【元協力隊員・現JICA関西職員に聞く】黒板緑化計画に挑んだ協力隊時代とJICAに踏み込んだ今

立花静香職員

突然ですが、みなさま「チョークボードペイント」ってご存知ですか?
作っているのは、ターナー色彩株式会社(大阪市)。ナント塗ったところが黒板に早変わりする絵具で、途上国の教育現場を劇的に変えるアイテムとして注目されています。途上国では、書きにくく消しにくい黒板が使われていたり、そもそも黒板自体がなかったりします。しかし、この絵具を使えば、その場でピカピカの黒板が誕生するのです!

このチョークボードペイントは今、ターナー色彩からのご寄贈のもと兵庫県から派遣されるJICA協力隊員の手によって途上国へ届けられています。今回は、隊員として実際にエチオピアの小学校でチョークボードペイントを使った経験を持ち、現在JICA関西で働く立花静香職員に突撃取材しました。

聞き手は、企業連携課の中井でお送りします。

迷いに迷ったチョークボードペイント

協力隊時代 折り紙を使った授業

黒い黒板が美しい緑色に塗り替えられる様子

生まれ変わった黒板で遊ぶ子どもたち

中井:チョークボードペイントは、赴任した当初から学校でバリバリ使うつもりでしたか?

立花:現場の様子を見てからにしよう、と思ってました。赴任した学校は、某機関から洋書の寄贈などの援助を受けていたんですが、あまり使われることがなくもったいない状況になっていました。日本から来た私に対しても「何をくれるの?」と物を貰えるのではないかという期待をひしひしと感じて、これはチョークボードペイントをこのまま使う訳にはいかない、と。でも、赴任して1年経った頃に改めて思ったことは、教育において学校環境を整えることはとても重要だということ。教室の黒板は、板に黒ペンキを塗っただけのものが長年使われていました。チョークボードペイントを使うべきかかなり迷ったんですが、目の前にあるチョークボードペイントで授業が少しでも良くなるなら良いだろう!と思って、使うことを決心しました。

中井:チョークボードペイントで綺麗になった黒板を見た先生方は、何とか全教室分のチョークボードペイントの費用を捻出しようと奔走されたんですよね。全ての黒板が美しい緑色に変わった時の感動はひとしおだったと思います。学校のみなさんからはどんな反響がありましたか?

立花:第一声は「なんでもっと早く教えてくれなかったんだ!」(笑)。あと「黒板は黒だよ。緑は変だよ」と言われた時は、黒色を持って来れば良かった…!と思いました。今更ですが。でも、みんなキレイで書きやすくなった黒板に感動してくれて、使って良かったと思ってます。

中井:はい、カラーバリエーションは12色あるようですね。協力隊の活動が終了後もターナー色彩さんとの交流はありましたか?私もJICA関西のロビー展示で同社のお取り組みを展示させていただく際に大変お世話になりました。

立花:ありますよ。帰国後、ターナー色彩の会社を訪問し、お礼をお伝えしました。チョークボードペイントを紹介した記事を書いた時には、広報に使用させてほしいという連絡を受けたこともありました。

教職から国際協力業界へ

「まだまだ業務について行くのに必死の日々です」と立花職員。既に前線で研修コースを引っ張っています。

中井:そんなこんなで大きな使命を全うして無事帰国された立花さん。今この場所にいらっしゃるということは、協力隊の経験がキャリアに大きな影響を与えたのではないかと思うんですけど、帰国後すぐにJICA関西に来られたのではないんですよね。

立花:帰国後は一度教職に戻りました。でも「あれ?私のやりたことって何だろう?」という気持ちが湧いてきて、民間企業で勤めるなどいろいろ自己分析して行き着いたのが国際協力でした。協力隊の経験から、ボランティアではなく今度は仕事として途上国に繋がることをやりたいと思って、昨年9月から研修員受入事業(※)担当として入構して今に至ります。

中井:JICA関西に来られて8か月ですね!協力隊の経験が役立っていると思うのはどんな時ですか?

立花:エチオピアの現場で2年間過ごしたからこそだと思うんですが、研修員の皆さんから途上国ならではの課題を聞いたら、その実情や背景を想像しやすくなりました。食べ物や文化を理解できたお蔭で、アフリカの方たちにすごく親しみを感じるし、通じるものを感じます。8か月が経ち上司から「そろそろJICA関西全体に行き渡ることをやってみてはどうですか」と言われまして、何か新しいことを始めようと企画を練っているところです。

中井:JICA関西全体に行き渡る…何が起こるのか楽しみにしています!ちなみに、またエチオピアで小学校教育の現場に立ってみたいと思いますか?

立花:立ちたいですね、今度は仕事として。こう思えるのは、エチオピアで過ごした2年間が本当に人に恵まれていて、充実した経験になったからですね。

中井:それでは最後に、協力隊への参加を考えている方に一言どうぞ!

立花:「迷っているなら、行った方が良い!」ですね。協力隊は、厳しく結果を求められない代わりに、全部自分で考えて実行しなければいけない。それは言い換えれば、自分が信じたことを貫くことができる世界でもあります。ぜひ、チャレンジして下さい。

※JICAは途上国の国づくりの中核となる人材を育成する目的で、行政官や技術者などを技術研修員として受入れています。研修員は、国づくりに必要な技術や知識を習得し、それぞれの国の発展に貢献することが期待されています。

編集後記

1階企業展示コーナーでターナー色彩を特集中です!

チョークボードペイントがエチオピアの方たちに受け入れられて、学校側の自助努力も引き出しつつ教育環境の改善を実現できたのは、立花職員の人柄によるところも大きいと思いました。使うまでに悩んだ1年間、同僚の先生方と時にはケンカをしつつも、じっくりと向き合って何度も議論をし、そして学外でも交流を深めたことが活動の成功に繋がったのではないでしょうか。
立花さん、今回はインタビューへの協力、ありがとうございました!

JICA関西では、1階ロビーの企業展示スペースにて6月末まで、ターナー色彩株式会社を紹介しています。展示スペースでは、製品や実際にチョークボードペイントを塗った段ボールを展示しています。ぜひ一度ご覧くださいね!

(企業連携課 中井光佐)