突撃インタビューよろしく 第2部 起業家特集(Kenya Fruits Solutions編)

2018年6月1日

ケニアで開発課題の解決にがんばっている企業や団体の生の声をお届けする企画。第2部はケニアで起業されている日本人のかたを特集。今回は2014年よりビジネスを展開しているKenya Fruits Solutions(ABEイニシアティブプログラム現地インターン受入先のひとつでもある。)
ケニアのような新興国で起業するには、山盛りの問題が次々と目の前に迫ってくるかと思われ、ちぎっては投げちぎっては投げといった対応をされてきたのではないか、その辺のところをこの事業の創設者である山本さんにお話を聞いた。

聞き手はJICAケニア事務所の相園賢治、録音は休暇明けの伊藤正芳。

山本歩さん
Kenya Fruits Solutions, Managing Director Kenya
ケニア青年海外協力隊OG(2011年~2014年)でもある。

(注)ABEイニシアティブプログラム現地インターンシップに関してはこちらから

起業という選択

(ナイロビ近郊のTHIKAという場所の滝の見えるレストランにて。今ケニアは雨季の真っ只中)

相園:
雨量がすごいので、あの滝ちょっと土石流みたいで怖いね。ま、巻き込まれないと思うので早速インタビューを始めましょう。
山本:
よろしくお願いします。
伊藤:
実はこのインタビュー長いんですよね、油断すると3時間越えます。
相園:
あのね、君、いきなりそういうのは、そう確かに長いのです。伊藤君がしゃべりまくりますからね。
伊藤:
相園さんでしょ!
相園:
ま、お互い様ということで。今日は3時間以内に切り上げましょう。さて2014年の4月にドライフルーツの事業を創設されましたが、起業しようとはいつくらいから考えていたのですか?
山本:
ケニアの隊員時代で延長が決まったころでしょうか?
相園:
ケニアにいる間に?日本に帰国されてじっくり考えようとは思わなかったんですね。
山本:
はい、おそらく日本に帰国してからだと気持ちが揺らぐかと思いましたので、先に決めて形を作っておきました。
相園:
勢い?
山本:
それです。
伊藤:
相園さんもケニアで起業したときは勢いでしたよね?
相園:
あのねえ、君。うちの場合はもう、じゃ、ま、会社でもひとつ作っておこうかなというような確度の高い計画に基づいて起業したのだ。
伊藤:
それを勢いって言うんじゃないのですか?
相園:
そんな気もする。ただ山本さんの場合は製造業なので少しパターンがちがうかと。
山本:
そうですね、やはり設備投資がいるので勢いがありながらも、慎重に進めていきました。
相園:
うちの場合の設備投資って、カラープリンターくらいだったので慎重さが違いますね。
山本:
カラープリンター?設備?私どもの場合は食品加工業なのである程度の設備が必要でしたね、あと場所もです。そのため、現地ケニアにて食品加工業を創業された日本人のかたにはかなり相談させていただきました。
相園:
やはりそうですよね。私の場合なんか誰にも相談せずに、弁護士さんに10万円ほど支払って、ちょっと会社作っといて、みたいな感じでした。軽薄すぎますが、意外とこちらの起業家のかたはこんな考えが主流かと。それでだいたい3つ4つ会社を所有しているパターンが多く、今年はこの事業が成績いいや、みたいな感じが多いような気がしますね。

決断

相園:
さて起業しようと決断した大きな理由は何でしょう?日本が嫌いとか?
山本:
好きですよ、食べ物もおいしいし。
相園:
そうですかそれは失礼しました、伊藤君とは違いますね、あ、まちがい、伊藤君は日本に嫌われてたんだっけ?
伊藤:
な、なんで知ってるんですか?
相園:
顔見ればわかる。
山本:
私の場合はケニアが好きなんでしょうね、なんとなく。
相園:
そうですか。で、そのときにご家族のかたにケニアで起業することを説明されたと思うのですが反応は?
山本:
特に反対されませんでしたね。両親は二人とも教師なんですが意外と自由に育てられたので。ただ、まずは半年やってみる、それで様子を見てまた半年、といった具合に定期的に報告をするようにはしていました。
相園:
そうですか。
山本:
ただその当時はいまのような、例えばクラウドファンディングのような支援制度が充実してなくてかなり苦労しました。特に財政面で。
相園:
そうですよね。計画と違って事業をやり始めるとお金が手裏剣のように飛んでいきますからね。不安とかはなかったですか?
山本:
不安だらけでしたよ。これら投下資本、いつになったら回収できるだろうかとか考え出したら寝られなくなりました。ただある時からそういうことを考えるのをやめて突っ切りました。なので今はそういった不安はありません。
相園:
突っ切りましたか。そのタフさ、起業には必要ですね。新しい扉を開けようとしているので。不安を解決するたった一つの方法は行動を起こすことしかないので。
山本:
現実問題として製造業なので、スケールメリットを出せる段階にくるまで、どう生きながらえれるか?そこがポイントでしたね。われわれの事業がまさに今その入り口にさしかかろうとしている段階で、ここまでくるだけでもかなり苦労しましたので。
相園:
そうですね、スケールメリットをだして実績を積み上げていけば、協力者を巻き込んでいくことが可能で、財政面が安定してくる場合が多いと思います。

