アルゼンチン帰国研修員からの活動報告 -中小企業のためのイノベーション、クラウドファンディングそして地域振興をめざす-

【画像】所属先:アルゼンチン コリエンテス市 地方振興局
名前:Mr. Cesar Tomas Zarrabeitia(セサール トマス サラベイティア)
研修コース名:中小企業振興のための経営強化:金融支援 (A)
研修期間:2016年5月23日から6月25日まで

セサールさんは、昨年「中小企業振興のための経営強化:金融支援」研修に参加しました。研修を通じて、母国の中小企業支援のための多くのアイデアやヒントを得たそうです。セサールさんから送られてきた活動報告からは、獲得した知識を役立てている様子がよくわかります。

私について

こんにちは。はじめまして。わたしはセサールです。国はアルゼンチンです。どうぞ、よろしくお願いします。
アルゼンチンのコリエンテス市から、JICA研修に参加しました。私は過去7年にわたり、担当地域の起業家や中小企業の人たちのために働いてきました。私の仕事と情熱は、これらの企業や新たに創業した新興企業、銀行、大学、政府機関等を様々なアイデアで繋いでいくことです。

参加した研修コースと私が学んだ事

私が参加した研修は、とてもダイナミックかつ参加者の好奇心をそそるよう設計されていました。実践的なワークショップ、グループ討議、中小企業庁・中小企業整備機構・日本政策金融公庫等の政府機関への訪問、そして関西地域の中小企業訪問等を通じ、中小企業振興にとって重要な点について理解することができました。
クラウドファンディングの発案、イノベーション政策や、世界の10か国の異なった国々からやってきた研修員との経験についての情報や意見交換もあり、楽しく学ぶことができました。

アルゼンチンでの成果

At MOBIO

Discussion with other participants

研修から多くのアイデアを得て、アルゼンチンに帰国しました。帰国後、まずアルゼンチンのJICA事務所に提案書を出しました。そして、私たち、コリエンテス市 地方振興局としてPALTA(アボカドを意味するスペイン語です。)と名称を付けた“ビジネス促進プログラム”を作り上げました。
コリエンテス市及び周辺地域の生産物に付加価値を付けることで知られている食品関連の起業家や中小企業を15社選び、彼らのために研修を実施し、ビジネスプラン作成、マーケティング、知的財産そして、品質管理プロセス(日本滞在中に、訪問した(株)樽正本店では、その製品の高い品質基準を目の当たりにしました。)等、様々なトピックを提供しました。また、中小企業の経営者らが、地方振興局スタッフや、経営者間での結びつきを強化できるようにカジュアルな会合も主催しました。これは、大阪のMOBIOカフェからアイデアをいただいたものです。

また、中小企業の人たちが調査研究の施設を利用し、専門家から技術的な助言を受けることができるよう、3つの国立大学とも合意文書の署名にこぎつけました。PALTAプログラムに関わる中小企業は地方開発基金(次のステップは、兵庫県産業振興担当部局の担当者から学んだクラウドファンディングの開始です。)のソフトローンへのアクセスを得ることもできました。
最後の帰国後の活動としては、EAT LOCAL KOBE(神戸市主導による地産地消の新しいプラットフォーム)とJAPANブランド育成支援事業にヒントを得て、”Local Food Catalogue(ローカルフードカタログ)“を創設したことです。これにはPALTAプログラムで選択した育成促進対象の15社の食品関連の中小企業情報が提供されています。

この”Local Food Catalogue“が対象15社にとって、ホテルやグルメ市場そして輸出業者へ届く有用なマーケティングツールになることを期待しています。

ダルマ社会

【画像】日本が日本であることを理解するのには、1か月もあれば十分です。来日以来、日本の特殊性の理由として、島国である事、山が多く耕作可能地が少ないこと、2-3世紀にわたり鎖国政策をとっていたこと等を聞きました。
でも、それは「ウソです!」。
最も素晴らしく、ユニークで魅力的で、賞賛すべき点はなんといっても日本の人々です。日本人は魅力に富み、注意深く、とても礼儀正しい人々です。そして、最も重要な特徴は、日本人はダルマのようであるということです。すなわち、戦争、地震、津波そしてさまざまな危機に面しても、それらを乗り越え、力強く立ち上がり、より創造的にそしてより礼儀正しく、より魅力的になり、目的を達成する人々です。—もちろん、常に時間厳守を忘れません。
日本の街を巡り、博物館や公園そしてすばらしい寺院を訪ねました。しかし、この魅力的な人々を観察することを止めることはできませんでした。今の私の精神、心そして魂は以前よりも、ずっと豊かになっています。これは、日本滞在中、日本人を知ることができたおかげに他なりません。
ありがとうございます!

編集後記

私たちの研修プログラムがセサールさんにひらめきを与えたということを知ってうれしく思います。セサールさんは研修から得たアイデアを実現するために様々な障害を乗り越え、努力を重ねてきたに違いありません。
彼自身が、決してくじけない七転び八起きを実践するダルマのようです。今後の彼の活躍が楽しみです。

(JICA関西 業務第二課 横谷 貴美絵)