ケニアで第4回 ロボットコンテスト開催

2012年5月22日

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2012年5月8日
Kenya Broadcasting Corporation (KBC)の生放送に出演する清水教授と江口JICAケニア事務所長。”Good Morning Kenya”(8:00〜9:00、1時間の生放送)という朝の番組の中で15分程度出演。番組内でロボットコンテスト開催の背景、趣旨、日本の支援内容等を説明した。

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今年のロボットコンテストはThe 1st National Science, Technology and Innovation Weekの中の1つのイベントとして位置づけられた。5月7日のオープニングではオディンガ首相が開会を宣言した。

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ロボットコンテストフィールド。(1)スタート地点(赤く囲まれた場所)から床に描かれた白線に沿って進み、(2)黄色のシリンダー(写真右隅)を掴み、(3)シリンダーをピンクの箱(スタート地点正面に設置)に刺し、(4)ボール(写真、右の真中)まで移動し、各々の色のボールを取り、(5)シリンダーの中にボールを入れ、(6)ピンクの箱ごとシリンダーを持ち上げ、(7)坂道を登り、(8)中央の箱の上に乗せる、というもの。因みに1段高くなっているところが、闘牛場。その上で向かい合っているのが闘牛という設定。シリンダーをつかめたのが、17ロボット中、3台という結果。コンテストでは、手前のフィールドしか使用されなかった。

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大会前日に職人がテニスボールを加工して闘牛用の「餌」を製作。

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闘牛たちの餌はこのように並べられた。緑色のボールが草、紫が水、黄色がビールを表す。残念ながらここまでたどり着けたロボットはいなかった。

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職人のいたずらかそれとも偶然か?シリンダーの置き位置を示す円にハートマークができていた。

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本番前にロボットの調整を行う学生たち。

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シリンダーをつかむことに成功した数少ないロボット(優勝したKisumu Polytechnic)。掴んだ瞬間に観客から大歓声が起きた。しかし残念ながら、途中で止まってしまい、ピンクの箱までシリンダーを持っていくことはできなかった。

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2位になったEastern Shuttleと名づけられたロボット。4校による合同製作。こちらも決勝戦でシリンダーを掴み、大歓声を浴びた。

2012年5月7日(月)から11日(金)の日程で第4回ロボットコンテストがナイロビ市のケニヤッタ国際会議場で開催されました。例年と同様、会場準備、大会運営、ルール設定は経済負担も含めケニア側が自立的に実施し、JICAは技術的なアドバイスを行ったのみでした。今年は学校合同チームの結成もあり39校製作による17ロボットが参加しました。

ロボットコンテストの目的は与えられた課題に対してアイディアを練り、ものづくりを行うことによって工学教育の向上を目指すものです。今年からNational Science, Technology and Innovation Weekの中のメインイベントして、ロボットコンテストが位置づけられることになりました。

今年のテーマは闘牛。闘牛のために餌箱を用意し、水と草とビール(注;ケニアの闘牛では闘争心を煽るために、試合直前にアルコールを飲ませる)を確保し、闘牛場にいる牛に与えるというものです。餌箱が黄色いシリンダーとピンクの箱、水と草とビールが丸いボール(緑色のボールが草、紫が水、黄色がビール)、闘牛が一段高いところに置かれた箱となっています。競技のルールは、(1)スタート地点から床に描かれた白線に沿って進み、(2)シリンダーを掴み、(3)シリンダーをピンクの箱に刺し(餌箱の設置)、(4)ボールのところまで移動し、各々の色のボールを取り(餌の確保)、(5)シリンダーの中にボールを入れ(試合前に闘牛に与える餌を用意)、(6)ピンクの箱ごとシリンダーを持ち上げ、(7)坂道を登り(闘牛場へ向かう)、(8)中央の箱の上に乗せる(闘牛場にいる牛に餌を与える)、というもの。制限時間3分でクリアした課題と審査員による技術点で競います。審査員は3人で、その内の1名は昨年に引き続き、長年NHKロボットコンテストに携わってこられた清水優史名誉教授(東京工業大学)に担当していただきました。

ロボットは一部の輸入品を除いて基本的にはケニアで手に入る部品を使い、学生が製作した手作りのロボットです。製作費用は約10万から40万円前後となっています。

今年はケニアでのロボットコンテスト開催に向け尽力され、2009年に逝去された故牧野修国際協力専門員の奥様とご子息も迎えての開催となりました。

今大会の特徴は以下のとおりです。

1.時間が足りない!

