突撃インタビューよろしく 第5回(AfricaScan編)

2017年7月24日

ケニアで開発課題の解決にがんばっている企業や団体の生の声をお届けする企画。今回は2014年よりナイバシャにてKIOSKビジネスを展開しているAfricaScan(JICAの支援プログラムのひとつ「ヘルシーキオスクによる非感染性疾患予防促進事業準備調査」実施中。ABEイニシアティブプログラム現地インターン受入先のひとつでもある。)
ケニアのような新興国で新規ビジネスを実施するには、山盛りの問題が次々と目の前に迫ってくるかと思われ、ちぎっては投げちぎっては投げといった対応をされてきたのではないか、その辺のところをこの事業の担当の澤田さんにお話を聞いた。

聞き手はJICAケニア事務所の相園賢治、録音はやはり伊藤正芳。

澤田霞さん
AfricaScan Inc. Managing Director Kenya
セネガル青年海外協力隊OG(2011年〜2013年)でもある。

フランチャイズビジネス

澤田:
録音って難しいんですか?
相園:
あ、当たり前じゃないですか。角度とかいろいろあるんです。な、伊藤君。
伊藤:
当たり前です。
澤田:
録音に角度??
相園:
さて、ところで、今KIOSKは何店舗あるんですか?
澤田:

12店舗です。フランチャイズ(FC)が11店、直営が1店です。

(注)Blue Spoon Kiosk (KIOSKの屋号)

相園:
FCが多いですがそれにはわけが?
澤田:
当初直営店は4店舗あったんですが、売上の回収が難しく、またコンプライアンスの問題もあり、FCに仕組みを変更しました。
相園:
なるほど、それで何らかの変化はありましたか?
澤田:
やはりオーナーシップは大事でそれぞれの店舗オーナーがサービスの向上等自分たちで工夫をし始めました。あと、ケニア人の多くの方は雇われるより一国一城の主になりたい人が多く、その考え方にもマッチしているものと思います。
相園:
確かに。ケニアの人は他のアフリカの人に比べてビジネスをすること、好きですよねえ。うちのハウスキーパーも、副業でいろいろとやってます。儲かってないけど。ところでFCによるその他の気づきはありましたか?
澤田:
売上管理のニーズがある、というのが別の気づきです。
相園:
売上管理?具体的にはどういうことでしょう?
澤田:
店舗オーナーの人は手元のキャッシュのみを見る傾向があり、実際に商売がうまくいっているのかわからないことがよくある、というのを発見しました。
相園:
そうですよね。売上だけを見て、支払い等のコストをすっかり忘れていること、よくありますよね。あとツケ払い(売り掛け)。そのためキャッシュフローが回らず、いわゆる黒字倒産するケースをよく目にします。
澤田:
はい。あと、PL(損益計算書)作成のニーズも多いかと。マイクロファイナンス機関等から小額を借り入れたいときにはPLが求められるので。
相園:
KIOSKのようなかなり小規模なビジネスでもPLを自分たちで作成するよりは、外注したいといった要望はありそうですね。もちろんチャージされる金額にもよりますが。
ところでケニアにKIOSKのFCってないですよね?おそらくアフリカ全体を見回してもないかと。ガソリンスタンドに併設しているBonjourなどのコンビニチェーンはありますが、対象がハイエンドなのでちょっと形態が違うので。
澤田:
ないはずです。大手スーパーマーケットチェーンがやろうとしている、という話はよく出ていますが、まだ参入してきていません。
相園:
そうですか。じゃ、誰も来ない今のうちに全部いただいちゃいましょう。

競合KIOSK

相園:
ところで競合のKIOSKの人たちがお店を偵察とかにきたりするのですか?
澤田:
来ますよ。特に価格調査に。ただうちも偵察にいきますけどね。特に季節によって変動する砂糖やウガリ粉などです。非常に値付けが重要になってくるので。
相園:
なるほど。ちなみに流行っているKIOSKって何か特徴があるんでしょうか?
澤田:
はい、ありますよ。それはズバリ、人です。
相園:
人?人ですか?
澤田:
信頼できる人が店舗を運営しているかどうか、ですね。
相園:
ほお、具体的に言うとどうなりますか?
澤田:
意外とケニア人のお客さんは購買者としてはシビアで、店長の受け答えが親切か、品揃えがよい、衛生管理がしっかりしている等よく見ているんですよね。あと「ツケができるかどうか」もチェックしているようです。
相園:
しっかりツケ払いもチェックしているんですね。店舗オーナーとしては売り掛けのバランスが難しいところですね。商売をする上で必ず直面する問題ではありますが。
ところで、差別化の一環として「ヘルシーキオスク」といったコンセプトを掲げていますよね?これは何かいい影響が?
澤田:
簡易な健康診断(身長・体重・血圧の計測等)をKIOSKで無料で実施しデータを管理・提供しており、コミュニティでは評判がいいです。実はただ単に外国人がコミュニティにてKIOSKのビジネスをはじめた、となるとコミュニティの中には、外国の会社がコミュニティからいろんなものを搾取しているといった悪い感情もあったため、それを払拭することに非常に役に立っています。
相園:
なるほど。
澤田:
また生活習慣病は、ここナイバシャでも関心が高まっており、地方自治体やCommunity Health Volunteer (CHV)の方と一緒に、プロモーションイベント等開催し、ケニアの人の意識を高めてもらう活動をしています。

健康ってなに?

