突撃インタビューよろしく 第3回(EXCIA編)

2017年3月27日

ケニアで開発課題の解決にがんばっている企業や団体の生の声をお届けする企画。今回は2009年よりナイロビにて中古車販売を手がけているEXCIA。(ABEイニシアティブプログラム現地インターンの受け入れ先第一号でもある。)
ケニアのような新興国で新規ビジネスを実施するには、山盛りの問題が次々と目の前に迫ってくるかと思われ、ちぎっては投げちぎっては投げといった対応をされてきたのではないか、その辺のところをこの事業の担当の松本さんにお話を聞いた。

聞き手はJICAケニア事務所の相園賢治、録音はいつもの伊藤正芳。

松本義和さん
EXCIA East Africa, Ltd.代表 2014年より現地代表を務め現在に至る。ケニア青年海外協力隊OB(2010年—2012年)でもある。

ケニアの中古車市場って?

相園:
意外と知られていないことですが、日本からの中古車輸出台数でケニアは世界4位なんですよね?(2015年統計資料より)
松本:
そうなんです、徐々に伸びてきていました。われわれも順調かと思っていたのです。ところが、2016年は、結構大変な年になりました。
相園:
大変な年?
松本:
はい、政府の政策として、急遽小型車の関税率が変更になりましたので、われわれの業界は結構なダメージを受けました。
相園:
それは努力ができないところなので本当に大変でしたね。
松本:
はい、ただ政府も、インパクトがあまりに強すぎたのに気づき、途中で元に戻しましたけど。なので後半はわれわれも落ち着きを取り戻しました。
相園:
よく聞く話ではありますが、身近にいる人から聞くと本当に当事者は振り回されてしまうなあ、と感じます。税措置だけでなく現地調達率や金融政策等いきなり実施するので本当にこわいと思うのですが、一方でこれはやばいと思って政府もすぐに戻す、笑ってはいけないところなんですがこういうのが新興国ならではと感じられちょっと笑ってしまいます。
松本:
いや、本当に振り回されて大変なんですよ。
相園:
はい、失礼しました。(まだ少し笑ってる)

差別化

相園:
ところでナイロビには中古車販売屋さん、かなりの数あるかと思うのですが、競争に勝ち抜くためにサービスの差別化等実施されているのですか?
松本:
弊社はディーラーさん向けのビジネスが8割以上を占めているので差別化というのはなかなか難しいんですよね。ただ、今後はエンドユーザーにも直接アプローチしようと考えていますので、差別化は検討しなければいけない課題です。
相園:
日本人がいる、というだけでも少しは差別化になったりするのでしょうか?
松本:
少しはあるかもしれないですね。ただ、ケニアでは、よその国もそうだと思いますが、やはり信用の蓄積が一番大事です。わかりやすい例でいうとメーターの巻き戻しがないとか、ですかね。モンバサで簡単にできちゃうんですよね。
相園:
簡単に?
松本:
それも数千円で。
相園:
それは手ごわいですね。すでにそれ自体がビジネスになっているかもしれないので。

拍子抜け

相園:
ところでこれまで事業をやってきて、あれ?とかそっちだったの?とかいう肩すかしみたいな経験をしたことってありますか?
松本:
そうですね。最近こういった経験がありました。あるライセンス取得のためにこれまではいつも、無理難題をいわれたり無視されたりと結構タフな交渉を何度も繰り返してきました。今年は若い女性職員に任せて地道に交渉をしたところ、ススっと取得できました。で、理由がわからないのですよ。
相園:
確かに。結構そういうケース、ケニアではありますよね。前回同様のタフな交渉が必要と考え、完璧に近い書類を取りまとめて交渉にのぞんだのに、「はい、ご苦労様」といった感じでススっと交渉が終わる。もうそのときなんかは、これだけの書類をまとめるのにどれだけの労力が、といった怒りと、スムーズにことが進んだ喜びが入り混ざった、「あのねえ、君たち、でも、感謝します」といったなんとも奇妙な発言をしたことがありました。
松本:
はい、地道さはやはり大事かと。ところで、相園さんは覚えていないと思うのですが、私がケニアの協力隊員だったころ相園さんのセミナーに参加したことがあるんです。
相園:
はい?
松本:
で、相園さんが話されたこと、いまだに忘れずに覚えているんですよね。
相園:
え、こわいなあ。おそらくろくなことを言っていないと思うので、今謝ります。全部うそでした、すみません。
ちなみに何ていったんでしょう?
松本:
はい、「ノウ・ハウよりノウ・フーだ」です。
相園:
あ、それなら今でも言うのでうそではないです。特に新興国でのビジネスは一人で抱え込まず、リソースフルネスでやらないといけない、ということを言いたかったんだと思います。

