突撃インタビューよろしく(番外編) JKUATの新たなる挑戦 第1話

2018年3月6日

JKUATES(Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology Enterprises Limited)の奮闘をインタビュー形式でシリーズとして紹介する番外編。2013年に日清食品ホールディングスとの合弁会社「JKUAT/Nissin」を設立、そしてその関係をまもなく解消し、真に独り立ちをしていくJKUATES。
一方その独り立ちの日に向けて、日清食品ホールディングス側も大学敷地内の製麺工場の設置を全面的に支援、技術者の育成にも協力した。技術者の育成にはJICAのABEイニシアティブプログラムも活用された。
独り立ちし新たなビジネスモデルで新規事業を実施するには、山盛りの問題が次々と目の前に迫ってくるかと思われる。期待と不安が入り交じりながらも気合は十分、今まさに新たな船出に乗りだそうとしているJKUATES。
その辺のところをこの事業の代表のお二人にお話を聞いた。

聞き手はJICAケニア事務所の相園賢治
聞き手補佐はJICAケニア事務所のマリアン現地職員(ABEイニシアティブ担当)
録音の伊藤は休暇中

JKUATES側:ウィニフレッドJKUATES代表(女性)、ムホホ教授(男性)

製麺工場の進捗具合

相園:
製麺工場の建設も終わり、現在各機材を導入しているところだと思いますが、進捗はいかがですか?
ムホホ:
包装関連の機材以外は導入済みで、3月末までにはすべて完了する予定になっており、4月には試運転をする予定です。
相園:
そうですか。それにしても大きい工場ですよね。
ムホホ:
そうですね。ただ日清食品ホールディングスさんの保有する工場としては世界最小らしいですね。
相園:
世界最小。うーん。
ムホホ:
生産規模としては1分間にインスタントラーメン150パックできます。
相園:
ということは1時間に9,000パック。なんとなくすごいことのような気がするんですが。
ムホホ:
そうなんです。ですので多くの人に食べてもらわないといけません。
相園:
じゃ、いっぱい食べてもらいましょう。

市場創出

相園:
過去の資料で恐縮ですがケニアの即席めん市場は4,500万食で、その1割がJKUAT/Nissinのシェアだったかと。ナイジェリアの20億食と比べてかなり小さい印象ですが。
ムホホ:
そうなんです、ですので市場の掘り起こしに注力していこうと考えています。
相園:
市場のパイの取り合いではなく、まずは市場創出から始める。EAC(East African Community/東アフリカ経済共同体)は顕著な経済の伸びを示しており、インスタント食は経済成長に伴い伸びる特殊な市場であるため、まずは即席めんに親しむということをコンセプトに普及活動をメインに行っていくということですね。
ムホホ:
私が言おうとしたことをうまくまとめていただきました。実はそうなんです。まだまだ「ラーメンって何だ?」、と言うケニア人が大半かと思いますので、プロモーション活動をメインに行いたいと考えています。また、以前は商品をインド日清さんから輸入していましたが、今後はここ大学内で生産ができるため、実はいろいろな可能性があるんじゃないかとも考えています。
相園:
なるほど。さてその生産工場ですが、ただの製麺工場というコンセプトではなく、社会見学の場としても活用の余地があるように思えます。まだまだ即席めん自体を知らない人が多いのであれば、社会見学の一環として、小中学校など教育関連機関を対象に工場見学を受け入れ、それを通じて即席めんの理解促進を行う、というのもあって良いのではないですかね。もちろんその他関心を持ってもらえそうな個人・団体を誘致(ビジネスパートナー含む)するのもありかと。
ウィニフレッド:
そのアイディアも考えています。ただ、実際にどのようにやればいいのかのノウハウをわれわれは持っておらず、これからの課題ですね。
相園:
実は先日、日本の大阪にある「カップヌードルミュージアム」に行ってきたんですよ。訪れている子供たちも自分たちのラーメンを製造する過程を楽しんだり、ラーメンの文化や歴史を理解するプラットホームになっていました。何か参考になるかもしれないですね。
ウィニフレッド:
日清食品ホールディングスさんとはビジネスとして距離を置くことにはなりますが、こういったラーメン文化の普及や栄養に関する食育などは、即席めんを生み出した日清食品ホールディングスさんだからこその蓄積やノウハウがあり、実際、それを抜きにしてアフリカでラーメン文化が定着するとは思えません。その意味で、ケニアや東アフリカ向けのCSR活動として、といった別の形も含めて、今後も連携できないか改めて相談したいと考えています。
相園:
そうですね。そういえば以前より学校給食事業も手がけていますよね?

給食事業

ウィニフレッド:
はい、2008年から学校給食事業を始めました。とくに小学校ですね。様々な原因で栄養不足の生徒たちが大勢おり、授業に身が入らないことも多いです。当社のベースも大学という教育機関ですので、学校給食を通じて将来のある子どもたちの教育や成長を側面支援している、というわけです。
相園:
日清食品ホールディングスの創業者、安藤百福氏が事業を始められたときと同じコンセプトですね。
ウィニフレッド:
そうなんです。安藤氏は「Peace will come to the world when there is enough food」ということを言っていたとお聞きしたことがあります。同じコンセプト、というとおこがましいかもしれませんが、目指す方向は一緒かと。先ほども述べましたが、われわれのような教育機関がこういうコンセプトを軸に子供たちの未来へ貢献することは、重要な役割だと思っています。
相園:
すごい、そしてえらい。聞いたか今のマリアン。
マリアン:
すごい、そしてえらい。
相園:
・・・(君、休暇中の誰かと同じ反応だけども)
ウィニフレッド:
ただ商売としてはなかなかうま味がないのはご想像いただけると思います。なので知恵の絞りどころです。近々(ケニア)教育省のメンバーがこの工場を視察にきます。学校給食事業の柱として認識していただきたい、と密かに狙っているところです。
相園:
本当に。ここで受注できれば大型クライアントになりますね。

IFNAとの絡み

相園:
ところで、前回、2016年8月にここナイロビで開催されたTICAD VIで、IFNA(Initiative for Food and Nutrition Security in Africa)が立ち上がりました。これは、アフリカの栄養課題に関してさまざまな機関と協働していくイニシアティブで、皆さんの活動も貢献できるかもしれません。
ウィニフレッド:
TICAD VIはTICAD開始以降初のアフリカ大陸での開催、しかもそれがケニアでしたので、日本と深い縁のあるJKUATもイベントの実施等で貢献しました。その記念すべきTICAD VIで立ち上がったのならなおのこと、そういった大きなイニシアティブとは積極的に連携していきたいと思います。
相園:
それと2013年から夏季オリンピック開催地で実施されている国際会議「成長のための栄養(Nutrition for Growth)」を2020年の東京オリンピックでも開催する予定もあるのではないかと聞いています。もし実際に開催されれば栄養改善へ向けた国内外の気運を高める大きな機会となるでしょう。栄養改善を実現するには、政府、国際機関、市民社会、企業、大学等の教育機関、そして地域社会が連携して取り組む必要がありますよね。
ウィニフレッド:
これも大きな話ですね・・・(溜息)。そういった大きな会議でも何かしら貢献できる役割を担えるようがんばりたいと思います。正直なところ、まだ生産体制も完成しておらず不安なところも多いですが、われわれの事業はケニアや東アフリカの社会に大きく貢献できるはずだ!と信じています。
相園:
格好いいですねえ。ではちょっとやりますか、さらに格好良く。また来ます。(つづく)

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JKUATESメンバーとの打ち合わせ風景(1)

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JKUATESメンバーとの打ち合わせ風景(2)

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JKAUTESのロゴマーク