Mr.Emmanuel Ladu(エマニュエル)
研修コース名:アフリカ地域総合災害対策
研修期間:2015年9月28日から10月30日まで
Hajimemashite, Namae wa Emmanuel Ladu desu, kuni wa South Sudan desu, dozo yoroshiku onegai-shimasu
改めましてこんにちは。南スーダンのエマニュエル・ラドゥです。私は、常に広い視野で物事をみて、自分の周りで起きていることはどんなことでも異なった視点から突き詰めて考えることが好きで、常に新しい事にチャレンジする冒険家として人々の心に残るようなインパクトをもたらすことが好きです。そして物事には起きている原因や理由が必ずあるので、新しいことを常にポジティブに学ぶ姿勢を心掛けています。
私は、南スーダンのスバで環境省職員として主に公害対策及び廃棄物対策の会計検査を担当しており、また、南スーダン赤十字のボランティアとしても活動しています。私の幼少期である1990年代に南スーダンで起きた人為的な災害の危機の中で、人々が苦しんでいる姿を見てきました。その影響で、私は人の命を救う医者になることを夢見ていましたが、政治的不安定や国内でのリソースの欠如など生活している環境がそれを許してくれないと気付き始め、私の夢は徐々に色あせていきました。しかし、私は夢をあきらめる代わりに他国の大学に進み、自分の国の人々に貢献することができる職を選択し、最終的に環境問題専門家の道を選びました。
研修仲間と共に
防災福祉コミュニティの活動に参加
日本では「アフリカ地域総合災害対策」研修を通して、日本人講師及び同じ研修の同僚研修員である他のアフリカの国々の研修員からそれぞれの経験を共有してもらい、自然災害から人為的災害の経験、また、日本を襲った未曽有の災害である阪神淡路大震災や東日本大震災の経験など様々な事を学ぶことができました。人命を第一として、環境や経済を守るハード対策としての計画や復興計画、また、避難訓練や神戸の防災福祉コミュニティ(BOKOMI)の設立、そして何よりもコミュニティがそれらの活動に参加しているということが非常に印象的でした。また、阪神淡路大震災の経験を学ぶための博物館である人と防災未来センターや東京の本所防災館などを訪問し、私たちはまるで日本の過去に起きた災害の瞬間に連れて行かれたような体験をすることができました。また、災害時の日本といまの日本を見て、復興に向けた努力は意志さえあればいつの時も道は開けるものであるということを学びました。そして、阪神・淡路大震災で避難所に避難せざるを得なかった神戸の人々、災害時の状況が未だ残されてしまっている福島県の人々、津波で何もかも流されてしまった宮城県の人々、これらの人々の悲惨な経験に触れ、この学びを実感する事ができました。
本研修を通じて、日本がいかに真剣に防災に取り組んでいるかを学び、日本の人々が取り組んでいる災害への事前準備を通じて、人命は貴重であり、いかなる手段によっても守られるべきものであることがわかりました。また、緊急支援物資を保存している防災倉庫や洪水対策、避難訓練などの多くの防災対策は、コストはかかるかもしれませんが、人命を助ける上で必要であり、それらを継続するためには日常の不断の努力やチームワークが必要であることがわかりました。災害はいつ発生するかわからず、またそれを止めることも遅らせることもできません。そのためにも常に準備し、災害が発生した時に何をすべきか知っておくことが最も重要です。これを常に心がけることで、災害の被害を軽減することができますし、日本の過去の災害の経験が証明しています。そして、私の国で人為的災害により人々がずっと苦しめられている現状は、まさに災害はいかに深刻な影響を人々にもたらすかを教えてくれます。人々の苦しみを和らげ、財産の損失を最小限にするための方策として、日本の災害の教訓を持ち帰り、見習い、そして南スーダンを自然災害、そして人為的災害からも安全な国にできることを願っています。
私と共に本研修で一緒に学んだ、ケニア、南アフリカ、モザンビーク、アルジェリアの研修員の同僚、そして南スーダンから一緒に研修に参加した同僚は、本研修を通してそれらの知見を十分に学び、これから各国で実践し広める事になります。自然災害や人為的災害は、いついかなる時、どんなところでも発生しますが、防災の発展は人々の生命や財産への負のインパクトを軽減することには間違いありません。日本政府そして日本の人々による防災分野の発展、ひいては安全・安心な世界に導くような貢献には十分な賛辞が送られるべきであり、我々が受けたようにより多くの人々が防災の発展の恩恵を受けるためにも本研修がこれからも継続されることを願っております。
Arigato Gozaimasu