大学名:神戸大学大学院国際協力研究科2年
名 前:吉井 翔子
【JICA関西から】
教員と国際協力という2つの将来のキャリアパスを考えている吉井さん。8月のインターンシップでは、とてもアクティブにプログラムをこなしました。その結果は、JICA関西のFacebookに吉井さんが寄稿したホームページにも表れています。かつJICAのデータ整理を携わるなど、さすが大学院生と思わせる活躍でした。今回のインターンシップをステップアップの機会として有効に利用して頂きました。
私が本インターンシップを志望した理由は、JICAの開発教育の視点を知り、開発教育に関するプログラムを実践的に学びたいと考えたからです。
インドネシアの公立学校で行われている宗教教育について研究している私は、宗教を含む「文化」を尊重することの大切さを日々感じています。たとえば、様々な宗教文化を持つ人々が混在するインドネシアでは、自身の信仰する宗教だけでなく、異なる宗教文化を持つ人々のことをも理解するための「宗教教育」という時間が、公立学校で設けられています。インドネシアの宗教教育と、日本でも実践されている「開発教育」とでは、その内容と目的は異なりますが、「開発教育」は、異文化理解を促進し、平和構築をする上でとても大切な教育の一つだと私は考えています。
さらに、国際NPO団体にインターンとして携わり、平和教育に関するイベントや講演の企画と運営を担当していることから、開発教育に強い関心を持っています。
そこで本インターンシップでは、JICAが学校教員や子ども達に実践している開発教育プログラムの運営補助に実際に携わりながら、学校現場でのニーズや現状を理解し、開発教育を今後実践していくための課題について考察していきたいと考えていました。
高校生にJICAの事業を説明する吉井さん
アンケート集計を行う吉井さん
2週間のインターンシッププログラムのうち一週目は、青年海外協力協会(JOCA)の方や、国際協力推進員の方々の運営する市民啓発イベントをお手伝いさせていただきながら、JICAが取り組む開発教育のプログラム内容について実践的に学ばせていただきました。
JICAの開発教育プログラムでは、青年海外協力隊の帰国ボランティアから途上国の様子について話してもらったり、展示室にある民族衣装や楽器に触れ、体験してもらったりするなど、様々な機会を用意しています。
インターンシップ4日目には、専門学校生の方を対象とした開発教育プログラムの運営を任せていただくことになりました。このプログラムでは、青年海外協力隊OGの方を招いて体験談を話していただくとともに、JICAにおける国際協力の在り方や事業内容について、参加者の皆さんにご説明させていただきました。前日、プレゼンの準備をしながら資料を整理していて特に印象的だったことは、JICAにおける国際協力の視点です。政府機関であるJICAは、「日本」という視点から、国際協力の大切さを市民の方に伝えています。東日本大震災や輸入などの面で、日本はたくさんの国に支えられているからです。途上国や先進国という垣根を越えて助け合うことはとても大切だと感じました。
インターン二週目は、開発教育事業の一つである「教師海外研修」の事後研修のお手伝いをさせていただきました。「教師海外研修」は、開発教育や国際理解教育に関心のある教員の方を対象としたプログラムで、教員の方が開発途上国を訪問し、日本との関係について理解を深め、その成果を学校の教育活動に活かしてもらうことを目的においています。今回は、本研修の一環でブラジルを訪問された教員の方が、現地で学んだことや得られた情報について、事後研修の中で仲間とシェアし合い、どうやって今後の教育活動に活かしていくか考えていました。現地で、日本とブラジルの文化の違いを感じたり、日本から伝えられた技術がブラジルで活かされている現状を知ったりする中で、日本人としての誇りを実感したり、異文化理解の体験へと繋げることができたのではないかと思います。
また、本研修の運営補助以外にも、一週目に参加した「多文化共生セミナー」のアンケート集計にも携わらせていただいたことで、開発教育関係のイベント全体の目的や評価について学ぶことができました。イベントがどのような目的や意図を持ってつくられ、運営されているのか、アンケートを通じて深く理解することができました。
インターン業務を通して学んだ開発教育イベントの仕組みや運営などは、普段インターンをしている国際NPOでの活動に活かしていきます。そのNPO団体では、平和教育や啓発のイベント企画や運営を担当しているため、イベントや講演の企画づくりに、経験を役立てていきたいと考えています。
また、本インターンシップを通して、改めて「スペシャリストとして国際協力に携わりたい」という想いが強まりました。JICAの事業には、職員の方だけでなく、開発コンサルタントや研究者、専門家など、様々な分野のスペシャリストが携わっています。インターン業務を通して様々な方と関わる中で、私も自身の専門をより深め、いつか国際協力の現場で自分の活躍できる場を見つけたいと、決意を固めました。
最後になりましたが、JICA関西の職員ならびに国際協力推進員の方々、研修に携わっていただいた全ての方に感謝申し上げます。二週間という短い間でしたが、毎日がとても楽しく、充実したものとなりました。本インターンシップで得た学びは、今後の研究活動や進路に活かしていきたいと思います。