エチオピアで、黒板“緑化”計画が完了!

青年海外協力隊員 エチオピア/小学校教育 入江静香(兵庫 26年1次隊)

2016年6月7日

黒板“緑化”計画始動!

【画像】 すべての始まりは、私がエチオピアに赴任する直前に行われた、兵庫県OV会の壮行会の際にいただいたターナー色彩株式会社製のチョークボードペイント(600ml)です。私の活動の要請は、アディスアベバ市の政府系小学校に配属され、1年生から4年生への図工・体育・音楽の教授法の共有というものです。これらの教科の教育的価値は、まだエチオピアでは重要視されていないのが現状です。赴任してから1年は、全てが手探りで授業の支援が中心でした。1年経って分かったことは、同僚の先生への教育は最も重要で、これをソフト面とすると、教育環境である学校の環境としてハード面でのサポートも、同時に進めればより効果的だと分かりました。その際、1年間置いたままだったチョークボードペイントについて思い出しました。

 しかし、私にはチョークボードペイントを使うことに対して迷いがありました。私の配属先の学校には、他国の援助機関が私の赴任前に関わった実績があり、洋書や理科の実験用具を寄付してもらっていますが、上手く使われることなく、倉庫で長年放置されていたり、破損・紛失していたことがあります。また、口癖のように、同僚からJICAに頼んでトイレや机を新しくしてほしいと頼まれたりしており、いわゆる「援助慣れ」し始めていました。私の配属先は、エチオピア全体の学校環境と比較して、決して悪いものではありません。黒板については、まさに黒色のペンキをベニヤ板のような板に塗っただけのものでしたが、長年その黒板で授業を行っていました。その背景がある上で、緑のチョークボードペイントを用いる意味が果たしてあるのだろうかと悩みました。しかし、悩むより、せっかく頂いたものだし使わなきゃ!と結論づけ、カウンターパートの先生と教頭とで5クラスにのみ塗ってみました。すると、翌日からその教室で授業を行っている児童や先生たちから、「シズカ、この黒板はチョークの粉が飛び散らない上に見やすい!すごいなぁ!さすがJAPANだね!」という嬉しい反響でした。私からのこの製品の情報共有は十分といえませんでしたが、実際に利用している児童や先生からこのコメントをもらったときには、驚きとうれしさでいっぱいになりました。
「シズカ、このペイントがもっとほしい!買おう!」という同僚たちからのオファーがあり、そこから黒板“緑化”計画が始まりました。

チョークボードペイントは手渡しリレーを経てエチオピアへ

黒板を塗り替える様子

黒板で遊ぶ児童の様子

 まず、兵庫県OV会を通して、ターナー色彩株式会社の担当の平尾さんと連絡をとりました。しかし、問題が2点。学校の予算が、ペイントを買えるほどないという点と輸送方法です。エチオピアの郵便事情は、まだまだ十分機能しているとは言えない上、検閲され、没収されてしまう恐れが多分にありました。この問題を伝えた際、教頭は少し困った顔をしたようでしたが、何とかすると言ってくれ、予算を作るために働き、先生たちに緑の黒板の効果を説明し、承諾を得てくれました。「シズカが協力してくれるなら予算は作る、だって児童のために緑の方がいいに決まってるから!」この力強い言葉に、私も決心を固めました。しかし、学校が用意できると明言した額が1000エチオピアブル(約5000円)、24ある教室すべてに塗ろうと考えると、最低4つは必要となるため、予算が足らずにあきらめることを覚悟しましたが、ターナー色彩株式会社のお心添えにより、1000エチオピアブルで譲っていただけることになりました。

残る問題はあと1つ、輸送方法です。私は、紛失や没収覚悟で郵送を考えていましたが、タイミングよく、JICAエチオピア事務所の神(じん)所長が、日本の出張を4月に控えているという情報を得て、なりふり構わず神所長に輸送を依頼し、承諾いただき、ペイントの手渡しリレーを経て、これら2つの問題は解決しました。無事手元に届いたペイントの重みが忘れられません。

 届いた翌日、早速放課後、教頭先生や同僚の先生たちと共に塗りました。すべての教室が美しい緑色に変わりました。一部では、「ブラックボードなんだから、緑だと変だよ。黒の方がよかったのに!」という意見があるのも事実です。しかし、私は今回の計画をやり終えて、行為の意味を考えた際、「あれば欲しいけど難しいならやらない」と終わるのではなく、新しいものに挑戦する価値に目を向け、自分たちでできることがあるということを共に経験できたことは、私にとっても大きな財産です。また、保守的で新しいものに対して積極的ではないエチオピアの人々が、日本のチョークボードペイントについて知り、価値を考え、購入できたという事実は、大きな一歩だと確信しています。