突撃インタビューよろしく(あのLIXILは今…編)まだ第1部

2018年4月6日

ケニアで開発課題の解決にがんばっている企業や団体の生の声をお届けする企画を後追いする企画。今回は突撃インタビュー第1回に登場したLIXIL。
ケニアのような新興国で新規ビジネスを実施するには、山盛りの問題が次々と目の前に迫ってくるかと思われ、ちぎっては投げちぎっては投げといった対応をされてきたはず。突撃インタビューの後、いったいどうなったのか。その辺のところをこの事業の担当の山上さんと中宮さんにお話を聞いた。

聞き手はJICAケニア事務所の相園賢治。
聞き手補佐は飯島淳(ソマリア担当)
録音の伊藤はまだ休暇中。

株式会社LIXIL
山上 遊(Green Toilet System(循環型無水トイレ)ケニアプロジェクトリーダー)
中宮敏博(Green Toilet System(循環型無水トイレ)チーフエンジニア)

いいお知らせ

山上:
本当に録音するんですね。
相園:
そうですよ、今回は専用録音機がないので私の中国製と飯島の録音機もバックアップとして使います。あ、そうそう今回はソマリア担当の飯島もお邪魔していますのでよろしくお願いしますね。なんでも難民居住地関連でいい話があると聞いて、以前南スーダンにもいた飯島にも声かけし早速突撃させてもらいました。
山上:
そうなんです。実は2月に国連ハビタットと契約を結ぶことができました。
相園:
おお、それはそれは、おめでとうございます。山盛りいろいろとあったと思いますので、今日はその辺のお話を聞かせてください。確か、最初の突撃インタビューは2016年11月くらいだったかと思います。そのときはまだこういった話はなかったですよね?
山上:
そうですね、そのころはまだナイバシャのパイロットサイトの建設中だったかと。ただこのパイロット事業を通じて国連ハビタットと知り合う機会があり、良好な関係の構築後、2017年10月の公示に応募ができるようになって、先日採択の連絡をいただきました。
相園:
競合もいたかと思いますが。
山上:
そうですね、ただわれわれの「グリーントイレシステム」が国連ハビタットが実施中の難民居住地での持続可能な生活基盤構築のコンセプトに合致したんだと思います。
相園:
そうですか、ちなみに以前活用いただいたJICAの民間技術普及促進事業は今回の受注に少しは役に立ったのでしょうか?
飯島:
相園さん、そんな生々しい質問…

JICAの事業はお役に?

山上:
もちろんです。今回の審査にはこれまでのこのシステムの実績もチェックされていたため、JICAのような機関と一緒に実施した事業はそれなりに評価されていると思います。また同じ事業をインドネシアでも実施させていただいており、グローバルといった視点でも大きく貢献いただいているはずです。
相園:
それは聞いていて嬉しいですね。営業をかけるとき、JICAとの連携事業(既存・終了のいずれも)をうまく事業の実績として打ち出すという活用方法、ぜひこれまでJICA連携事業を活用いただいた他の企業さんにも考えてほしいと思います。連携事業が終了したら「はい、それまで」というパターンが多いかと思うので。
山上:
そうですね、あと日本にいると国際機関やドナー、国際NGOsがクライアントになるといった意識はなかなかもてないのですが、ケニアなどの新興国では、エンドユーザーとお金を払う人が違ってくるケースは多いかと思います。
相園:
本当にそうですね。意外と日本企業さんにとってその新市場は真空地帯だと思います。
山上:
今回の国連ハビタットとのやり取りを通じて感じたことは、国際機関のかたは、新しい情報を求めているのだなということです。もちろん、マクロな情報はわれわれなんかよりも情報量は多いのですが、より専門的な技術や各フィールドのコミュニティ関連の情報などは不足していると感じました。
相園:
アフリカ進出済みの日本企業さんはあまり得意ではないかもしれませんが、「営業」はやったほうがいいですね、やはりこちらから能動的に動くことは必要かと思います。

目の付け所

相園:
ところで、この事業、商品の売り切りではなく、もう少し深い考えがありますよね。
山上:
そうなんです。トイレという切り口ではなく資源の再利用ということを切り口に考えてきました。だからこういったシステムを構築したわけです。
相園:
なるほど。あとサニテーション事業という側面もありますよね。

(とあるレストランで昼食をしながらインタビューをしています。そのものずばりの単語を使った会話でしたが、記事には「固体」「液体」といった表現を使います。)

