水銀モニタリング能力向上国際研修コースが大阪等で開始 −『水銀に関する水俣条約』の途上国での取組を促進−

2017年10月18日

『水銀に関する水俣条約』が発効

有毒物質である水銀は、小規模金採掘、工業原材料、歯科用アマルガム、電池・照明等の製品中など、世界中で様々な形で使用されたのち環境に排出され、地球規模で今も循環しています。
2017年8月16日に発効した『水銀に関する水俣条約(以下「水俣条約」と略す)』の目的は、水銀および水銀化合物の産出、使用、貿易を規制することによって、人為的な排出から人の健康と環境を保護すること、言いかえれば「水俣の悲劇を繰り返さない」ことにあります。
条約締結国は、今後、その目的を達成するために各国内での取組を進めていくことが求められています。

水俣病の経験を有する日本は、進んだ水銀代替・削減技術を活かし世界の水銀対策に主導的に取り組んできました。また、「MOYAIイニシアティブ」で、条約の早期発効に向けた途上国支援を行ってきました。

条約の着実な実施に向けて、重要な途上国の水銀モニタリング能力向上

土壌サンプルを採取する実習

JICAは、水俣条約の批准促進のため「水銀に関する水俣条約批准に向けた能力強化」コースを2014年度から九州を中心に実施してきました。
そして条約が発効し第1回締約国会合が開催された今年度から、途上国における水銀規制への取組能力強化を支援するため、「多媒体水銀モニタリング能力向上」コースを開始しました。

多くの途上国では水銀モニタリング体制が整備されておらず、水や土壌、生体といった媒体中の水銀含有量や動向なども把握されていない現状です。研修コースでは、途上国の分析官達が、実用的なサンプリング・分析手法を習得し、帰国後、水銀モニタリングが出来るよう支援します。そして将来のアジア太平洋地域でのモニタリングネットワーク確立に貢献する人材の育成を目指します。

アジア、大洋州、中南米の分析官が大阪・静岡で分析実習、水俣・沖縄を視察

分析実習の様子

2017年10月2日から27日まで締約10か国(ブラジル、ブルキナファソ、インドネシア、マレーシア、ニカラグア、パラオ、フィリピン、タイ、ウルグアイ、ベトナム)政府から派遣された環境モニタリング/分析担当者が大阪、静岡を拠点に日本の水銀モニタリグシステムを分析実習や視察を通して研修しています。
大阪、静岡ではサンプリング・分析実習を、いであ株式会社の協力を得て行っています。各国ではそれぞれのやり方での有害物質分析経験をもつ研修員ですが、赤木メソッド*など世界的に定着している優れた手法を理論とともに学ぶ良い機会となった、との声が聞かれました。

*赤木メソッド:有限会社国際水銀ラボ所長 赤木洋勝氏が国立水俣病研究センターで開発した、総水銀量とメチル水銀含有量を簡便かつ正確に測定する分析技術。世界の水銀汚染地域の研究者に広く用いられている。