帰国後の奨学生を紹介する企画(ABEイニシアティブ民間人材のケニア現地インターン参加報告)(12)

2017年11月20日

【奨学生たちの今を追う】ABEイニシアティブ(12):異なる職業文化のなかで働くということ…責任とは? インターンシップでの経験(民間人材)

このシリーズでは、研修プログラム終了後も引き続き向上心を持ってがんばりつづけている奨学生たちの今を紹介します。

今回は、2017年6月にケニアに帰国したSusan Namiindaさん(国際大学 国際経営学研究科修士(MBA))に焦点を当てます。彼女は帰国してすぐにロート・メンソレータム(ケニア)社(以下、ロートケニア社)でのケニア現地におけるインターンシップに臨みました。

(注)ABEイニシアティブ:アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)。アフリカ各国からの奨学生を、民間、政府、教育等の各分野で日本ビジネスの水先案内人に育てることを目的としている。

詳細はこちらをご覧ください。

Susan Namiindaさん(国際大学 国際経営学研究科修士)は、日本に本社を置く医薬品・化粧品会社ロート製薬グループのケニア現地法人でインターンシップをする機会を得ました。

NamiindaさんはABEイニシアティブプログラムで修士課程に進学する前にも社会経験がありましたし、同プログラムで来日後も日本企業でのインターンシップを通して多くの経験を積みました。ケニアに帰国後、現地の日系企業でのインターンシップを通じて、多文化環境で働くために必要な現場のスキルを一層身につけることができました。

ABEプログラムの第2バッチに合格したとき、一方でそれまでの慣れ親しんだ仕事や安定した給料を手放さなければならないという思いが彼女の頭をよぎりました。しかし、日本語と日本式のビジネスマナーを身につけることで、日本のビジネスにも適応できるようになりました。もちろん、日本では自動販売機で何でも売っていることや、そしてまた地震にだって慣れることができたといいます。

彼女は日本で経験した丸紅株式会社での1週間のインターンを思い出しました。非常に厳格な職業倫理のもと、常に持てる力の1割増しを出さねばならないような状況でした。誰ひとり遅刻することもありませんし、みな完璧な仕事を追求するのです。でもそのころには、彼女は日本での生活——国際大学のキャンパスは言わずもがな、一歩外に出ても行き届いたマナー、整理、整頓、清潔の揃った環境——に慣れていましたので、何とか乗り切ることができました。同時にこのABEイニシアティブプログラムは彼女に全アフリカから集うABEイニシアティブ研修員達とネットワーク構築、起業家精神に溢れるアイデア創出などをもたらしました。

そしてNamiindaさんはロートケニア社のインターンで今まで経験のなかった会計業務や輸入業務などの新しいスキルを学びました。それは彼女にとって非常に良い経験となっていました。またそういったスキルや知識だけでなく、ここケニアのインターンでも日本企業の根底に流れる職務への責任感・説明責任に触れていました。

次に、私たちABE取材班はロートケニア社のダイレクターである阿子島さんにもお話を伺いました。阿子島さんは、Namiindaさんと一緒に働くことを喜んでおり、異なる文化の組織、民間企業で働くことは帰国研修員にとって新しい働き方の意識を学んでもらえる機会になると考えていました。その意識は職業人生の財産ともなり得ます。阿子島さんは、このインターンの経験がNamiindaさんにとって彼女が日本で学んだ職業倫理を実践する機会になればと期待しています。阿子島さんは、日本企業とケニア企業の働き方の意識の違いの例として職務記述書があげられると話します。日本では職務記述書はあまり意識されることが少なく社員各自が自身の責任、その組織において必要とされる業務を考えて自らの仕事をつくっていく傾向がありますが、ケニアでは会社から何が求められているのかを明示するための職務記述書が必須となっています。求められる業務内容は会社から与えられるべきもの、という意識が一般的です。ロートケニア社では職務記述書は各個人に用意されますが、同時に常に自ら考えて解決策を提示していく責任意識と積極性を求めています。

このような理由から阿子島さんは、今回のインターンシップを通じた交流が短いながらもNamiindaさんにとって貴重な経験となり、異なる職業文化のなかで働くということがどういうことなのかを感じ取ってもらえればと期待しています。

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Namiindaさん(ロートケニア社にて)

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阿子島さん(左)、ABE取材班とともに

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卒業式にて指導教授とともに

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卒業式にて家族・友人とともに