突撃インタビューよろしく 第2部 起業家特集 第2回(Afri-inc編)

2018年8月6日

ケニアで開発課題の解決にがんばっている企業や団体の生の声をお届けする企画。第2部はケニアで起業されている日本人のかたを特集。今回は2015年よりアフリカでビジネスを展開しているAfri-inc。
ケニアのような新興国で起業するには、山盛りの問題が次々と目の前に迫ってくるかと思われ、ちぎっては投げちぎっては投げといった対応をされてきたのではないか、その辺のところをこの事業の創設者である永井さんにお話を聞いた。

聞き手はJICAケニア事務所の相園賢治、録音はまだまだ伊藤正芳。

永井 健太郎さん
Africa incubator Co., Ltd, Managing Director

なぜアフリカ?

相園:
ではさっそくインタビューを始めさせていただきますが、ケニアの前にウガンダで先に事業をたちあげていますよね?
永井:
はい、2015年8月にウガンダで、2017年4月にケニア、また年内にはナイジェリアで事業立ち上げ予定となっています。
相園:
おお、次々と。ところで、なぜアフリカで?
永井:
以前アジアでも仕事をしたことがあるのですが、先進国やアジアはすでに出来上がっているイメージがあり、私はゼロから仕組みとかを作り上げたかった、というのが一番の理由かもしれません。ま、そういう性格なのです。
相園:
それ、わかります、私も似たような性格なので。
永井:
あと、ケニアやアフリカでは、我々のような新興企業でも経済の動脈部分に携わることができる可能性が大きいというのも魅力でしたね。
相園:
なるほど、それを魅力的と感じるところは永井さんらしさかもしれませんね。私なんかは毛細血管でも、その事業がワクワクするような感じであればぜひ絡んでみたい、といった症状にかられるので。

どのような事業

相園:
さて改めてですが、事業内容に関して教えてもらってもよいですか?
永井:
はい、基本的には経営管理のお手伝いとなります。我々はスマホとWebベースのシステムを提供しており、在庫管理や顧客の管理また営業スタッフの管理が可能なアプリを活用しながら経営の後方支援をやらせていただいています。
相園:
すべて基本的なマネージメントのことのように感じますが。
永井:
そうなんです。実はその基本ができていない企業さんが多く、伸びシロが大きい分野だと思います。
相園:
なるほど。競合もやはりいるんでしょ?
永井:
いますよ、ローカル企業もグローバル企業も。なので我々も差別化はいつも意識しています。
相園:
そうですか、ちなみにどうやってお客さんを見つけるのですか?

営業って?

永井:
営業です。片っ端から電話してアポ取りから始めます。打率はもちろん良くないので、ある程度タフなメンタリティがある営業スタッフでないと厳しいかもしれませんね。
相園:
そうですよね。私もずいぶん前ですが新卒である企業に勤めていたときの初年度は飛び込み営業をいっぱいやらせていただきました。上司から「お前たちは鉄砲玉だ。撃ちまくるぞ!」みたいな掛け声で。
永井:
今の時代ではなかなか難しそうですね。
相園:
はい、難しいと思います。「根性で行くのだ」みたいな感じでしたから。それで成績が上がらなければ、「次は気合で行くのだ」といった雰囲気でしたね。その当時はこういった精神論が多かった記憶があり、気合のあとは闘魂くらいかな、とか考えていましたからね。今改めて思えば精神論だけで、手ぶらで営業をしていたのがしんどかったんだと思います。
永井:
そこは大事なポイントで、うちの営業スタッフには以下3つのことはいつも頭にいれて営業をするように何度もリマインドしています。
1)顧客の営業のオペレーションはどうなっているのか
2)そのオペレーションの中の課題は何か
3)その課題に対して我々ができることは何か
相園:
コンサルファームみたいですが、そのロジックは重要ですね。ただ顧客になる人が内部事情を教えてくれたりしますか?
永井:
それが実は結構しゃべってくれるんですよ。
相園:
ほう、そうですか。その知りえた情報は暗黙知とよばれるかと思うのですが、コンサルテーションサービスを実際にするには暗黙知を形式知化する作業が必要になってきますよね、結構面倒な作業ですけども。
永井:
はい、そう思います。ただそこまでして仕事を獲得したときは、うちの営業スタッフも達成感があるようです。もちろん悔しい思いもいっぱいしていますけども。あとうちのスタッフは結構定着率がいいんですよ。
相園:
おお、それはいいですね、ケニアでは結構珍しいかもしれません。

人材育成

相園:
さて定着率が良いとのお話ですが、それは何か理由が?給料が高いとか?
永井:
給料は悪くはないと思いますが、それをインセンティブにはしていません。
((注)ハーズバーグ/心理学者 1923~2000 人をやる気にさせる要因を動機づけ要因と衛生要因と2つに区分し、給与は衛生要因に分類)
相園:
というと。
永井:
従業員のキャリアプランに貢献するような仕組みを社内で構築しており、昇進の機会も積極的に与えるようにしています。やはり会社から大事にしてもらっているというのは動機づけに重要なことだと思います。
相園:
いいですね。歴史的な背景からだと思いますがケニアやアフリカの方はLaborといった意識がつよく、自分のJobといったマインドが少ないイメージがありますからね。ただこれもそういった機会がこれまで少なかったのが大きな理由だと個人的に思います。
永井:
そうですね、あと顧客といっても社長や決定権のある人と話ができるのはいい動機づけになっているようです。

