JICA関西企業連携課ぶっちゃけ座談会~中小企業支援のあれこれ~(2019年8月29日)

民族衣装仕様の企業連携課。前列中央は課長・長縄

企業の皆様の海外展開を、JICAがお手伝いする事業「JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業」(以下、JICA事業)をご存知でしょうか?この事業をJICA関西で担当しているのが、私たち“企業連携課”です。本事業を活用した関西企業は、累計132社。これだけ多くの企業様のお手伝いができたことに感無量の思いです。

そこで、今回は企業様ではなく、企業様と二人三脚(の思い)で日々海外展開に奮闘する当課の“案件担当”と呼ばれる職員たちが、過去の企業インタビューを振り返りながら、中小企業支援に対するホンネを大公開すべく座談会を行いました。

語り手は、正永、松浦、小西、中山、脇田の各課員。撮影は当課のニューフェイス・大久保、聞き手はいつもの中井でお送りいたします。

企業がJICA事業を活用するメリットを改めて考える

聞き手:中井

正永

小西

中井:これまでインタビューを受けて下さった企業様は、JICA事業についていっぱい語って下さってますが、JICA職員が表立つことはあまりない…。という訳で、自分たちで中小企業支援について話し合ってみよう、という趣旨の座談会です。せっかくなので良いことだけでなく、課題もザクザク挙げましょう。

正永:それを話し始めると、ピー音と伏字だらけになるよね。(笑)

中井:今回は伏字もオープンにしていきます(たぶん)。さて、JICA事業を活用するメリットとして、わだまんサイエンスの深堀社長は、①現地政府機関とのやり取りがスムーズになる、②JICAがパートナーとして親身にフォローする、③金銭的支援を挙げて下さってます。有難いですね。

小西:相手が政府に限らず、中小企業が“途上国”で交渉をするのは、ハードルが高いことが多いです。なので、JICAという途上国では名が通った組織の事業として行うことで途上国側からも信用が得られやすく、効率的&効果的に海外展開できる、という訳です。でも、これらのメリットを活かしやすい案件と、そうでない案件がある気がします。

中井:確かに。JICAと一緒にやることになって、かえって業務量が増えた!という声もあります。1つアクションを起こす度に決裁、決裁、決裁。もちろん全てに意味があるのですが、企業側からしたらヤキモキです。

脇田:公的機関特有の書類作業や手続きの複雑さは、企業からすれば実際にやってみないとイメージが湧かないですよね。手間も時間もかかる。一方ビジネス展開にはタイミングが重要。ビジネスチャンスを逃さないためにも、自社のビジネスがJICA事業と合っているかどうか応募前によく考えてご応募いただきたいですね。

正永:そもそもだけど、JICA事業は補助金事業ではなく“委託事業(業務委託契約)”。完成品(報告書)や細々とした会計報告を求めるのはやむをえないことなんだよね。活動そのもの以外にもいろんなコストがかかるのが現実。

中井:なるほど…。では、どんな案件・企業が、JICA事業のメリットを活かしやすいのでしょう?

正永:JICAが関わることでビジネスが進められる、というタイプがJICA事業に向いてるんでしょうね。海外展開を支援している団体や組織はJICA以外にも、JETROや金融機関、自治体などたくさんあるから、その時々で支援を組み合わせながらフル活用していくのがオススメです。例えば、事前の調査・情報収集でもこの部分はJICA、こっちはJETROの支援を使おう、みたいな。

松浦:そうですね。 JICAには、中小企業・SDGsビジネス支援事業だけでなく、他にも海外展開に役立つ支援メニューがあります。例えば留学生として来日しているアフリカの優秀な若手人材を企業でインターン受入する「ABEイニシアチブ」(以下、ABE)を活用したり、「研修員受入事業」と連携することで、来日した途上国の関係者に企業の技術と経験を共有できたりと、海外展開の幅広いニーズにあわせて複数のメニューを組み合わせて利用できるのも、JICA事業を活用いただくメリットです。

中山:現地で苦労した者同士で情報交換やパートナー探しができる「採択企業交流会」も毎回好評です。JICAと付き合うことで、素晴らしい出会いとコラボレーションが生まれることもあるんですよ。他の機関にはない支援がいくつもあります。