ABEイニシアティブプログラム

相園:
ところで今回ABEの卒業生をインターンとして受け入れていただきました。この企画はまだ始まったばかりなのですが、実は松本さんのところがケニアでの受け入れ先第一号なんです。
松本:
え、そうなんですか。
相園:
はい。で、まだ始まったばかりなんですが、彼女に期待することとしてはどういったことを想定されていますか?差し支えない範囲で教えていただければ。
松本:
彼女は日本でMBAを取得されているので、新規事業の企画のアイディア出しをしてほしいと考えています。これから我々は地方展開をする予定ですので方向性を示していただければと考えています。それともうひとつは既存の事業の改善点を指摘してほしいと考えています。
相園:
なるほど。ケニアでは大学生や院生が民間企業にインターンにいっても、ほとんど何も役割を与えられないケースが多いと聞いていますが、今回のケースでは結構業務内容の根幹まで入ってくるんですね。
松本:
実はいまほとんどの業務を私一人でまかなっているような状況です。なので“任せられる人材”をこういったインターン制度から確保したいと考えています。
相園:
そうですか、うまく活用いただいているようでうれしいです。ところでこの現地インターンシップの企画自体に関してコメント等ありましたら。
松本:
ちょうど新規事業を考えていたところでこの企画を知り、また活用させてもらうことができているので非常に助かっています。正直ベースでいいますと、やはり、インターン生ということでフルタイムの人を雇用するよりかなり経費面で助かっています。
相園:
お互いを分かり合うお試し期間といった感じでもあるのでしょうか?
松本:
はい、やはり一緒に働いてわかることも多いかと。面接や履歴書ではなかなか人物までは見抜けないので。それと、正規の人の雇用は日本の本社が決めるのですが、その決定にもこちらでのインターンシップ時のパフォーマンス等の材料があるほうが説明しやすいメリットがあります。
相園:
なるほど。

ひとことメッセージ

相園:
最後の質問になりますが、ケニアへの進出を考えている日本企業さんに何かメッセージなどがあれば。
松本:
そうですねえ、うーん、あ、ケニアは楽しいところですよ。
相園:
おお、そうきましたか。めちゃくちゃわかりやすいメッセージでいいですねえ、ケニアをのぞいてみたくなります。で、具体的にはどういうことになるでしょう?
松本:
私が好きなところは日本人コミュニティのサイズが大きくもなく小さくもなく丁度よい距離感があるところでしょうか。
相園:
ほう。
松本:
いい距離感を保ちながらも皆さんすごく親身になってくれます。またそこからビジネスの広がりもありました。
相園:
日本人会をはじめ、ここの大使館やJETRO、商工会の皆さん、結構やさしいですよね。もちろんJICAも懇切丁寧をモットーに事業を行っています。
松本:
この日本人コミュニティがあるので、仕事もプライベートも楽しくできているんだなあと思います。あと、最終的には何とかなる、みたいなところがあるからでしょうか。
相園:
そのなんとかなる、という感覚、わかります。最初は驚いたり戸惑ったりしますが、なんとなく慣れてきて本質は単純なことだなあ、と理解が進むといろいろと動き出すことが多いかと思います。ただそれがわかるまで少し耐える時間が必要ではありますが。
松本:
確かに。
相園:
ところで本当に最後の質問ですが、ケニアで中古車をうまく買う秘訣ってあるんですか?
松本:
え、うまい買い方?
伊藤:
また個人的な質問をして…
松本:
うーん、そうですねえ、○○○といった感じでしょうか。(理にかなった説明をしていただく)
相園:
ケニアならではですね、なるほど、勉強になりました。
伊藤:
「EXCIAの松本さんのところで買うことです」、でいいような気がするんですが?
相園:
ん?そ、そうだ、確かに。君はえらい。
(さすが録音担当。録音の腕を磨いたな、他の追随を許さない)
では松本さん、本日はどうもありがとうございました。あとで電話します。

(ろうあ者まい)

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笑顔で仕事に励む松本さん

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ABE卒業生のジャクリーンさん(右)