8か国10名の研修員が芦屋のだんじり祭に参加、日本の伝統文化に学ぶ

2015年10月15日

10月10日(土)、課題別研修「博物館とコミュニティ開発」コースの8か国10名の研修員が、芦屋・山之町のだんじり祭に参加し、日本の伝統文化を体験しました。

伝統を受け継ぎ、人をつなぐ芦屋・山之町のだんじり祭

だんじり祭本番に先駆け、研修員たちは約1週間前に事前準備を見学させて頂きました。
町内ののぼりの設営も手伝わせて頂き、地域一丸となって、この祭を行っている様子を既に体感したようでした。

そして本番のこの日、研修員たちは16時半ごろに集合し、芦屋市の山芦屋会館を訪れました。こちらでは、既に地域の女性達が集まり、まかないの準備中でした。研修員たちも早速準備に入ります。ゆかたに着替えさせてもらい、地下足袋を履き、この日神社でお祓いを受けたという、漢字の名前入りのお札を首から下げます。背中には、こちらも漢字の名前入り、手書きのうちわを身に着け、準備万端です。

そうしている内に、大きな掛け声とともに、地車(だんじり)が到着しました。子供たちが前で綱を引き、後ろからは男性が力強く押しています。その迫力、きらびやかさに魅了され、研修員たちからは歓声が上がります。この日お世話になった芦屋山之町地車愛好会は1973年の結成で、高度成長期には一時期、活動が途絶えたこともあったそうですが、地元の人たちの熱意により復活し、現在まで活動が続けられています。その頃に子供として参加していた世代が親となり、そしてその子供世代がまた地車を引きます。普段は地元から離れて暮らす人でも、この日には家族を連れてふるさとに集う人も。世代を超え、熱い思いと地域のつながりが受け継がれている伝統行事です。

まかないを頂いた後、いよいよ巡行が始まります。その前に、「こんにちは!私はエルハムです。国はパレスチナです」など、研修員たちは地車の檀上にて、覚えたての日本語で自己紹介をさせて頂きました。音楽とともに自国の踊りを披露した研修員もいました。盛り上げ、受け入れて下さった山之町の方たちの懐の広さに感謝です。

そして18時ごろから巡行が始まりました。「えいやーしょー!」の掛け声とともに、町内を回ります。登り道では「わっしょい!わっしょい!」の掛け声にかわり、全員が地車を後ろから押します。始めは後ろをついて歩く研修員たちでしたが、登り坂では声を張り上げながら、我先にと地車を押す研修員もいました。途中、休憩を挟みながら、スタート地点の山芦屋会館に戻ってきたのは21時過ぎでした。汗を拭きながら、飲み物を頂く研修員たちはまだ興奮冷めやらずといった感じでした。

「博物館とコミュニティ開発」コース

【画像】この「博物館とコミュニティ開発」コースは、エジプト、ペルー、フィジー、ミャンマー等、世界各国の学芸員や修復士、博物館の運営責任者たちが研修員として参加し、9月28日から12月19日の日程で行われます。当初は、博物館運営に関する基礎技術を習得する「博物館技術」コースとして1994年に始まり、時代とニーズを汲み上げコース内容の調整をしながら22年にわたり実施されてきた研修ですが、今年度からは博物館運営の為に必要な基礎技術に加え、博物館が地域社会に果たす地域開発・社会連携の役割について学ぶ事を目的とした「博物館とコミュニティ開発」コースとして新たなスタートを切っています。

研修員の1人、国立エジプト文明博物館の学芸員アブドゥさんは「自国ではこのような行事は公式なものしかない。地域に根付いたこの祭りは、コミュニティが団結できるとてもいい機会だ。形は違えど、日本には同じような文化がどの地域にもある。素晴らしい文化遺産だ。」と熱く語っていました。この祭りが単なる行事としてだけでなく、地域のきずなを強めるものとして根付いていること、また、有形・無形に関わらず次世代に継承すべき価値があることが伝わったのではないでしょうか。芦屋山之町地車愛好会の皆さま、地域の皆さま、温かく受け入れて下さり、本当にありがとうございました。

JICA関西 業務第二課 安本真理子