脇田:私はJICAを「総合デパート」と例えてます!1つの組織の中にいろ~んな商品が揃っているから。

全員:ほほー。

海外展開に不可欠!? 海外人材の確保

脇田

松浦

中山

大久保

中井:ABEの話が出てきたので、海外人材について話してみましょう。フクナガエンジニアリングや音羽電機工業などが、アフリカ人留学生をインターンとして受け入れて、情報収集やビジネスパートナーの発掘をしてましたね。 

大久保:私の夫もABE修了生です。留学生は、日本に留まるより母国に帰国して何らかのビジネスに関わる方が多いと聞きます。

小西:私はアフリカ案件を担当することが多いのですが、アフリカは物理的に遠いだけでなく、商習慣も違うし、パートナー探しも一苦労です。ABEは、アフリカの方に実際に自社技術を見てもらい、海外展開の足掛かりを作ることもできるので、本気でアフリカ進出を考えているのであればお勧めします。

脇田:ただ、企業様の希望する人材と、留学生の経験や資格がなかなかマッチしないのが現実のようですね。留学生側も日本企業でのインターン中にやりたいことが結構限定されがちですし。

松浦:そこは双方工夫が必要なところ。例えば、留学生側は大企業に固執しない、企業側は業界の経験がない留学生でも受け入れてみる、とかね。あと、マッチングのための交流会も開催しているので、参加してみて欲しいかな。やっぱり実際に会って話してみるのが1番です。

脇田:お見合いと一緒。1人会っただけじゃ見つからないかもしれないけど、10番目に会った人と運命の出逢いがあるかもしれないですよね。

正永:人材でも情報でも、待ちの姿勢だと集まらないです。いろんなセミナーに参加して情報収集されている企業もいらっしゃいますね。「今○○国の方が研修でJICA関西にいると聞いたので、会いたいです」という連絡もいただきます。活用できるものは、JICA以外にも何でも使って、調べて、キーパーソンと出会うのがカギです。

脇田:出会いのきっかけになるイベントやセミナーに関する情報満載のメルマガやFacebookは、情報の宝庫ですね!

中井:人材確保でもう1つ注目されているのは、JICA海外協力隊の帰国者。クモノスコーポレーションや辻プラスチックが、帰国隊員を採用されています。現地言語を使える、生の習慣を知ってる日本人って、貴重ですよね~。

正永:隊員の帰国報告会には、人材を求める企業の参加も多いですが、今隊員は引く手あまた。

松浦:最近は転職が活発な世の中ですよね。企業側も隊員側も、終身雇用を想定しているのか、それともまずは海外事業の立ち上げの担当者として求めているのか、初めにお互いの希望や条件を十分に話し合えると良いかもしれません。

脇田:私も帰国隊員の1人ですが、隊員の皆さんには、企業の途上国ビジネスの魅力も知ってほしいです。国際協力の仕事と言えば一昔前はJICAや国連を連想しがちでしたが、今は民間企業も大きなアクターの1つですから。

正永:帰国隊員は優秀な方が多いので、有望な人材を求めている企業にとっては狙い目だと思いますよ。あとは、グローバル人材と団体を繋げる「PARTNER」(国際キャリア総合情報サイト)も活用したら良いと思います。「こんな人材が欲しい」というのが登録できるので。ぜひ一度使ってみて、企業には根気よく探していただけると有難いです。

日々お世話になっております企業の皆様へ一言

中井:お陰様で座談会も盛り上がりまして、そろそろタイムリミット。最後に、海外展開に挑まれている企業の皆様に、我々から感謝と意気込みを届けたいと思います。

脇田:途上国と日本では、時間の流れが全然違いますよね。だから計画通りに進まないし想定外のことが次々起こりますが、焦らず、粘り強く、一緒に進めていきましょうね。

中山:JICA事業を完了して、卒業された企業のその後の海外ビジネス成功の吉報があれば、ご連絡下さると嬉しいですね。

松浦:うん。企業様とは、JICA事業終了後も末永くお付き合いしたいですね。

小西:その後の海外ビジネスが進んでいなかったとしても、遠慮なく連絡していただきたいですし、JICA関西にも来て下さい。

正永:僕らもなぜ進まないのか知りたいしね。そして、企業の皆様の何に役に立てたのかを知りたい。技術的・専門的なことやビジネスのことなど、お話を伺うだけでとても勉強になります。

中井:はい、良い感じに締まりましたね!JICAをご活用いただいている皆様、こんな我々ですが、末永くお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

(企業連携課・中井光佐)