相園:
そうですか。ところでこういった生活習慣病に関してのプロモーション、普及が難しいところもあると思うのですが、何かありますか?
澤田:
ナイバシャはナイロビから近いため、皆さんの意識が割合高いのですが、中には「太っているのがアフリカンカルチャーなのだ」といった意識の人もおり、その意識改革が難しいところかと。
相園:
ふくよかな身体への意識改革ですね。
澤田:
ただ、一方で身内の方で生活習慣病が原因でえらいことになった、といった経験をお持ちの方の意識はすぐに変わりますね。治療費がすごくかかったということが引き金のようです。
相園:
お金が引き金ですか、むちゃくちゃわかりやすい。

ナイバシャというところ

相園:
さて改めてなんですが、なんでナイバシャにKIOSKを持とうと思ったのかその背景を教えていただければ。
澤田:
以前ケニア全土でマーケットリサーチをやっていたのですが、どうにも実態がつかめない、そのときにケニア人スタッフから、いっそのこと自分たちでKIOSKを所有して実際に販売活動をしてみたら、と言われ、またその彼の出身地がたまたまナイバシャであったということが理由です。
相園:
えらい簡単ですね。ただ商売ってそんな縁の繰り返しのような気もしますが。ちなみにナイロビでやろう、とは考えなかったのですか?
澤田:
ナイロビは既に色々なプレイヤーが参入していて競争が激しいので外国企業がinformal sectorに入りこむのはやりにくいと思いました。怪我が大怪我になるかもしれないのでナイロビでやることは考えませんでした。
相園:
そうですか。さて、先月「INNOVATIONS AND LEARNING FORUM FOR COUNTIES」というイベントに一緒に参加させてもらいました。そこでは”イノベーションは地方から”、といったことをメッセージとして伝えているんだろうな、とひしひしと感じましたが、その点についてどう思われますか?
澤田:
はい、地方からではなくナイロビからですね。(あっさり)
相園:
あらら…(このメッセージ/イノベーションは地方から、でこのインタビュー記事のまとめに入ろうと思ってた思惑が…)
澤田:
これまでの経験から流行やトレンドの多くはやはりナイロビから来ていると思います。ただイノベーションが起きる場所は別かもしれませんが。
相園:
おそらくそれは正解かと。ところで今後の展開としてナイロビへのビジネス展開を考えているということでしたが。
澤田:
そうなんです。実はナイバシャで試行錯誤した結果、やはりナイロビに行かねば、といった結論に至りました。
相園:

大きなトレンドはナイロビなどの都市からウェーブがくる。ただ事業を実施するには、サイズの適当な都市で試行錯誤を繰り返し、ノウハウやレッスンラーンを積み上げ、ある程度力がついた段階でナイロビに挑戦するといった感じですね。

((注)ビジネス用語では2段階ターゲティングという)

澤田:
そのとおりです。
相園:
ある程度の事業コンセプトが固まったら、マイナーリーグに参入。そこで実績を積んで、いいタイミングを見計らってメジャーリーグに立ち向かう、といった感じですかね。うーん、うまいことまとめた、な、伊藤君。
伊藤:
うまくまとまっています。(棒読み)
澤田:
あと、ナイバシャはナイロビ近郊というのもあるんですが、人口が密集しているんですよね、広大なバラ農園が展開されているので。それとナイバシャ湖がサファリスポットになっており、人の往来が激しいのです。
相園:
なるほど、結構ナイバシャは特殊な場所ですね。
澤田:
実はもうひとつあって、私のようにナイバシャのような地方の現場で働くひとにとって、ナイロビと近い、また人の往来もある程度あるというのは、健康的に仕事や生活をする上でも非常に重要なんですよね。
相園:
おお、それは本当に重要なポイントですね。やはり日本と違う環境で仕事をするのは色んなストレスがかかるので。

ひとことメッセージ

相園:
さて最後の質問になりますが、ケニアへの進出を考えている日本企業さんに何かメッセージなどがあれば、ぜひ。
澤田:
そうですねえ。うーん、ひとことで言うと「人を信用するな」でしょうか。
相園:
…んんん?
澤田:
あれ?…何か変なことを言いましたか?
伊藤:
あ、あの、つまり、その「人を信用するな」の意味するところは、スタートアップ時は仕事を安易に人に任せず、まずは自分でやってみる事が大事である、ということですよね?
澤田:
はい、その理解でもいいです。
伊藤:
でも?…その理解にしましょう。ね、相園さん、その理解で。
相園:
はい、その理解で。それにしても、やはりビジネスには人材と角度が重要だな。
澤田:
角度??
伊藤:
…(なんでまた角度がここで…そうか75度?、、刺激?)
相園:
では、澤田さん本日はどうもありがとうございました。

(おしまい)

突撃インタビューよろしく(日本企業編) 第1部 完
(第1部総集編 近々アップ予定)

【画像】

イベント会場にて簡易健康診断を実施している様子

【画像】

KIOSK内(中央:澤田さん)

【画像】

Blue Spoon Kioskの外観