神戸大学大学院 保健学研究科
博士課程後期課程 2年
澤 龍一
私は以前から「日本語以外の言語で、外国の方と仕事をしたい。」「誰かのためになる仕事をしたい。」と考え、漠然と国際協力の分野での仕事にあこがれを抱いていました。2013年10月から6ヶ月間、インドネシアの医療の現状を学ぶために留学した際、看護実践能力強化プロジェクトでインドネシア保健省に赴任されているJICA専門員の方と話をする機会があり、単に国際協力と言っても関わり方はたくさんあるのだということを知りました。
この時に生じた「国際協力とは私にとって何なのか。私は国際協力に対してどのように関わりたいのか。」といった疑問を解決したいと思い、自ら体験して肌で感じることが出来るインターンシップへの参加を志望しました。
授業補助をする澤さん
研修員に囲まれて
インターンシップ期間中、私は業務第二課に配属され、主に「研修員受入事業」の補助に携わりました。特に防災分野のコミュニティ防災(B)には当初から関わり、一つの研修コースにおける専門員、コーディネータ、JICA職員それぞれの仕事を補助する機会を頂くと同時に、研修員と同じ目線で講義に参加し、東北被災地の見学にも同行しました。また、インターンシップ期間中に勉強をする中で、災害時要援護者への対応について疑問を抱き、国内外の比較をするために研修員にアンケート調査を実施しました。その結果、研修員達の国では親族が互いに助け合える距離に多く住んでおり、「コミュニティの支え合う力が強いこと」、また災害発生時においては家族の垣根を越えて互いに助け合う「自助・共助の意識が高いこと」が分かりました。
その他にも福利厚生事業の一環である高校生と長期研修員の交流会における研修員の引率、広報業務としてのFacebookやホームページの記事作成を行いました。また大学院で学んでいる専門分野である「理学療法・地域保健について」JICAの皆さんの前で発表する機会も頂き、様々な経験をしたとても内容の濃いインターンシップでした。
スタッフの皆さんと
これは私がJICA関西という国内機関でのインターンシップを志望した理由の一つですが、「国内での国際協力とは何か」ということを学びました。おそらく多くの人が私と同じように、「国際協力」と聞くと海外での活動を最初に想像すると思います。国内機関では海外から研修員を受け入れ、日本における経験やそこから得た教訓や知識、技術を伝えるということをしています。私は防災分野におけるそれに携わりました。私たちが当たり前と思うことが海外の研修員にとっては新しい発見であり、一つ一つが貴重な知識となっていることを研修に同行して感じました。それと同時に、まだまだ私の知らないことが国際協力につながっていることを知り、本当に良い体験が出来たと思います。
二つ目にJICAという組織の仕事環境です。JICAで働くと言っても職員、コーディネータ、専門家と多くの方が一つの研修に携わりますが、皆さん仲が良く、協力してお互いに補い合いながら仕事をしているのを間近に見て、素晴らしいと思いました。インターンシップの学生であり、不慣れな私を周囲の皆さんがサポートして下さったおかげで私もインターンシップ期間中、楽しみながら国際協力について勉強することが出来ました。
私はインターンシップに参加して、国や役所など行政を司る側が、法律や条例を施行するようなトップダウンだけではなく、コミュニティからのボトムアップの重要性を理解することが出来ました。日本の知識や技術が開発途上国に伝えることが出来るようになるには、トップダウンによる仕組みの作成だけでは成り立たず、その仕組みをコミュニティで運用し、洗練させていくことで初めて伝えるべき知識や技術となります。阪神淡路大震災の経験から、日本は防災における自助・共助の重要性を確認し、それにより神戸市では「防災福祉コミュニティ」という自助組織を各地域に組織しました。しかし単なる組織化ではなく、各コミュニティにおける組織の活動内容の深化が日本の伝える知識や技術になっていることを改めて強く感じることができました。そのため、今後はまず民間においてJICAの研修事業で取り上げてもらえるような地域発のプロジェクトを企画・運営してボトムアップに尽力し、国内から国際協力に貢献したいと考えています。
最後になりましたが、お世話になりましたJICA関西の皆様には心から感謝申し上げます。貴重な経験をさせて頂き、今後の自身のライフプランにも強く影響するインターンシップとなりました。本当にありがとうございました。