インターネットから始まる国際協力—青年海外協力隊(キリバス)×大阪府狭山高校の遠隔授業 第1回

大阪府立狭山高校(栁井淳校長)では、英語の教材に「水問題」が出てきたことをきっかけに、より理解を深めるための授業が展開されることになりました。3年4組・5組・8組の教科担当である小林友宏先生が青年海外協力隊としてキリバスに派遣されている工藤成美さん(職種:環境教育)と連携して、インターネットを通じてキリバスの水問題についての遠隔授業を実践されました。3年5組で二回に渡って行われた授業の様子をお伝え致します!

2018年7月9日

遠隔授業 第1回目「キリバスを知ろう」

キリバスについて紹介する工藤隊員

2018年6月22日、一回目の遠隔授業は工藤さんからのキリバス紹介から始まりました。美しい島の写真を見ながら、初めて触れるキリバスという国に、生徒のみなさんも興味津々の様子。実際に現地で暮らす隊員の体験談は、キリバスの生活を身近に感じる機会になりました。
続いて、工藤さんから生徒のみなさんに対して、「キリバスでは飲料水をどのように手に入れていると思いますか?」と問いかけがありました。この質問には「海水をろ過して飲んでるのかな」というような、さまざまな推測が出ました。果たして、正解は…井戸水や雨水、ミネラルウォーターを飲料水として飲んでいるそうです。しかし、それぞれに問題を抱えています。工藤さんによると、井戸水には塩分が含まれており、地球温暖化による海面上昇が影響していると考えられているとのこと。また、雨水も気候変動の影響を受けて降水量が不安定になり、常時確保できない状況です。一方で、ミネラルウォーターは、ペットボトルというこれまで島になかった輸入品のゴミ問題引き起こしています。このようなごみ問題は、首都南タラワへの人口集中に伴って深刻化しており、地下水へのさらなる悪影響が懸念されています。
授業を通して、「キリバスの水問題」はキリバスだけで解決できる問題ではないことが分かりました。工藤さんは協力隊として、住民と協力したクリーンアップ活動や、ペットボトルを使ったプランターによる野菜づくりなど、できることを探しながらひとつずつ実践されていて、また、日本に帰ってからもできることを模索したいとの思いを語られました。そのうえで、日本の高校生にも小さなことから行動に移していくことが大切とメッセージを送られました。

続いて、青年海外協力隊の看護隊員として活動する中山未来さんが、キリバスの保健分野の現状とそれに関わる水問題について話してくれました。野菜が手に入りにくいキリバスの食生活では肥満になりやすく、糖尿病を患う人も多いそうです。また、キリバスの人たちにとって海は生活の一部ですが、傷のある人には海に入らないよう指導しているそうです。なぜなら、海水が汚染されているため、感染病の原因になることもあるためです。大切なことは清潔な水で傷口を洗うことですが、その清潔な水へのアクセスが困難であると話されました。

(なお、6月21日に行われた4組・8組の授業では、助産師隊員として活動している嶋谷南さんが、家族計画に関する知識の欠如などによる都市部における人口増加が、限りある水資源の枯渇を引き起こす一因となっていることを紹介しました。)

キリバスについての質問

それぞれ気になることを隊員に尋ねました

最後に、高校生のみなさんから隊員のお二人に質問が投げかけられました。
「キリバスにきてよかったことはなんですか?」と問いかけられると、「ここでは時間がゆっくり流れています」と言われて、日本の支援もあり、親日的であることも挙げられていました。また、キリバスの人は音楽が好きで、歌がとても上手だそうです。そのほかにも、北海道出身の工藤さんに「キリバスと北海道の魚はどちらがおいしいですか?」との質問が出ました。これには、「どちらもおいしい」と笑顔で答えられ、日本で食べられるカツオの多くは、キリバスを始めとした南太平洋産であることも教えてもらいました。

JICA関西 国際協力推進員(大阪府) 鍋内郷子