子供たちに役割を与える事で、責任感を学ばせている一例。写真の2人はゴールポストを支えている。
試合後にチームの課題とその解決法を話合う子供たち。コーチが子供たちの自発的な話合いをサポートする。
毎回のプロジェクト終了後に子供たちに贈呈する手作りのメダル。「仲間と協力する」・「感謝する」などのメッセージが記載されている。
いつも最後に参加者と協力者と撮影する集合写真。最高のスマイルです!(一番右端が前川さん)
こんにちは!私は、体育隊員としてエチオピアで活動しています。
平日は、現地の高校でカウンターパートと共に体育の授業を担当し、週末や学期休みは現地の指導者や子供たち向けのスポーツイベントを開催しています。私が活動の中で特に重点を置いているのは、体育・スポーツを通じての「生きる力の涵養」、すなわちスポーツ教育です。
ここエチオピアでは、どうしても体育の授業や地域スポーツの指導現場で、運動技能の指導に重点が置かれています。
しかし、体育・スポーツを通じて習得できるのは運動技能だけではなく、「仲間と協力する」・「困難に挑戦する」・「責任を持つ」・「感謝する」などの内面的な技術も習得できるのです。つまり、子供たちが社会で生きていくために大切なものを学ぶ事ができる、それが体育・スポーツを通じての「生きる力の涵養」です。
日本の体育・スポーツ現場では、昔から行われていることなのですが、エチオピアでは、体育・スポーツを通じて子供たちの内面を育てるという概念はありません。このことを現地の子供たちや指導者に広めるために、エチオピアの各地で開催しているのが「ONE BALL PROJECT」です。
ボール以外の用具は全て手作りで作成し、現地の指導者に体育・スポーツを通じて「生きる力の涵養」とはなんなのか?、また、どうやって指導するのかを1日のセミナーを通じて教授します。
そして、セミナーで学んだ指導技術を実践するのが、現地の子供対象のサッカー教室です。指導者は、子供たちに3日間のプログラムを通じて、運動技術や勝ち負けではなく、生きる力に重点を置いて指導します。
子供たちは、コーチに頼るのではなく、自分たちで話し合ってチームの問題点を抽出し、その解決方法を考えることで自主性を育てる。そして、仲間と協力し、与えられた役割に責任をもつことの大切さなどを学びます。
当初は、日本人ボランティアだけで企画・運営していたプロジェクトだったのですが、現地のスポーツ局が我々のプロジェクトの目的を評価してくださり、エチオピア全土に体育・スポーツを通じた「生きる力の涵養」を広めるべく、恊働しながらプロジェクトを開催しています。
将来的には、エチオピア人のみでプロジェクトが実施され、それがエチオピアのスポーツ界やエチオピアの未来を担う子供たちに良い影響が与えられることを願います。