徳島・上勝町のいろどり事業に学ぶ市場志向型農業へのアプローチ

2015年9月1日

研修員に「つまもの」のもみじを見せる生産者の西蔭さん

8月10日(月)、エルサルバドル国別研修「市場志向型農産物流通:野菜農家とスーパー間の流通改善」コースの研修員14人が和食の飾りとして添えられる葉っぱ、いわゆる「つまもの」の生産で有名な徳島県上勝町を訪れ、同町のいろどり事業を視察しました。

いろどり事業−地域の眠れる宝を市場に出荷する商品へ

時にはユーモアを交えながら講義を行う横石代表取締役

講師は株式会社いろどりの代表取締役・横石知二さん。36年前にこの事業を始めた時、生産者は4人でしたが、現在では女性や高齢者を中心に200軒が参加され、つまものの全国シェアの80パーセントを占めるまでに。横石代表取締役からは、地域に眠る資源を発掘し売り出す視点、消費現場で市場調査を徹底的に行う努力、困難があってもあきらめない前向きさ、女性や高齢者のやる気を引き出すリーダーシップなど、事業実施における数々の工夫を語って頂き、研修員たちは熱心に耳を傾けていました。

生産者のやる気を引き出す

西蔭さんと、話に聴き入る研修員たち

横石代表取締役の講義の後は、生産者の西蔭幸代さんのお宅に訪問。この日は、はすいも葉やもみじ葉の出荷の合間にお話を伺いました。
西蔭さんからは、基本的には1人で作業・出荷をしていること、葉っぱは軽くて扱いやすいので、女性やお年寄りでも楽に作業ができ、高齢になってもずっとこの仕事を続けられることに加え、常に市場を意識して出荷の記録を伝票にメモすることで、価格についても出荷前に予測ができるまでに習熟されていることを説明いただきました。
また、いろどりからの注文の受注は、パソコンとタブレットで行います。研修員からの「コンピューターを使うのに抵抗はなかったのですか」との質問に対し、西蔭さんからは「最初はケータイを使うのも初めてだったけど、コンピューターがないと注文がとれない。分からない時はいろどりの人に家に来てもらって教えてもらい、使えるようになりました」とのお答えを頂きました。いろどり事業にやる気を引き出され、商品を市場に出すことを常に意識し、活き活きと仕事される姿に、研修員は大いに刺激を受けたようです。

市場を意識し、流通改善を目指すエルサルバドルの農家

この研修は、2014年から4年間、JICAがエルサルバドルで行う技術協力プロジェクト「東部地域野菜農家収益性向上プロジェクト」の本邦研修として位置づけられています。プロジェクトの目的はエルサルバドル国内でも最貧地域である東部地域の野菜生産農家グループを対象に、市場のニーズを把握し、それに応えることで流通を改善、農家の収益向上を図るものです。農家グループや行政だけでなく、この地域の農家から農産物を購入する意思のあるスーパーマーケットも係わりながら農産物流通の改善を目指しており、この研修にも異なる立場の人達が参加しました。いろどり事業の現場では、「やる気を高める工夫」や「市場情報収集の重要性」に触れる機会となっただけでなく、「地域資源を活かすことの大切さを学んだ」「協力することや価値観の共有が大事だと感じた」等の感想も研修員から寄せられました。

JICA関西 業務第二課 安本真理子