突撃インタビューよろしく 第2回(ロート編)

2017年1月27日

ケニアで開発課題の解決にがんばっている企業や団体の生の声をお届けする企画。今回は昨年12月6日にナイロビにて新商品(ヘア・ケア関連商品)のお披露目をしたロート。(JICAのBOPビジネス連携促進スキームに採択され、その商品コンセプト開発の過程にJICAは関わった)
ケニアのような新興国で新規ビジネスを実施するには、山盛りの問題が次々と目の前に迫ってくるかと思われ、ちぎっては投げちぎっては投げといった対応をされてきたのではないか、その辺のところをこの事業の担当の阿子島さんにお話を聞いた。
聞き手はJICAケニア事務所の相園賢治、録音は同じく伊藤正芳。

阿子島文子さん
Rohto Mentholatum (Kenya) ltd.代表 2013年現地法人設立より現地代表を務め現在に至る。ケニア青年海外協力隊OG(2009年−2011年)でもある。

商品名か会社名、どっちが大事?

相園:
新商品の発表、おめでとうございます。
阿子島:
ありがとうございます。
相園:
いろいろなメディアの方が来てましたが反響はいかがでしたか?JICAの入っているビルのクリーニングのお姉さんからは先日、あのシャンプーはどこで手に入る?と聞かれましたけど。
阿子島:
FB等への反応やCongratulationメール等は多くいただいたのですが、製品やブランドとしてのターゲットへのコミュニケーション・アプローチはこれからというところです。これまで広告ではなく広報(PR)宣伝をケニア社として戦略的に実施したことがなく初めてのこころみでした。ケニアの広告費って高いんですよね。
相園:
高いんですか?何ででしょうね。
阿子島:
元々の単価が高いようです。ただ高いというのは、このケニアのマーケットサイズに比べ高いという印象です。
相園:
そうですか。開発コンサルのフィーも高いんですよね。
伊藤:
それは余計です。
相園:
失礼しました。ところで今回は、商品発表会ではありましたが、会社説明会といった色合いもあったと思いますがそれは何か意図が?
阿子島:
実はケニアの現地法人は2013年に設立したのですが、会社のローンチ、お披露目というのは正式にやってこなかったんです。そのため、会社名も知ってもらおうと考えました。
相園:
ケニアではロートさんの「DEEP HEAT」といった商品名は有名ですが、確かに、どこの会社が作ってるのかは恐らく誰も知りませんよね。うちの大家さんの庭師もいつも「DEEP HEAT」をポケットに忍ばせていますが、会社は知らないみたいでした。
阿子島:
そうなんですよね。会社の戦略によって異なると思いますが、ケニアでは会社名があり、各ブランドの商品がそこにぶら下がっているものが主流ですが、当社は各商品が独立している感じがあるんです。今後の展開を考えると、会社名も同時に打ち出す必要があると考えました。
相園:
ブランディングアクティビティは打ち出すタイミング、それと商品名と会社名のバランスが難しいかと。

レッドオーシャン?

相園:
ところで今回の新商品の「ROOTIA」ですが、ヘア・ケア商品ですよね。ナクマット(大手スーパーマーケットチェーン)とかの商品棚をみると以前に比べてものすごい品数が並んでいるように見え、これはまさにレッドオーシャンなのでは、と感じてしまうのですが。
阿子島:
確かに競合も品数もかなり増えました。ただ一方でモノがただ単に入荷されているようにも見えます。まだ市場はそれほど大きくないため小さなパイを取り合っているという状況かもしれません。
相園:
以前JICAのBOPFS調査時に、商品コンセプトを一緒に考えさせていただきましたが、確か「年齢を重ねても女性でいる」をロートはヘア・ケア商品で応援することだったかと思います。
阿子島:
はい、そのとおりで具体的には脱毛などの頭皮ダメージ予防に投資する、ということになるかと。スカルプケアーをデイリーケアとして習慣化してほしい、と思っています。ただ、ケニアの皆さんは即効性がすきで、すぐ結果がでることを好みますので、こういった予防という未来の結果のためにいまから行動を起こすという概念を広めるのはなかなか大変なんです。
相園:
大変ですよねえ。日本人である私でさえ即効性が好きでたまらないので。ところでこの予防のための投資ということをよくよく考えると新しいポジショニングであるともいえますね。その他の競合商品は対症療法のためのラインアップといえるので。ということはブルーオーシャン?
阿子島:
そうかもしれません。ということは未開の市場に突入しているともいえるので何らかの形で商品を信頼してもらう必要がありますね、そこが難しいところです。
相園:
10年後、20年後の約束された姿を見せてくれれば買う、といわれても無理な話なので知恵の絞りどころです。ただベンチマーキングとして、同じ業界だけでなく他業界やアフリカ以外の地域にいろいろなヒントがあるかと思います。