日本式のビジネスの考え方

相園:
ところで、日本式といっていいかどうか微妙ですが、時間を守ることや報連相等、よく言われる基本的なビジネスの考えかたってやはりケニアでも重要だと思いますか?
永井:
はい、そう思います。やはり信頼あってのビジネスなので、顧客との関係だけではなく、社内の信頼構築のためにも必要かと。
相園:
何か具体的な事例はありますか?
永井:
わかりやすい例でいうと、定時出勤をマストにしています。もし何かの事情で遅れる場合があっても、かならず連絡をする。意外とシンプルなことに思われるかもしれないですが、これが我々のディシップリンのベースになっていますね。
相園:
なるほど。
永井:
あとは、努力を評価するようにしています。成果ももちろん評価しますが、やはり営業が主な業務なので、受注にたたどり着くまでのプロセスを共有し評価するようにしています。またそれらプロセスを共有するときに個別の課題を与えるようにもしています。
相園:
結構丁寧な評価をされていますね。どこかの日系の組織に知らせてあげたい。
伊藤:
どこですか、それは!
相園:
あのね、君、そこに反応しないように。ところで営業というと、ケニアの人は話とかプレゼンうまいですよね?ただ、営業はそれほどうまくないような感じがしますが。
永井:
そうなんです。一方通行で話しまくるんですよね。なので、顧客の話に耳を傾けるように何度も口すっぱく指導しています。
相園:
そうですよね、でないと、永遠に話し続けますから。

使命?

相園:
ところで改めて、またちょっとまじめな話なんですがアフリカでビジネスをやる意義や自分に課しているものみたいなものはありますか?私の場合は、アフリカ大陸を地域とみなして、ビジネスを通じて地域活性化する、そのためのプラットフォームになるのだ、といったことをえらそうに考えています。
永井:
そうですね、実は2つありまして。
相園:
はい。
永井:
ひとつは日本サイドへのインパクトです。
相園:
日本へのインパクト?
永井:
はい、それは簡単に言うとアフリカでも日本企業が稼ぐことができることを証明する、ということでしょうか?それがないとアフリカは最後のフロンティアである、といったプロモーションをどれだけしても、どこかで先細りするのではないかと思います。私も日本企業さんにはもっとアフリカに来てほしいと思っていますので。
相園:
なるほど、それはまさに私のやらないといけない仕事ですね、そういう事例が一番日本企業さんに訴える力があると思います。
永井:
もうひとつは、アフリカサイドへのインパクトです。
相園:
今度はアフリカ?
永井:
はい、我々がやっていることは本当に基本的なことの応援で、信頼を構築しながら商いを広めるということだと思います。そういった小さな信頼を積み上げることによって現金収入が増えたり雇用が増えたりすること、これをビジネスを通じてプロモーションしていき、アフリカのみなさんに自信を持たせたい、と考えています。
相園:
うーん、それも私のやらないといけない仕事ですね、、、代わりましょうか?
伊藤:
相園さん!!
相園:
アフリカ大陸、手ごわいし課題は山盛りありますががんばっていきましょう…うん、いいまとめ方だな、なあ、伊藤君。
伊藤:
はい。

ひとことメッセージ

相園:
さていつも皆さんに聞いている最後の質問になりますが、ケニアやアフリカで起業を考えている日本人のみなさんに何かメッセージなどがあれば。
永井:
そうですねえ、やると決めたらあれこれ考えずに行動を起こす、それがいいんじゃないでしょうか?
相園:
前回のインタビューを受けていただいた山本さんと同じですね、勢いかと。
永井:
はい、それと昔と比べていろんな面でビジネスの参入障壁が下がっていると思います。また仮に失敗してもそれほどダメージはないんじゃないでしょうか?
相園:
確かに。
永井:
ただ、前提条件は必要です。
相園:
前提条件?
永井:
家族の理解ですね、特に私の場合は奥さんの理解があったからここまで来れたと思います。
相園:
それよおくわかります、自分も同じだったので。でもそれをこの突撃でさらりと言えるのは、格好いいですねえ、なあ、伊藤君。
伊藤:
本当に。
相園:
では改めまして本日はどうもありがとうございました。

事務所へ帰る車の中

相園:
永井さんは経営者としてのパワーがみなぎっていて、格好よかったな。
伊藤:
本当に、それにこのインタビューで家族のことについても話ができるのがまたいいですね。相園さんも家族の理解を得るために何かしてるんですか?
相園:
うっ…(なぜこっちに振る…)…そ、そうだな、実は自分はこう見えても「○○○○○○」なのだ。
伊藤:
そ、そうなんですか。でもそれと今の話は何の関係もないと思いますけども。
相園:
それが大ありなのだ。今度タスカー飲みながら話す。

(おしまい)

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クライアントとの面談の様子1

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クライアントとの面談の様子2

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現地職員によるクラインアント研修の模様