所属先・役職:アルゼンチン環境省「有機性廃棄物からバイオガスを生産するための持続可能なビジネスモデル」プロジェクトコーディネーター
名前(ふりがな):Mr. Santiago Solda (サンチャゴ ソルダ)
研修コース: 地方自治体における廃棄物処理
研修期間:2009年1月15日から3月6日まで
先日、帰国研修員から素晴らしいニュースが届きました。その人はアルゼンチンのサンチャゴ ソルダさんです。10年前の2009年にJICA関西(当時、JICA兵庫)で約2か月にわたる研修に参加した一人です。彼は、研修終了時にアクションプランとして、自治体が行う廃棄物処理に関するニーズと費用の関係をまとめたマトリックスを作成しました。帰国以来、このマトリックスが活用されていますが、今回、世界銀行や国連のレポートでもその成果が取り上げられました。
彼のメール内容をそのままお伝えします。
親愛なる日本そしてアルゼンチンのJICAの友人たちへ
メッセージを送るのはずいぶん久しぶりです。私は元気で、そして皆様もお元気でお過ごしのこととお喜び申し上げます。
2009年に作成したアクションプラン以来、ここ数か月の間に私の業務に関してとても素晴らしい出来事がありましたので、どうしてもお知らせしたくこのメッセージをお送りしています。
このたび、世界銀行の2018年国際レポート"What a Waste 2.0 – Global Snapshot of Solid Waste Management to 2050" 及び国連のグローバルレポート2018 "Waste Management Outlook for Latin America and the Caribbean"に私のJICAアクションプランから発展させてきた事業の概要が取り上げられました。
以下に2つのリンクをご紹介しますので、ご高覧ください。
1) World Bank Report “What a Waste”
私たちの固形廃棄物処理業務について経済及び財務の側面から分析がなされています。また143ページには、事例研究が記載されています。該当のチャプターには次のタイトルが記されています。
2) UNDP Report "Waste Management Outlook for Latin America and the Caribbean” is analyzed in the Case Study 18 “Economic and financial matrix for calculating the costs of integrated municipal solid waste management in Argentina”. In page 100:
国際連合環境計画(UNEP)レポート"Waste Management Outlook for Latin America and the Caribbean"では、
事例18として「アルゼンチンにおける総合的な都市廃棄物管理コスト計算のための経済及び財務マトリックス」について
の分析が掲載されています。100ページをご参照ください。
2019年6月の廃棄物管理国際会議での発表風景
ブエノスアイレスでの廃棄物処理の経済及び財務管理ワークショップ
3) これに関して、私は2017年12月にバリで開催されたOECD資源生産性及び廃棄物作業部会にアルゼンチンを代表して参加しました。そして、また今回、廃棄物管理の財務問題を抱えるラテンアメリカ諸国に問題解決のヒントを提供するべく、私たちのプロジェクトについて発表する機会を得たのです。
自分でも満足のいく発表ができ、活発な質疑応答が繰り広げられました。部会の日本人メンバーの方からの質問もありましたが、この方は、「個人の見解だが、アルゼンチンで開発している自治体の廃棄物処理コストと情報を関連付けたマトリックスの利用事業を各自治体の任意ではなく、有効なツールとして強制的に導入すべきである。」とのことでした。日本にも同様に他国と共有できるツールがありますが、各自治体はその廃棄物処理計画とそのコストを当局に報告する義務があるといいます。私たちは、まずは関係当局を納得させなければならないということで意見が一致しました。また、私はこの機会を捉えて、2009年に神戸で実施された研修に参加したことを誇りに思うと伝えました。当時の研修成果であるアクションプランが、私が現在担当する事業へと発展し、大きな業績を生み出したのです。
私にとって皆さんに一筆啓上し、神戸時代に思いをはせることはいつも大きな喜びです。
皆様のお幸せをお祈りします。
Santiago
サンチャゴさんが参加した研修コースは既に完了していますが、JICA関西は現在、廃棄物管理技術(基本、技術編)等、多くの廃棄物管理に関するコースを実施しています。これからもサンチャゴさんのように専門分野で、母国のみならず同じ問題に悩む他の国々に貢献できる、帰国研修員が続くことを期待します。
JICAは60年に及ぶ開発協力の経験とネットワークを生かし、SDGs達成に向けて取り組んでおり、廃棄物管理技術コースは、SDGゴール11と12に関わっています。
(JICA関西 業務第二課 横谷)