青年海外協力隊経験

相園:
ところで新しいポジショニングをとり市場を創出するには、市場参入と違い地域の社会性や文化・伝統などを理解しないとなかなか難しいといわれています。阿子島さんはかつて青年海外協力隊員としてケニアに赴任され2年活動されていました。この経験、正直にいうと役に立っていますか?正直にいうと。
阿子島:
はい、めちゃくちゃ役に立っています。
相園:
それはそれは。ちなみにどのような場面で。
阿子島:
我々は消費財を生産・販売していますので社会性や文化的側面を理解していないと商品開発に支障をきたします。またパートナー企業や従業員との関係にもこの2年間の経験が役に立っています。
相園:
それはそれは。いいこと尽くめで。実は私もケニアが長いためケニア人の考えが結構わかったりするのですが、一方でわかりすぎて「あのねえ、君たち」といった気持ちによくなります。阿子島さんはそういった気持ちにはならないですか?

疑う力?

阿子島:
一緒です。私も結構わかるので「カチン」とくることが多いです。あと、全然別なんですが「疑う力」がついたことでしょうか?
相園:
「疑う力」?不穏な響きですが。
阿子島:
たとえばスタッフから何かの報告をしてもらったときに、「ん?」って思ったときは何度も確認したりします。なんとなく肌感覚でこれは違う、というのがわかったりするのです。
相園:
なるほど、そいうことですか。私も昨年ローカルコンサルタントにケニアの物流事情調査を依頼したのですが、「ん?」が30回くらいあり20回ほど面談を繰り返した覚えがあります。しつこい相園と思われているに違いありません。
阿子島:
こういった肌感覚を協力隊の2年間で学ばせていただきました。まさにケニア人に近い目線をもつことと、どのような人付き合いをしていけばいいのかと。
相園:
えらい、それが聞きたかった。今回も記事出せそうです。

ひとことメッセージ

相園:
最後の質問になりますが、最近アフリカ協力隊OB/OGの方が任期終了後にまたアフリカに戻ってビジネスでがんばっているケースが増えてきています。今後さらに増えるかと。阿子島さんももちろんそのお一人ですが、ケニア/アフリカに戻って何かしたい、何かやってみたいと思っているアフリカ青年海外協力隊現役隊員とOB/OGの方々に向けてメッセージみたいなもの、ありますか?
阿子島:
そうですね…私に何か言えることがあるのか。。。自分が協力隊員だったから余計に思うところがあるのかと。
相園:
はい、それは…(勢いに負けて沈黙)
阿子島:
問題が次から次へと起こるので諦めない粘り強さや熱意はもちろん大事なのですが、それだけでは足りないのかもしれません。私のケースではたまたまロートという理解のある会社とめぐり合えたことが大きく、アフリカの開発課題に民間企業としてじっくり取り組める機会に恵まれました。本気でアフリカと面と向かうのなら、自分の実力を改めて見つめなおし、足りない部分はよそから調達してアフリカに戻ることが必要では。それは起業することかもしれませんし、組織に入ることかもしれませんし、その他のやり方でも。私の場合はロートへの就職、ということですね。アフリカで何を実現するのか、何に挑戦するのか、ビジネスなのか援助なのか
相園:
なるほど力強いお言葉です。その力強いお言葉のあとに個人的な質問で恐縮なのですが、この「ROOTIA」、男性も使えるのですか?最近ちょっと髪の毛が20代のようじゃないので。
阿子島:
もちろん使えますよ。
相園:
ジャブジャブ使ったほうがいいのですか?
阿子島:
そんなにジャブジャブは必要ありません。適量で十分です。あとやさしく洗う。泡が汚れをとってくれますので。
相園:
やさしくですか。それとやはり泡。ところでずうっと昔から気になっていたんですが、トリートメントとコンディショナーとは何が違うのですか?
伊藤:
いったい何の質問をしてるんですか?
阿子島:
それはですね。。。。(阿子島さんから丁寧に違いを説明いただく。にもかかわらず理解不能な相園。)
相園:
(うーむ難しい。ただ、やはり「天使の輪」がポイントだな。。。)本日はありがとうございました。…あ、で、相園の髪は大丈夫なんだったっけ?
伊藤:
そんな質問いらないでしょう。インタビュー終わります。
(録音終了、ガチャッ)

(おしまい)

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新商品の説明をする阿子島さん

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頭皮をチェックする様子(右)

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サロンオーナーとのインタビュー(右)