「SDGs」公開授業で、中学生がタンザニア社会に貢献するスマホアプリを開発した企業を紹介

~株式会社スタジオキャンビー~

2019年3月5日

タンザニア・ダルエスサラームの町

 大阪市立新巽(しんたつみ)中学校で公開授業が行われ、現在タンザニアでJICAの中小企業海外展開支援事業(現 中小企業・SDGsビジネス支援事業)の基礎調査を実施中の「株式会社スタジオキャンビー」の取り組みが紹介されました。

SDGsをキーワードに企業を訪問


株式会社スタジオキャンビーのオフィスにて神戸社長にインタビューする生徒たち

 新巽中学校は「SDGs」※をキーワードに、世界の課題に目を向けながら、地域でどう行動するのか具体的な解決法を見出すために、「調べ、まとめ、発信する」学習法としてPBL型(Project Based Learning)の実践に積極的に取り組んでいます。また社会的責任や問題解決力、創造力といったテストで図ることのできない力の育成を目指し、すべての生徒が「社会で活躍する力を身につける」学習を進めています。その日ごろの学習成果を2月22日、生徒の皆さん自身が公開授業で発表しました。
 この日の公開授業に向けて、生徒の皆さんは各グループに分かれて学校を飛びだし、自分たちが関心を持つ地域の企業を訪問。その企業関係者に企業活動についてインタビューし、世界につながることや地域に貢献することの大切さについて学びを深めました。その訪問先の一つが大阪のITサービスを提供する企業株式会社スタジオキャンビーで、同社の神戸貴弘社長は喜んで生徒たちを受入れインタビューに応じました。

IT(情報技術)でアフリカの交通渋滞に貢献!?

数珠つなぎになっているバス路線の様子

エネルギッシュなタンザニアの人々

タンザニア最大の都市ダルエスサラームでは、産業振興と交通渋滞の緩和を目的に、専用レーンを走る路線バスシステムBRT(バス・ラピッド・トランジット)が近年構築されましたが、バスの運行情報やバス停の位置などが分かりづらいため利用者が伸びないという課題を抱えていました。そこで同社は、このバスシステム専用のスマートフォンアプリ「Bongo Faster」を開発。現地で本格的なビジネス展開を目指し、JICAの支援を得て現在調査を行っています。今後は現地の政府機関と連携して車両内で日本企業が広告を掲載できる仕組みづくりも検討しています。生徒たちは神戸社長へのインタビューを通してアフリカの地タンザニアの人々の暮らしに思いをはせました。インタビューの様子の一部を紹介します。

生  徒:「タンザニアの人たちの役に立つお仕事をされているのですね。」
神戸社長:「タンザニアのバス停には時刻表などが記載されていないため、バスの到着時刻や発車時刻を把握しにくいのが課題です。そのため、学校や職場の開始時間に遅れるのは日常茶飯事。ルートもバス停の位置も分かりにくい。乗車率にもムラがあり、満員のバスもあれば空っぽのバスもある。そこで運行するバスの時刻表や目的地までのルートなどを表示するスマートフォンのアプリを開発しました。このアプリを使うと安定的にバスを運行することが可能になります。」
生  徒:「タンザニアではみなさんスマートフォンを使っているのですか?」
神戸社長:「はい。若い人を中心に使っている人は多いです。固定電話よりも普及しているのでないかな。国土が広いから携帯電話の方が電線を敷設するよりコストが安く済みます。」
生  徒:「隣の部屋ではアフリカからのインターン生が働いていますね。どんな方たちですか?」
神戸社長:「JICAのプログラムで日本の大学で学んでいるアフリカの留学生たちです。これまででケニア、ルワンダ、セネガル、タンザニアからの留学生をインターンとして受け入れてきました。以前ここでインターンをしていたタンザニア出身の留学生が日本のバス運行情報システムに感銘を受け、同様のシステムをタンザニアでも普及しているスマホ向けのアプリとして提供できれば、BRTが抱える多くの課題を解決できると考えてこのアプリの開発に至りました。」
生  徒:「アフリカの留学生のみなさんと一緒に働くことの良い点、悪い点などはありますか?」
神戸社長:「良い点は異文化を学べること。彼らから学ぶことも多く自分自身の視野が広くなったし、もっと彼らの文化や考え方を知りたくなりました。休日はバーベキューなどをして交流を楽しんでいます。悪い点はないですが、人材育成には時間も根気も必要。でもじっくり取り組んでいきたいです。」
生  徒:「アフリカの人たちと日本人との違いはなんですか?」
神戸社長:「彼らはとにかくのんびりしています。時間の感覚が日本人とは違う。それから富は平等に皆で分けて当たり前。働かなくても分け前がもらえるというのは、頑張った人のみが報われる資本主義の日本とは考え方が大きく違います。」
生  徒:「彼らとはどうやってコミュニケーションを取っているのですか?」
神戸社長:「英語です。どうしても仕事で必要なので一生懸命勉強しました。これからの日本はますます海外の人たちと仕事などを通して交流をする機会が増えると思います。みなさんも今からしっかり語学は身につけておいてくださいね。」

SDGs×情報

 公開授業で実施されたプレゼンテーションの課題は「読む」のではなく「語る」こと。同社の企業活動や神戸社長から聞いたタンザニアの人々の生活や価値観などについて、生徒たちは自分たちの言葉でいきいきと紹介しました。農業や医療分野の途上国支援については耳にすることはあっても、ITサービスという方法で日本企業がアフリカに貢献していることは生徒たちにはとても新鮮に映ったようです。「SDGs×情報」というキーワードでまとめられた発表では、人と人との心の距離を埋めるための相互コミュニケーションの大切さにも触れ、他言語の人に対してもまずは初めの「あいさつ」が大切という実体験をもとにしたメッセージも伝えられました。言語を通して的確に伝えられる情報の持つ力や可能性についても学びを深めたようです。

(JICA関西企業連携課 脇田智恵)

※SDGsとは
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。