャーです。2013年5月から6月の約1か月半、JICA研修「大都市地域環境政策・環境マネージメントシステム」へ参加しました。同研修は、経済発展・産業開発によって引き起こされる大気汚染、水質汚濁、騒音、廃棄物の増加等の環境問題への対策を計画・実施するための人材育成を目的としています。
研修での学びや分析を通じて、トーマスさんは「町のいたるところに投棄されている廃棄物の適切な処理」を早急に取り組むべき問題として設定し、帰国時に廃棄物収集改善のための計画を作成・発表しました。帰国後には勤務先関係者への研修成果報告会を開催し、その後も計画の実現に向けて着実に行動をおこしています。
ごみ捨て場に無秩序に捨てられたごみを集める作業員たち。分別排出はされておらず、腐った肉などから悪臭が発生している。
先日は、現在の廃棄物収集の問題点を知るために、同僚とチームを編成し、北西州の州都マフィケング市でごみ収集車両の後を追いかけて作業員の動きやごみ捨て場の観察と時間計測を行う調査(タイム・アンド・モーション・スタディ)を実施し、関係機関を集めて結果報告会を開催したとの連絡を頂きました。報告会では、当面の改善点として、以下があげられました。
-収集作業の効率化(作業時間の短縮、収集作業チーム・シフトの見直し)
-最終処分場の改善(飛散防止フェンスの設置、トラックスケールの設置、法制度の整備)
-資源再利用の促進(既存の有価物回収システムの分析・整備)
トーマスさんは、今後、この結果をもとに具体的な計画を作成し、それに従って改善を行っていきたいと述べています。
トーマスさんからは、研修成果として発表した内容を実現するために技術支援をしてほしいとのことで、帰国後まもなく連絡を頂きました。これを受けて、研修中に廃棄物処理の講義をして頂いた講師((株)エックス都市研究所 平賀良氏)より、定期的にアドバイスをして頂いています。
平賀講師は、トーマスさんの分析結果と行動力を高く評価しており、「是非、実現に向けての努力を続けてほしい。その一方でこの先の活動計画の実現が最も困難な局面となることから、是非、彼が意欲を持ち続けられるよう、今後ともJICAとともに応援していきたい。」とのコメントを頂いています。
日々、世界中から研修員の方々を受け入れているJICAにとって、今回のような報告を頂くことは非常に嬉しいニュースであり、我々の仕事の醍醐味です。帰国後もコミュニケーションの継続や技術面でのフォローアップを継続することの重要性を再確認するとともに、帰国した研修員の皆さんの更なる活躍を支援するためにJICAとしてできることを探っていきたいと思います。
JICA関西 業務第二課 北島 知美