「カンガルー・マザーケア」ワークショップ開催報告(ナイジェリア帰国研修員・「周産期・新生児保健医療」課題別研修コース)

【画像】所属・役職名:ナイジェリア アブジャ国立総合病院 新生児科医/小児科医
名前:Dr.(Ms.) MAIRAMI Amsa Baba (マユラム アムサ ババ)
研修コース名: 周産期・新生児保健医療
研修期間:2018年9月24日から~10月20日




JICA関西の課題別研修「周産期・新生児保健医療」コースは産科医、新生児科医、助産師、看護師を対象としたコースで研修員参加国の周産期医療の改善を目的に大阪母子医療センターのご協力を得て実施しています。
2018年発表のWHO統計によるとナイジェリアの新生児死亡率は1,000人出産当たり34.1人で、世界で下から11番目の成績です。アムサさんは所属病院新生児死亡率を低減させる一つの手法として研修で学んだカンガルーマザーケア(KMC)に注目し、研修成果物としてアクションプランを作成しました。先月所属病院でアムサさんが講師となりKMCと母乳育児支援WORKSHOPを実施した様子が報告されました。

カンガルーマザーケア & 母乳育児支援 ワークショップ概要

【画像】日時:2019年4月13日 8:00~16:30
場所:アブジャ国立総合病院         
参加者:小児科研修医4名、産婦人科研修医4名、
新生児科看護師6名、産科看護師8名 合計22名
内容:6モジュール(内4つは実習) (関連リンク参照)
研修理解度把握のため事前/事後テスト実施(各20問)
研修内容を十分習得した参加者には修了証書を授与

カンガルーマザーケアの普及

ナイジェリアでは既にカンガルーマザーケアは導入されていますが、アブジャ国立総合病院はまだ導入していませんでした。ワークショップはアムサさんが講師となって実施し、参加者はカンガルーマザーケアが低コストで実施が可能なうえ未熟児や正期産児に与えるインパクトが絶大(新生児呼吸安定、母乳分泌促進等)であることに高い関心を持ち、熱心に受講しました。参加者全員がどのように抱っこ紐を使用してカンガルーポジションキープするかを実体験しました。未熟児が多くベッドスペースに余裕が無いことが大きな問題となっている中、ゆったりした椅子を置いて省スペースで実施できるカンガルーマザーケアは未熟児ケアの対応策として有用であると参加者から支持されました。   

授乳姿勢、搾乳方法の研修

授乳、搾乳実習用にヘルスケアスタッフ研修用(授乳姿勢、搾乳方法)胸部マネキンを6つ借り受け実施しました。参加者全員母乳の搾乳経験がなくどのように母乳を搾乳するかを学びました。同時に実習を通じて授乳が上手くできない母親に授乳サポートができるようにも指導しました。産婦人科クリニック、産婦人科棟から参加の看護師らは妊婦に対して母乳育児や早産リスク関するカウンセリングを行う際の自身の役割を正しく理解できたと好評を得ました。

帰国直後から開始したアクションプラン実施準備

アムサさんはとても行動力のある女性です。ナイジェリアへ帰国してすぐにJICAナイジェリア事務所を訪問し本邦研修成果と自身のアクションプランについて報告しました。並行して所属病院内で上長に対しアクションプランを共有し、実施に向けての協力を取り付ける事に成功しました。 ワークショップ開催までナイジェリア国内の総選挙、大学入試時期、財政面の制約等いろいろな紆余曲折があり当初予定より遅れての実施となりました。アクションプランの実現は「言うは易く行うは難し」の連続だったとアムサさんはコメントしています。実施環境が整えば第二回のワークショップを実施する予定だそうです。
帰国後業務改善への熱い気持ちを周囲の同僚にわかってもらえず孤軍奮闘するケースもある中、彼女の成功要因は組織によるアクションプラン実施の合意を得るよう働きかけた事です。アクションプラン実施への鍵は職場でアクションプラン実施を支持してくれる仲間を増やすことにあると言えます。
アブジャ国立総合病院でのワークショップが好事例として他の医療機関でのKMC普及に繋がることを願います。

業務第一課 宮下 えりこ