所属先:ラオス 商工省 貿易振興部
名前:Mr. Viengsombath Bangonesengdet (ヴィエンソンバス バンゴネセンデ)
研修コース名:コーヒー生産者輸出競争力強化
研修期間:2016年9月12日から10月15日まで
Mr. Viengsombath Bangonesengdet(以下、ヴィエンさん)は、「コーヒー生産者輸出競争力強化」研修に参加し、帰国後も精力的に活動しています。ヴィエンさんから、日本での経験を振り返るとともに現在の活動を知らせる報告が届きましたので、ここにご紹介します。
阪急うめだホールでのコーヒーイベントにて
東京ビッグサイト前で(SCAJスペシャルティコーヒーカンファレンス 会場)
私にとって、人生の定義は、「新しいことを探求し経験する機会」です。学ぶということは終わりのない過程です。学ぶための最善の方法は、読書、異なった視点を持つ人々との会話、そして実践です。私は、自由時間があれば、様々なスポーツを楽しみ、読み、書き、新しい言語や文化を学んでいます。
今回、JICA「コーヒー生産者輸出競争力強化」研修に参加でき、とても幸運でした。私は2013年以来、ラオスのコーヒーセクター開発に関する業務を担当し、世界市場への参入促進に向けて取り組んできました。ラオスのコーヒー輸出が増えれば、小規模コーヒー農家にとって増収というプラスの結果をもたらします。日本は数年前からラオスコーヒーのナンバーワン輸出国(輸出額ベース)です。
参加したプログラムでは、日本のコーヒー市場の特徴、関連規定や基準、細分化されたコーヒー市場、消費者の生産者への期待等、有益な学びを得ることができました。コーヒーの品質や安全性確保は最も重要な課題の一つです。プログラムによって、ラオスコーヒーの品質を高め、その独自性を日本市場に広める必要があることを学びました。
また、阪急うめだ本店のうめだホールでは、日本の消費者にラオスコーヒーを直接サービスする機会にも恵まれましたが、これは私にとって初めてのそして最高の体験でした。この体験を通じて、日本人消費者の新しい味を求める好奇心について知ることができました。自分自身、コーヒーを飲み始めてほぼ10年ですが、日本の人々のようにコーヒーの味や特徴に注意を払ったことはありませんでした。日本のコーヒー消費者は、自分たちの望むものが何であるのかをよく知っています。だからこそ、ラオスは日本の消費者に新しいユニークなコーヒーを提供するために、一つ一つの生産工程に十分な注意を払わなければなりません。
5週間にわたるプログラム実施期間中に、日本のコーヒービジネスに関わる組織の多くの人々に会うことができました。研修の内外で討論した際に知り得た彼らの知識、経験そして助言は、日本の消費者についての私の理解を深めてくれました。このプログラムで得ることのできた様々な情報や資料によって、「日本市場で成功するためには、生産国はその市場ルールに従い、ターゲットに合った品質と価格を提供し、品質を保ちつつも、新しい味を届けていく必要がある。」という結論に至りました。
習得した知見を現在の業務に活用することは、やりがいがあります。ラオスは内陸国ですので、輸送コストが大きな障害となっています。そのため、ラオスコーヒーが日本市場で将来にわたり競争力を維持するには、その品質や独自性にもっと焦点をあてなければなりません。現在、私は高い品質のスペシャルティコーヒーを生産・輸出することに意欲的な農家のグループづくりに取り掛かっています。コーヒーの主要産地であるボラベン高原の58の村落には約1400軒の農家がありますが、彼らは一般コーヒーの生産については知識と経験があります。
私は、”ラオスからの初めてのスペシャルティコーヒー第一陣、まず60kgを世界へ“というキャンペーンを始めたいと思っています。そして、2020年までには、ラオスからのスペシャルティコーヒーが日本の消費者のカップに注がれることを願っています。
次の言葉でこの報告を締めくくりたいと思います。
「全ての研修に関わる講師やJICAスタッフが素晴らしい友情を与えてくれたこと、そして魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えてくれたということを実感しています。」
神戸での研修で学んだ日々のことは決して忘れません。ありがとうございました。
※「スペシャルティコーヒーとは、消費者の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。」風味が素晴らしいコーヒーの美味しさであるためには、コーヒーの豆からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。
(日本スペシャルティコーヒー協会ウェブサイトより)
ヴィエンさんは、ラオスが日本のように伝統を残しながらも新しい技術やアイデアを創造し続けるユニークな国になることを望んでいると語っていました。ラオスのコーヒーを大好きな日本の人にもっと広めたいという意欲を持ち、コーヒー農家の方たちに対して、品質向上の必要性を説いています。
コーヒー以外にも米や野菜等のブランド化も担当しており、今後、日本の市場で、ラオスコーヒーのみならず、他のラオスの農産物が出回る日もそう遠くないかもしれません。
(JICA関西 業務第二課・研修監理課 横谷 貴美絵)