閉講式でスピーチをするウゲンさん
役職名 公共事業省移住部 主任都市計画担当官
名前 Mr. Ugyen M TENZIN(ウゲン))
研修コース名: 2014年度 災害に強いまちづくり戦略コース
研修期間:2015年1月12日から3月7日まで
神戸復興20年の節目に始まった「災害に強いまちづくり戦略コース」に参加した8か国14人の研修員は、3月6日(金)に閉講式を終えた翌日、それぞれ母国へと飛び立ちました。閉講式では、先日記事を寄稿してくれたウゲンさんが研修員を代表してあいさつを述べました。以下その要旨をご紹介します。
美カエル・大キャラバンを想いだしてポーズ
私はブータンから参りましたウゲン・テンジンです。
本日、私はブラジル、ミャンマー、ネパール、フィリピン、タイ、トンガ、トルコそしてブータンから本コースに参加した研修員を代表してスピーチをする機会を頂き大変光栄です。
JICA関西センターに到着してから早2か月近くが過ぎました。8週間に及ぶ集中的な学びの内の60日間は、見学と研修で学んだことの振り返りを行いました。月日や時間を数えるのは容易なことです。しかし、そこで私たちが学んだ教訓や獲得したスキル、友情や共有した経験を数値に置き換えることはできません。研修を通して私たちは心の底からの感動を覚え、自らの見識がより良いものに変化したことに気づきました。これらすべてのことが可能となったのは、JICAが私たちの国の鼓動を感じ、そのニーズを理解し、支援の必要性を認識したうえで私たちを招いてくれたからです。言葉だけでは十分でないことは承知の上で、敢えて私はJICAへの感謝の気持ちを表したいと思います。本当にありがとうございました。
私たちは厳粛でありながら、感動的な希望の灯り、メモリアルウォーク、献花、黙祷など1月17日に行われた様々なイベントに参加しました。神戸市長を表敬訪問する栄誉も賜りました。また、様々な分野の専門家や地域住民のみなさんと交流し、学ぶ機会を得ました。私たちは今、「防コミ」や「まちづくり」などに、単に言葉の意味だけでなく、特別な意義を理解しています。
私たちは、研修以外の時間も忙しく過ごしました。カラフルなワンワールドフェスティバルに参加しました。寺院や神社、お城や公園を訪ね、ショッピング街へも繰り出しました。うどん、そば、刺身を味わい、飲める人はたまにお酒も嗜みました。西はりま展望台で星を観察し、六甲山から神戸の百万ドルの夜景も楽しみました。日本の年長の方のアドバイスを傾聴し、若者の志にも耳を傾けました。これらすべてのことを可能にしてくれたJICA関西、神戸国際協力交流センター、神戸都市問題研究所、研修指導者そしてすべての関係者の皆さんに感謝します。皆さんの勤勉で献身的な働きを目にし、私たちに与えられた機会の重要性と共に、日本政府の友好的精神や日本の人々の寛容な心に改めて気づかされました。
様々な政府機関、NPOやボランティアグループ、地域コミュニティ、そして個人的に情報を与えてくださったみなさんの心遣いが身に染みました。みなさん心を開き、私たちを信頼して個人的なお話や経験、専門知識などを共有してくださいました。
私たちはみなさんの優しさを無駄にせず、必ずその精神を受け継ぐことをお約束します。私たちはそれぞれ母国のコミュニティの幸せと安全を守るために力を尽くします。私たちは研修で学んだことを共有し、日本で培ったネットワークと友好の絆を強めていきます。日本での経験は私たちの人生を変えるものでした。私たちはこの経験を折に触れて思い出し、いつまでも大切に想うでしょう。
どうもありがとうございました。
ブータンのオフィス前で同僚と
オフィスで同僚と議論
オフィスでPCに向かうウゲンさん
私は国に残した家族と会えないことがどれほど寂しいことだったのか、帰国して気づきました。しかし、JICAの研修は確かに私の経験を深めてくれるものでした。仕事の上で、私は物事を少し違った目で見ることができるようになり、時には違った角度で見るようになりました。普段何げなく歩いているときも、「災害が起こったら危ないな」だの「ここでは減災対策が行われているが、ここでは必要だなあ」と周囲の状況を知らず知らずのうちに評価している自分に気づきます。
研修の終盤での私自身の一番の懸案事項と言えば、帰国後に行うアクションプランを作成することでした。研修コース担当の皆さんのアドバイスに従い、私は現実的でしかも実現可能な計画を作り上げようと努力しました。アクションプランの是非は実施を待たなければなりませんが、よいスタートが切れたと確信しています。また研修で得たスキルを使って、研修コースに関する質問に「あー、よかったよ」と曖昧に答えることを避けてきました。プランは必要な条件を反映しており、同僚も興味を示しています。
私が参加した研修コースは、阪神淡路大地震復興記念日である1月17日に合わせて実施されましたが、私のアクションプランの実施にとってもありがたいタイミングでした。私が元の職場に戻ったのは、同僚が7月に始まる次の年度に向けてプロジェクトの準備をしている時期だったのです。上司と同僚の協力を得て、自分の業務計画にアクションプランを組み込むことができました。計画を実施するのが待ち遠しいです。そして、きっと良い報告ができると希望を持っています。
JICA関西 研修監理課 有田 美幸