運営委員会がルールを各学校に配布したのば3月上旬。これは5月に開催されるNational Science, Technology and Innovation Weekの中でコンテストが行われることになったため、学生達がロボット製作に充てられた期間はわずか2ヶ月でした。そのため、従来は各学校が1台のロボットを製作していましたが、今年は複数校が合同でロボットを製作するケースが目立ちました。例として2位になった”Eastern Shuttle”というロボットは4校合同によって製作されました。17台のロボットの内、1校による単独製作は5台でした。また今年は予選もなかったため、ロボットの調整不足も目立ちました。来年の大会は早めのルール作成・配布が望まれます。

2.フィールドが大幅に変わる

従来の大会は、ロボットが進んで、ブロックを取って、スタート地点に戻るというのが基本でした。しかし今年はかなり複雑なコースに。しかもシリンダーを掴んで、穴に挿す、ポールの軸からボールを抜いて運ぶ、シリンダーの中にボールを入れる、坂道を登る等の様々な課題が設置されました。上述のとおり準備の時間が短く、今年はシリンダーを掴むだけで精一杯で、シリンダーを掴むことのできたロボットは17の内3台、そのシリンダーを穴に挿すことができたロボットはゼロでした。職人たちが大会直前までテニスボールを加工して、餌を表すボールを作っていたのですが、ボールにまで到達したロボットはなし、というちょっと残念な結果となりました。

しかし決勝戦では2台のロボットがともにシリンダーを掴み、会場は大興奮。この日一番の歓声があがりました。この時ばかりはロボットを製作した学生達、応援に来ていた観客ともに大いに盛り上がりました。

3.会場が暗くて電源がない!

今年のロボットコンテストは芝生の上に巨大テントを張った会場でした。雨季のため足場が悪く、急遽ビニールシートを敷いての会場設置となりました。また、ライトがないために、各ロボットのライントレーシングのセンサーを作動させるだけの十分な明るさがなく、まっすぐ進めないロボットが続出。また、会場内に電源がないために、学生達がロボットを調整・準備したりする場所がありませんでした。

今後は(1)大会準備をいかに効率的に早めに行っていくか、(2)周辺国への余裕を持った周知・応募勧奨、(3)課題が難しくなるにつれ、ロボット製作費の増えるので資金面での支援制度の検討、(4)ケニア国内でより認知度を上げていく等課題はまだまだ残されています。来年の大会は節目となる第5回大会。JICAケニア事務所としては更に盛り上がる大会となるように支援を継続していきます。

第4回ロボットコンテスト結果は以下のとおりです。

  • 1位;Kisumu Polytechnic
  • 2位:Meru Technical Training Institute / Nkabune Technical Training Institute/ Kiirua Technical Training Institute/ Rwika Technical Training Institute
  • 3位:Mombasa Polytechnic University College
  • 4位:Coast Institute of Technology/ Mombasa Technical Training Institute
  • 審査員賞:Moi Institute of Technology/ Mawengo Technical Training Institute
  • 牧野賞(注):Gusii Institute for Technology

(注)牧野賞とは本大会の開催に向け尽力された故牧野修国際協力専門員に敬意を表し、2010年から設置された賞で、獲得した得点ではなく、ロボットのアイディアが評価された学校に贈られるもの。

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決勝戦終了後に結果について議論する審査員3人と運営委員。一番手前が清水教授。

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閉会式でスピーチをする牧野氏(故牧野専門員の奥様)。左は江口JICA事務所長。ケニアでのロボットコンテストは故牧野専門員の尽力により開催されることになった経緯がある。

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表彰式にてMoi Institute of Technology/ Mawengo Technical Training Instituteに審査員賞のトロフィーを授与する清水教授。

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表彰式にて優勝したKisumu Polytechnic。賞品はケニアの企業、南アの企業のほかにTOYOTA SANYO,長崎大学にも協賛いただいた。