想定内

相園:
ところで4年事業を続けられていますが、開始前に考えていたこと以外のことが起こってこれは困った、ということはありましたか?
山本:
そうですね、特にないかも。隊員時代の2年間でだいたいのことはつかめていたので。ただ、事業開始当初は会社法とか税金のこととかわからないことが多く困りはしましたね。
相園:
その困りごとも想定内ですよね?
山本:
そうですね。ただ想定内とはいってもスタッフの教育に関してはかなり難しいかなと改めて感じています。隊員時代に感じた日本とケニアのギャップではなく、もっと深いギャップがあることに最近気づきました。
相園:
んんん…それわかる気がする。私もケニアに9年ほど住んでいるのですが、5年住んだあたりから、そのもっと深いギャップを感じるようになりました。
山本:
以前だとケニアはこういう文化だとか教育制度がこうだからといった背景を理解することで合点がいっていたことがあったのですが、たまにそれに当てはまらないことが出てきてすごくストレスを感じていました。
相園:
わかります。異文化理解レベルではないんですよね。君はいったいどこの国からといったレベルではなく、どこの星のひとだっけ?みたいな感じかと。ただ、そのギャップを受け入れるとストレスは軽減しますけども。
山本:
そうなんですよね、ただそれがわかるまで結構時間がかかりました。
相園:
ま、相手側も相園は何億光年先から来たのだと思っているに違いありませんが。

現在のビジネス状況

相園:
さて現在のビジネスの状況に関して教えてもらえますか?
山本:
はい、2018年3月に新しい加工所に移転しました。その加工所に新しい加工関連機械も最近南アから導入しており、もうすぐ本格的に稼動させます。
相園:
ケニアにはドライフルーツの事業をしている競合がいるかとおもうのですが、みなさんそのような機械を使われているのですか?
山本:
確か1社いたかと思います。ただほとんどの事業が天日干しかと。やはり品質の安定また衛生面を考えると機械を使うほうが断然質が違ってきますね。
相園:
現在はある特定の会社と受注発注の関係にあるので、生産性を高めることに集中できるということでしたよね?
山本:
はい、そのため近々20人ほどスタッフを増やすことを考えています。
相園:
いい感じですね。極端にいうとマーケティングを特段する必要はなくオペレーションに注力しておけばいい。貯金箱みたいにお金を生み出すのではないですか?
山本:
そうなればいいですねえ。ただ一気に人を増やすので、人材教育が大変なんですよね。

ひとことメッセージ

相園:
さて最後の質問になりますが、ケニアやアフリカで起業を考えている日本人のみなさんに何かメッセージなどがあれば。とそのまえに、シンプルな質問をひとつ。ケニアで起業してよかった?
伊藤:
あ、あの相園さん、そのまんまじゃないですか。
山本:
もちろんです。
相園:
その理由はなんなんでしょう?
山本:
やはり自分でやりたいことをやっているからでしょうか。また100%自分で決めて、うまくいかなくても自分で責任を取ることも理由のひとつです。
相園:
なるほど。
山本:
あと事業内容を自分で考え、試行錯誤しながらも運営しています。やはりやりたいことが少しずつでも前に進んでいるのを実感できているので満足しています。
相園:
そうですか。格好いいですね。では改めて何かメッセージありますか?
山本:
私のケースになりますが、あまりいろいろと考えるよりは行動を起こす、ことのほうがいいのではと思います。今その起業したころに戻ったして、改めて起業するかと問われたらちょっと考えますからね。やはり勢いです。
相園:
勢いですね、やはり
山本:
あと私の場合は製造業だったので、この国に同じ分野で実績を残している日本人の方に出会えたのが大きいかと思います。今でも支援をしてもらってますので。
相園:
なるほど。やはり製造業とサービス業ではかなり違いますね。私のようなコンサルタント業は名刺を作ったらその日からはじめられますからね。
山本:
そうなんですか?
相園:
はい、だからものすごい勢いで名刺を作りましたよ、2時間くらいで。やはり勢いですね。
伊藤:
その勢いと山本さんの勢いはちょっと違うような気がしますが。
相園:
そうかな、スピード印刷っていうところでやったので山本さんの勢いにも負けてないはずだけども。
伊藤:
(うーむ、このままだと3時間越えてしまう…ここはもう強引に)では、山本さん本日はどうもありがとうございました。
相園:
あ、こら、ちょっと待って、スピード印刷の勢いの話がこれから盛り上がってい(ガチャっ)…

(おしまい)

【画像】

ドライフルーツの商品達

【画像】

加工場(左端が山本さん、らしい)

【画像】

山本さん