JICA関西インターンシップ体験談〜三吉 世里子さん〜

京都大学 法学部3年 
三吉 世里子

インターンの志望動機

【画像】私はかねてから国際関係に漠然とした興味を持っており、大学で国際政治学を学ぶにあたって、「人の移動」、「社会的弱者」、「政策」をキーワードとして関心を抱くようになりました。今回、JICA関西でのインターンを志望した主な理由は、「国際協力」が果たす役割がまさに私の興味のある分野に繋がっていること、JICAが日本の代表的な国際的組織であり、また国際協力において官と民の接点となる組織であること、そしてインターンとして国際協力の実務の現場を体験できるだろうかと期待したこと、の3つです。また、大学3年生の夏というタイミングでもあり、インターンを通じて今後の自分のキャリアをどう描くか考える良い機会にもなるだろうと思い、参加させていただきました。

インターンを通して学んだこと

「環インド洋経済圏貿易・投資フォーラム」の様子。

私が主に携わらせていただいたのは、業務第一課における民間連携部門の業務です。日本の民間企業、とりわけ中小企業の海外展開を支援することで、彼らが持つすぐれた技術や製品を活かして、援助相手国にとって「痒い所に手が届く」援助を実現しようという試みが民間連携です。この部門において、JICAの支援事業に採択され実際に事業を行った会社へのヒアリングや民間企業向けのセミナー開催といった業務を通じ、JICAと民間企業との接点を体験して、主に二つの学びを得られました。

一つは、「ODA」や「国際協力」の外交的な意義を理解できたことです。JICAが行う業務はあくまで公的な立場での支援であり、国と国との間でのやり取りです。しかし、海外から研修員を受け入れて日本の技術や経験を学んでもらうこと、日本の民間企業の技術力や人的資源を開発途上国の経済や社会福祉の向上のために役立てるべく民間企業の海外進出を支援すること、そしてそれらを通じて生まれるさまざまな関わりから日本と開発途上国の友好・協力関係を育んでいくことは、恐らく日本が国として最も効果的に行うことのできる“外交”の一手法ではないかと思います。また、そういった援助活動は一過性のものではなく、導入した技術や製品が現地に根付くまでには時間がかかるため、粘り強く取り組み続けなければなりません。援助活動の中での交流から、双方への好意や信頼が醸成されていき、それがひいてはJICAや日本への信頼感に繋がるのだと思います。業務を通じてJICAの取り組みにかかわり、国同士の関係を築いていくのは政治家だけの仕事ではない、一市民や一企業の行いが国家間のあり方に影響を与えるパワーも大きいのだと実感しました。

もう一つは、視点を変えること・視野を広げることの大切さを学んだことです。大学の講義では書物や議論から知識を得ることがほとんどですが、インターンでは現場の業務を体験し、実際に国際協力を実行する立場の人たちが何を考え、どのように活動しているか、またそこに携わるそれぞれ立場の違う人たちはどのように取り組みを捉えているか、そういった多様な視点に触れることができました。一つの対象をさまざまな見方で捉えることは、国際協力のような多くのアクターが関わる取り組みにとって非常に重要であると同時に、多様化・複雑化が進む現代の国際社会の問題解決においても必要不可欠です。JICA・相手国・民間企業といったさまざまな立場からの見方や意見を直接その方から伺うことができたのはとても貴重な経験になりました。

今後どのように活かすか

インターンシップの総括を発表する三吉さん。

私は将来的に国際機関で働くことを志しています。そのため、卒業後はそのまま大学院へ進学しようと考えており、また研究者になるという道にも関心を持っていましたが、今回インターンで実務に携わってみると、実際に現場で働くことに対して非常に興味が湧いてきました。私自身ずっと、特定の国や企業の利益にとらわれず多くの人に対して国際的に貢献できる仕事をしたいと思っており、その気持ちは今もあまり変わっていません。しかし、このインターンを通じて、一国の政府の関係機関でありながら自国だけでなく相手の国、ひいては私企業と、WIN-WIN-WINの関係を築こうという日本のODAのあり方に感銘を受けました。ボーダーレス化が進む中、一国に生じた出来事が瞬く間に世界中に伝播し影響を与えていくことは免れません。ODAはそれをマイナスではなくプラスの現象として広めていけるのではないかと思います。「情けは人のためならず」という言葉は、まさにこのことを表現しているような気がします。政治や経済の表舞台には現れない、しかし確実にこの国を支えているたくさんの秘められた力が日本にはあるし、それを活かそうと頑張っている人たちも大勢いるのだと感じました。

JICA職員、外交官、NGO、民間企業など、アプローチは多々ありますが、一つの道にとらわれず、さまざまな選択肢の可能性を検討しながら、日本にも世界にも貢献できる仕事をしたいと思います。また、そのために多様な角度から世界を見る目を養っていき、自分の武器となるものを磨いていきたいです。

最後になりましたが、お世話になりましたJICA関西の皆様、また業務の中で接する機会を頂いた外部の関係者様方、本当にありがとうございました。

担当者からのメッセージ

2週間のインターンでは民間連携事業を中心に、本邦研修や草の根技術協力についても体験してもらいました。特に民間連携では、外部セミナーへの参加とJICA主催セミナーへの対応、JICAの支援を受けて海外展開を準備中の企業訪問、広報活動支援等に幅広く取り組んだことで、様々なことを感じ、考える機会になったと思います。セミナー参加や企業訪問ではしっかりとした報告書を作成いただき、自分のスケジュールもきちんと管理していた点、感心しました。これからの活躍にとても期待しています。