山上:
実はサニテーション事業では「固体」に注力がおかれ、衛生面ではそれほど悪影響がないとされる「液体」は忘れがちなんですよね。ただわれわれは先ほども申しましたように資源の再利用ということを念頭においており、環境負荷も考え、「液体」も有効活用するシステムにしています。そしてこれまでの調査から、「固体」は土に、「液体」は栄養剤として有用であることがわかった来ました。
相園:
なるほど。
山上:
そのグリーンシステムを通じてオリジナルの「固体」や「液体」はまったく別のものに生まれ変わります。
相園:
別のものに?
山上:
はい、今ちょうどサンプルがこの鞄に入っています、ちょっとお見せしましょう。
相園:
い、いや、そんな、急に言われても…今パスタ食べてるんだけども。
山上:
まあそう言わずに。
相園:
…(おそるおそるサンプルを手にする)

意識が変わります。

相園:
んんん…こ、これは。
山上:
どうですか?
相園:
全然別物ですね。においも形も。
山上:
そうでしょう。実はインドネシアでもケニアでも最初にわれわれのプロジェクトの内容を説明したときは、みんなすごくいやな顔をしました。ところが今では、素手で触っても平気になっています。
相園:
んー なるほど、まさに資源になったという感じですね。ところでこれまでの事業を通じて別の新たな気づきというのはありましたか?
山上:
今回、難民居住地に行ってすごく感じたのは水の大切さでしょうか、特にこういった乾燥地での。
相園:
水、ですね。
山上:
はい、水です。われわれのシステムを通じて生産される水は、飲料としての活用は厳しいかもしれませんが、清掃等の用途にはつかえるので、全体的に水が不足している乾燥地や半乾燥地の地域に貢献できるものと考えています。
相園:
人が資源ということですかね?
山上:
そうです。
相園:
人が水を生み出す資源の源、、、かなり面白いと思います。デザインしだいではアフリカの乾燥地で大化けしそうな可能性がありますね。

施工の問題。

相園:
さて、これまでジュジャ地域の農場、NGOの学校、ナイバシャのパイロットサイト、難民居住地とさまざまなフィールドがあったかと思います。そこではこのいわゆる施工の問題、いつもついて回っているのではないかと察しますがいかがでしたか?
中宮:
はい、いつもついて回ります。図面渡すんですけど、いつも持ってないんですよね。先日も図面どおりにやっておればはまるパーツがどうしても入らず大変でした。
相園:
アジアとは違いますか?
中宮:
よく似てますけどね、あ、アジアでは職人さんたちはスケールを持ってますね。
相園:
ケニアは持ってない?
中宮:
いや、正しくは持ってますね、ただ目盛りがはがれていて測れません。
相園:
それは困りましたね。
中宮:
はい、そのため目視で測っているんだと思います。
相園:
視力よさそうですからね。
飯島:
そこですか!!

さらにひとことメッセージ

相園:
さていつものように最後はケニア/アフリカに進出しようとしている企業さんに向けてメッセージを聞いているんですが、改めて何かありますか?
山上:
そうですねえ、前回のメッセージと違うとなると、なんでしょう。
相園:
じゃ、ちょっと質問を変えて。これまで、サイトもいろいろと変更し、結構長くこの事業に携わっているかと思います。いろいろな困難さに直面してきたかと思うのですが、あきらめないコツみたいなものはありますか?
山上:
うーん…そうですね…意地…かも。
相園:
意地?
中宮:
私も意地ですね。
相園:
二人とも意地なんですね。何かに負けたくないとか。
山上:
あきらめる理由を挙げろといわれれば、こういった新興国ですからいくらでもあります。でも、もしわれわれがそれを言ってしまうと、おそらくこの事業はここまで続かなかったのではないかと思います。
相園:
うーんむちゃくちゃ格好いいじゃないですか。それと、その意地を貫いてもよい、というLIXILという会社も格好いいですね。
山上:
はい、私が言うのもなんですが、そう思います。
相園:
今後もさらにその格好良さ貫いてください、これからの大活躍期待しています、本日はありがとうございました。

(お会計中)

相園:
…う、やばい、サンプル持って帰るところだった。やっぱりこれ、オリジナルの「ブツ」とは違うな、飯島君。
飯島:
あ、あたり前じゃないですか、鞄に入れられないでしょ、オリジナルは。
相園:
そうか…

(おしまい)

【画像】

難民キャンプでの説明会の様子

【画像】

研修の様子

【画像】

処理装置をセッティングする様子